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Events & Seminars

**終了しました**11月~<チェンジ・エージェント・アカデミー>システム思考アドバンスセミナー(I)システム変容のためのリーダーシップ~ドネラ・メドウズに学ぶ

2015年1月の日本語版上市以来、ご好評をいただいている『世界はシステムで動く』(ドネラ・メドウズ著)を教科書として、システム思考の実践を掘り下げる6回連続セミナー。昨年実施し、大変好評をいただきましたコースを今年も実施いたします。

ものごとの大局、全体像、根本を見抜くのに欠かせないシステム思考。しかし、一人で本を読むだけではなかなか理解しづらい思考法でもあります。本の解説者、小田理一郎と共に、システム思考のさまざまな極意を読み解きながら、平行して自分自身の課題についてシステム思考のプロセスで取り組み、他の実践者たちと共に学ぶことで、実践的な理解を深めます。

【日時】 2016年11月1日、11月29日、12月20日、2017年1月10日、2月7日、3月7日 →いずれも火曜日夜の19時から21時45分

【場所】四ツ谷駅より徒歩8分

【価格】 全6回・・9万円+税 または、単回 ・・1回あたり18,000円+税

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これまでのチェンジ・エージェントアカデミーの様子

コース概要

●目的

システム思考の理解を掘り下げ、実践的に活用できるため知識、スキル、姿勢、あり方を習得することによって、望ましい変化を引き起こすためのリーダーシップ能力を高める

  • ビジョン・目標達成、問題解決などの望ましい変化を起こすためのリーダーシップ能力を磨く
  • べき論に囚われることなく、現実の人間関係、組織、地域などがなぜ今の挙動を起こしているかを理解する
  • 目的、ビジョン、目標の達成に必要なシステム・デザインを、地に足の着いた実効性のあるものにする

●プロセス

  • 参加者及び講師による社会的学習を促す「学習する場」を形成する
  • システム思考の名著の一つ、ドネラ・メドウズ『世界はシステムで動く』を教科書として、毎回その内容を事前学習、発表、講義によって理解を深め、また、関連する身近な課題について考察、討議することによって使える能力になるようにする
  • 参加者の自身・自組織・自地域の課題について、学んだことを適用しながら、現実のシステムの理解を広げ、どのように対処するかを見出す

●対象

学ぶ意欲のある社会人向けのプログラムです。概念的能力であるシステム思考は、セクター・業界、職階・職層を問わず必要な能力ですので、業種や立場は問いません。中級の内容となりますので、「フィードバック・ループ」の概念及び手法(時系列変化パターングラフとループ図)について事前に学んでいる方を前提に進めます。以前に弊社の「システム思考トレーニング基礎編」または同等以上のコースを受けていない方には、事前にご受講いただくことを、推奨しております。詳しくは事務局までお問い合わせください。

下記のような方に特にお勧めです。

  • 組織や地域、国を変えたいと願い、そのために自分の力を伸ばしたい方
  • 広く問題・課題の全体像を希求したい方
  • 自分自身の視野を広げたい方、根本を考えたい方
  • リーダーとしての自己の発達に取り組みたい方
  • システム思考の道についてもっと学びたい方

●期待効果

  • 大局を見ることによる課題発見・設定力の強化
  • つながり、全体像を見ることによる概念能力、戦略策定能力の強化
  • 根本を見つめることによる人材育成能力、組織開発能力の強化
  • 組織・地域・現場リーダー、ネットワーク・リーダーとしての熟成・発展

●講師/ファシリテーター

小田理一郎(チェンジ・エージェント)

チェンジ・エージェント代表取締役。オレゴン大学経営学修士(MBA)修了。多国籍企業経営を専攻し、米国企業で10 年間、製品責任者・経営企画室長として組織横断での業務改革・組織変革に取り組む。2005年チェンジ・エージェント社を設立、人財・組織開発、CSR経営などのコンサルティングに従事し、システム横断で社会課題を解決するプロセスデザインやファシリテーションを展開する。デニス・メドウズ、ピーター・センゲ、アダム・カヘンら第一人者たちの薫陶を受け、組織学習協会(SoL) ジャパン代表、グローバルSoL理事などを務め、システム思考、ダイアログ、「学習する組織」などの普及推進を図っている。

ドネラ・メドウズ著『世界はシステムを動く』の日本語版解説を担当。共著に『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか』『もっと使いこなす!「システム思考」教本』(東洋経済新報社)など、共訳書にピーター・M・センゲ著『学習する組織』(英治出版)、ジョン・D・スターマン著『システム思考』(東洋経済新報社)、監訳書にアダム・カヘン著『社会変革のシナリオ・プランニング』(英治出版)、ビル・トルバート著『行動探求ー個人・チーム・組織の変容をもたらすリーダーシップ』他。

セミナー内容

第1~6回の各回共、事前に『世界はシステムで動く』を読んできた内容について、簡単な講義とQ&Aを行い、その後参加者の現実の課題をとりあげながら討議をすることによって、本の内容を体感・実感します。また、各セッション間では簡単な演習を宿題として出し、その内容についてのグループ討論を行います。課題図書『世界はシステムで動く』は各自でご用意ください。

各回の一覧、内容は以下の通りです。

第1回 システムの構造と挙動(1) 【11月1日】

システムとは何か、また、システムの重要な原則である「システムの構造が挙動を起こす」について学ぶ。挙動に影響を与えるストック/フロー、フィードバック・ループ、そして、それらの組み合わせによるシステムの基本構造を紹介する。また、自身の取り組む課題を設定する。(課題図書の対象範囲:第1章・第2章)

第2回 システムの構造と挙動(2)【11月29日】

遅れのあるシステム及び2つ以上のストックがあるシステムの基本構造について学ぶ。遅れがどのように非直感的な挙動を起こすのか、また、複数のストック(システム)の相互作用がどのように非線形性を生み出すのか、を紹介する。自身の取り組む課題についてシステム図を描く。(課題図書の対象範囲:第2章)

第3回 システムの特徴と私たちのメンタル・モデルのよくある盲点【12月20日】

システムが本質的にうまく機能するシステム特徴を理解し、一方でどのように私たちのメンタル・モデルがシステムの現実から乖離していくのか、現場・実社会で見逃しがちなポイントを学ぶ。システム特徴として、レジリエンス、自己組織化、ヒエラルキーを紹介し、身近な事例を探る。また、実践課題における私たちがつい引っ張られてしまう目の前の出来事、線形的な考え方、勝手な線引きを考え、その向こうにある層状の限界、時間的遅れ、限定合理性について考える。また、自身の課題については、盲点となっているところはないかを探り、ループ図を広げ、深める。(課題図書の対象範囲:第3章・第4章)

第4回 システム原型【1月10日】

人間関係、組織、社会などにありがちな問題の基本構造、システム原型を学ぶ。『学習する組織』などでも取り上げられるシステム原型の原案者はドネラ・メドウズであった。本では紹介されていない、システム原型のモデルを紹介し、身近な事例に引きつけて、実践的な活用法を身につける。また、自身の課題の中から、原型を探し出すことを通じて、レバレッジのあるループや処方のヒントを探る。(課題図書の対象範囲:第5章)

第5回 レバレッジ・ポイントを探る【2月7日】

システムを比較的小さな力でも大きく変化させることができる問題のツボ、レバレッジ・ポイントを学ぶ。12のレバレッジを解説、身近な事例を考えると共に、自身の課題におけるレバレッジ・ポイントを探求し、どのように構造変化の工夫ができるかを考える。(課題図書の対象範囲:第6章)

第6回 ものごとの見方を根本から変える/まとめ【3月7日】

システムの世界に生きる者として、どのようなあり方・姿勢や行動指針が求められるかを学ぶ。また、セミナーを通じて学んできたことをもとに、自身の課題についてのモデリングと働きかけ、アクションについて総括、発表を行う。最後に全体で学びを振り返る。(課題図書の対象範囲:第7章)

募集要項

日時

2016年11月1日、11月29日、12月20日、

2017年1月10日、2月7日、3月7日

いずれも火曜日夜の19時から21時45分

場所

四ツ谷駅より徒歩8分

価格

全6回・・・9万円+税(税込97,200円)

単回での参加も受け付けます。 ・・・1回あたり18,000円+税(税込19,440円)

*「NPO職員の方」・「小中高教員の方」は30%引きとなります。事務局 info@change-agent.jp までお問い合わせください。

  お休みしてしまった場合・・

当日仕事の都合などで欠席してしまった場合、その回の分は、後日小田の講義部分の音声をお聞きいただくことでフォローアップいただけます。(お休みした回のみ)

【対象者】 全6回をセットでお申し込みいただいた方限定(単回の方は対象外となります)

定員

約20人

最小催行人数 5名

お申し込み

下記フォームより、必要事項をご記入の上、お申込みください。請求書・領収書が必要な場合は備考欄にお書き添えの上、ご相談ください。

ご入金確認を持ちまして正式な受付となります。その後、受講票と詳しいご案内を電子メールでお送りいたします。(※フォームからの送信ができない場合は、大変お手数ですが事務局 info@change-agent.jp まで下記申し込み票の項目をご記入いただき電子メールでお送りください。)

本コースはおかげ様を持ちまして募集を終了いたしました

※受付確認後、振り込み口座をお知らせいたします。入金確認を持ちまして正式な受付となります

※お申し込み後、一週間たちましても返信が届かない場合は、インターネットの送受信にトラブルがあることも考えられますので、ご一報いただけますようお願い申し上げます。 

お問い合わせ

(有)チェンジ・エージェント 担当 岩下、小田
E-mail: info@change-agent.jp Tel:03-5846-9660

▼   ご参考情報 課題図書「世界はシステムで動く」について  ▼

目次 / 訳者まえがき / 解説 (小田理一郎解説の冒頭部分をご紹介)

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ドネラ・H・メドウズ (著)、枝廣淳子 (翻訳)、小田理一郎 (解説)
出版社:英治出版(2015/1/24)

株価の暴落、資源枯渇、価格競争のエスカレート......目の前の出来事がどのような、大きな趨勢の"一角"なのか? 

物事を大局的に見つめ、真の解決策を導き出す「システム思考」。ストック&フローやフィードバックループから、レバレッジ・ポイントの見つけ方やシステムへの介入者のあり方まで、いまなお世界中に影響を与えつづける稀代の思考家ドネラ・メドウズ氏がわかりやすく解説。世界の多くのシステム思考家の間で指南書として親しまれています。


課題図書『世界はシステムで動く』目次

第1部 システムの構造と挙動

第1章 基礎

部分の総和以上のもの

ゲームのプレーヤーの向こうにあるルールを見る

バスタブから学ぶ入門編 システムの経時的な挙動を理解する

システムはどのようにして自らを動かすか  フィードバック

安定化のループ  バランス型フィードバック

どんどん進行するループ  自己強化型フィードバック

第2章 "システムの動物園"にちょっと行ってみる

ひとつのストックからなるシステム

ストックがふたつあるシステム

第2部 システムと私たち

第3章 なぜシステムはとてもよく機能するのか

レジリエンス

自己組織化

ヒエラルキー

第4部 なぜシステムは私たちをびっくりさせるか

魅惑的な出来事

非線形の世界における線形的な考え方

存在していない境界

層状の限界

至るところにある時間的遅れ

限定合理性

第5章 システムの落とし穴・・・・・・とチャンス

施策への抵抗   うまくいかない解決策

共有地の悲劇

低パフォーマンスへの漂流

エスカレート

成功者はさらに成功する    競争的排除

介入者への責任転嫁    中毒

ルールのすり抜け

間違った目標の追求

第3部  システムと私たちの根底にある価値観に変化を創り出す

第6章 レバレッジ・ポイント  システムの中で介入すべき場所

12 数字

11 バッファー

10 ストックとフローの構造

9 時間的遅れ

8 バランス型フィードバック・ループ

7 自己強化型フィードバック・ループ

6 情報の流れ

5 ルール

4 自己組織化

3 目標(ゴール)

2 パラダイム

1 パラダイムを超越する

第7章 システムの世界に生きる

システムのビートを理解する

自分のメンタル・モデルを白日にさらす

情報を大事に考え、尊重し、広げる

言葉は注意して用い、システムの概念で強化する

測定可能なものだけではなく、大事なものに注意を払う

フィードバック・システムのためのフィードバック方針をつくる

全体の善を求める

システムの知恵に耳を傾ける

システムの中の責任のありかを見つける

謙虚であり続け、学習者であり続ける

複雑性を祝福する

時間軸を伸ばす

学問の"領域"に逆らう

思いやりの境界線を拡大する

善の目標を損なわない

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訳者まえがき

「著者のドネラ・メドウズさんって、どんな方だったのですか?」と聞かれたら、ドネラさんを知る多くの人は「複雑なことでも、その本質をわかりやすく伝えてくれる人です」と答えるでしょう。

日本でも多くの人に読まれた「世界がもし100人の村だったら」というエッセイも、ドネラさんが複雑なことをわかりやすく私たちに伝えてくれた、よい例です。

ドネラさんはもともと、「システム・ダイナミクス」と呼ばれる、社会や生態系などあらゆるものを、相互に複雑につながり合った「システム」としてとらえ、そのダイナミクスをコンピュータ・モデルで分析するという学問の研究者でした。

「システム」とは何でしょう? そして「システム」として考えることはなぜ重要なのでしょう? 

ひとつ、例を挙げましょう。かつて奄美大島ではハブに噛まれる人がいて、「問題だ」となりました。人々は「ハブをやっつけるには......そうだ、マングースだ!」と考え、マングースを連れてきて島に放しました。ところが、マングースは、ハブと命がけで戦う代わりに、ほかのもっと弱い動物を餌にしまし た。そうして、ハブは減らず、マングースは増え、天然記念物のアマミノクロウサギが絶滅の危機に瀕することになってしまったのです。

この実話は、自然や社会のシステムはこのようにさまざまなものが複雑につながり合っているのに、その一部だけを取り出して考えると、期待した効果が生まれないばかりか、新たな問題を生み出すこともある、という一例です。そうならないよう、あらゆるものを「システム」として考え、分析するのが「システ ム思考」です。

さらに、さまざまなシステムを分析することで、システム独自の特徴や性格、注意すべき点などを理解し、氷山の一角でしかない「出来事」レベルではなく、システムの「構造」やその奥底にある「メンタル・モデル」(意識・無意識の前提、思い込み)に働きかけることで、必要な変化をより効果的に作りだして いくことができます。

日本社会も私たちの暮らしも、"これまでどおり"が通用しない時代に入りつつあります。温暖化の危機、エネルギー問題、金融危機の再来の可能性、人口減少・高齢化、非正規社員や貧困層の急増(今や日本の子供の6人にひとりは貧困層です)、年金をはじめとする社会保障制度の行き詰まり、社会のつながり の弱化、政府への信頼の低下......。

今日も明日もこれからもずっと、新聞やテレビのニュースはさまざまな事件や出来事を報道するでしょう。私たちの家庭や会社、地域でも、毎日さまざまな出来事が起こることでしょう。

そういった「出来事」に一喜一憂、右往左往し、後手に回って対応するのではなく、目の前の出来事がどのような大きな趨勢の"一角"なのか、その趨勢を作りだしているのはどのような構造なのかを考え、見抜くことができるとしたら、毎日がどれほどラクになることでしょう。自分自身や、家族や組織、地域 も、社会が「システム」として持っている特徴や落とし穴をあらかじめ知っていれば、より上手につきあうことができるようになるでしょう。時代や社会の変化に蹂躙されるのではなく、その変化を望ましい方向に向けていくこともできるでしょう。

不確実で不安定な時代になればなるほど、「システム的」な考え方やものの見方、変化の創り方が必要になります。システムとは本来的に複雑なものですが、そのシステムをどのようにとらえればよいのか、どのような特徴があるのか、どのようなことに気をつけるべきなのか、ドネラさんは本書で、だれもが知っ ておくべき本質的で重要なことを、本当にわかりやすく教えてくれています。

システム・ダイナミクスという学問ではコンピュータ・モデルを使った解析をしますが、コンピュータやモデリングは脇に置いて、システム的な考え方を 身につけるだけでも、日々の暮らしや組織運営、社会変革などにとても役立ちます。それが本書の教える「システム思考」です。本書を「なるほど」「たしかに そうだなあ」と読み進めるうちに、システム的なものの見方や考え方が身につき、「いつもはまっていた落とし穴」も避けられるようになるでしょう。

システム・ダイナミクスの研究者だったドネラさんは、あるとき「研究者をやめます」と宣言し、ジャーナリストに転身しました。「世界がもし100人 の村だったら」をはじめ、多くのエッセイや記事をたくさんの新聞等に寄稿し、システム的なものの見方や考え方、システム的に見た日々の出来事や状況の裏側 にある構造を、一般の読者にわかりやすく伝える活動に転換したのでした。

その理由も、本書を読めばわかります。システムをよりよいものに変えていくためには、「情報をつなぐ」ことが効果的な介入策であることがわかっているのです。ドネラさんは、専門性を追究するよりも、「情報をつなぐ」ことで世界をよりよい方向に変えようとしたのです。

私自身は、残念ながら、生前のドネラさんにお目にかかることはありませんでしたが、ドネラさんとのつながりは強く感じています。ドネラさんとデニ ス・メドウズさんは30年以上まえに、世界中のシステム思考や持続可能性の専門家の国際的ネットワーク「バラトン・グループ」を立ち上げ、活発な活動を 行ってきました。その仲間たちが、急に世を去ったドネラさんをしのび、ドネラさんのように世界を変える力をもった女性を育てたいと設けた「ドネラ・メドウ ズ・フェローシップ」の一期生のひとりに私も選んでいただき、このグループの合宿に参加するようになったのです。

合宿のたびに、ドネラさんがいかに愛情にあふれた人だったか、理性と鋭い洞察の人だったか、そして、どれほどすばらしい"伝え手"だったか、亡く なって10年以上たつ今でも、仲間たちは繰り返し教えてくれます。今回こうしてその教えを伝えることができ、バラトン・グループの仲間たちもとても喜んで くれています。

英治出版の編集者・山下智也さん、同僚の小田理一郎、佐藤千鶴子、イーズの翻訳者育成コースの受講者のみなさんのおかげで、ドネラさんの笑顔のあふ れる軽やかな語り口のシステム思考の入門書を翻訳し、みなさんにお届けすることができます。ドネラさんの名前を冠したフェローシップの一期生としての役割 が少しは果たせたかなとうれしく思っています。

システム思考の豊かで深くてびっくりするような世界を、どうぞお楽しみください!

2014年12月 枝廣淳子

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『世界はシステムで動く』の付録、小田理一郎解説の冒頭部分の紹介

システム・ダイナミクス学派の誕生


「システム思考」と一言でいっても、実は数多くの学派や流派がある。古くは、仏教や中国古典に見られる東洋思想、あるいは、ギリシャ文明やメソポタミア文明の賢人たちの哲学や知恵はたいていシステム的な考え方に基づくものである。近代では、工学分野や生物学分野でシステム的な考え方が発展し、生物学者のベルタランフィがそれらを統合して一般システム理論を築き、1950年代から社会科学分野にもシステム思考の学派が発展していく。

数多くのシステム思考がある中で、どのシステム思考も人や社会や自然を徹底的に観察して見いだした法則であるゆえに共通点も多いが、異なる点もある。また、すべてのシステム思考の流派が実用的とは限らず、活用の目的や領域にもよるであろう。ドネラ・メドウズは、システム・ダイナミクス学派に属する。数あるシステム思考の中でシステム・ダイナミクス学派は、ビジネスや公共政策、家庭から地域、組織、社会での問題解決、国際的な課題や学際的な課題への応用など実践的な分野で特に有用性が広く認められているシステム思考の一つである。

システム・ダイナミクス学派は、1950年代前半にMITがハーバード大学のビジネススクールに対抗できる新しいビジネススクールを築くために、輝かしい実績をもつエンジニアのジェイ・フォレスターを招聴したことに始まる。ビジネスの成長や衰退、景気や在庫の循環、問題解決の成否など、ビジネスで起こるさまざまな現象について、底流を流れるパターンやそのパターンを形作る構造をシステム的に見ることによって、ビジネスを成功させるための非直感的な洞察を次々と積み上げていった。ジェイ・フォレスターや彼の教え子たちはコンピュータ業界をはじめとするハイテク産業の経営者たちにアドバイスし、その隆盛を支えた。主にビジネス向けに活用されたこの学派は当初「インダストリアル・ダイナミクス」と呼ばれていた。

1960年代から、この学派はビジネスの枠組みを超えて、社会問題、経済問題、地球環境問題などの課題に取り組むようになっていった。ビジネスや企業組織がシステムなら、社会や経済や環境もまたシステムである。1970年、ジェイ・フォレスターの本を読んで学派に加わったドネラ・メドウズは、「システム・ダイナミクス」と呼ぶことを提案し、ジェイ・フォレスターがそれを受け入れ、以来そう呼ばれるようになった。

「成長の限界」の衝撃


ドネラ・メドウズは、人口と経済の成長が工業、農業、資源、環境などとどのように相互作用するかをモデル化するワールド・モデル3プロジェクトに参画し、特に人口モデルの精綴化に大いに貢献した。このプロジェクトの研究成果が、ローマクラブによって発表された「成長の限界」レポートである。ドネラ・メドウズはその卓越したコミュニケーション能力によって、レポートのメッセージをわかりやすく解説し、またその後37カ国で1200万部以上出版された同名著作シリーズの主著者となった。

このレポートでは、人口や経済の幾何級数的成長がそのまま続けば、21世紀半ばまでに食料、資源、環境汚染問題などの次々と現れる層状の限界へと対応に追われ、成長は反転して崩壊を迎えることを警告すると同時に、持続可能な発展を遂げれば崩壊を避けることは可能であることを訴えた。最近の研究から、その後40年の軌跡はやがて崩壊にいたるベースシナリオの軌跡をたどっていることが確認されている。また、当時は概念的な資源量や環境の吸収能力の限界が示されていたが、昨今ではこの分野の研究も進み、マティース・ワケナゲルらの「エコロジカル・フットプリント」やヨハン・ロックストロームらの「プラネタリー・バウンダリー」などを通じて、現在の人間活動による活動量と限界の関係がより具体的に明らかになっている。

システム・ダイナミクス学派の当初の発展は、創始者の深い洞察による面が多かったが、そこに学術的、建設的に批評する文化を植え付け、その方法論を体系的に築いたのもドネラ・メドウズの功績だ。経済や経営の意思決定の際の分析に標準的に使われるのは、たいてい、数量経済学モデル、最適化モデル、インプット-アウトプット・モデルとシステム・ダイナミクス・モデルのいずれかである。ドネラ・メドウズは、これらの方法論のメリットやデメリットを鋭く批評し、定量化モデルの活用に関するさまざまな教訓を残し、この本でも数多く紹介している。世界に名だたる組織の官僚たちが表面的な、目に見えている数字だけを取り上げて、コインの裏返しのような議論に終始している状況に業を煮やし、思わず白板に書き出したのが、「システムの12のレバレッジ・ポイント」(第6章)である。世界の多くのシステム思考家の間で指南書として親しまれている。

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(有)チェンジ・エージェント 担当 岩下、小田
E-mail: info@change-agent.jp Tel:03-5846-9660

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