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ピーター・センゲ氏・野中郁次郎対談報告

2008年03月26日

2008年1月30日、MITのピーター・センゲ氏が初来日をして、一橋大学の野中郁次郎氏との対談がSoLジャパンの主催で行なわれました。

まず、最初の基調講演で野中先生は、「リーダーシップとは、ビジョン、対話、実践、場、知識資産、環境をトータルに関係づけて、知の綜合力を発揮させるダ
イナミック・プロセスである」と話しました。戦略とは知識創造プロセスそのものであるとして、提唱する賢慮型そのリーダーシップを高める上で重要な6つの
能力をあげています。

(1) 善いことを判断する能力
(2) 場づくりの能力
(3) 個別の本質に気づく能力
(4) 個別の気づきを言葉にする能力
(5) 言葉を実現する能力
(6) 賢慮を伝承・育成する能力

そして、企業は「マネー・メイキング・マシーン」にあらず、万物流転のように変わりゆくリアルな「場」の中で知識を創造しつづける「生き方」であるとしました。

ピーターはそれを受けて、「野中先生の提唱する知識創造企業のフレームワークは、「学習する組織」ととても酷似している」と語り、また、野中先生の発した企業とは「生き方」であるという命題を深彫りします。

ピーターは、「工業化時代の象徴ともいえる「アセンブリ・ライン」の支配的な価値観の「効率性」と「均一性」はとても非人間的であり、また利益追求は企業の存続条件に過ぎず、目的にはなりえない。温暖化、食糧、水、廃棄物問題などのさまざまな環境変化を迎えた21世紀の企業にとって、もっとも重要なのは「生命を育む生き方」の希求である」と結びました。

2人の対談では、トヨタ生産システムは世界の企業で取り入れられているにもかかわらず、なぜトヨタほどの成果が出ないかというピーターの問いに、野中先生は「トヨタ生産システムは生き方ではない。より高次の暗黙知が必要」と答え、学習にもっとも重要なのは、現実の経験の起こる「場(=今、ここ、関係性)」であり、また「模範的人物」と一緒に働くことで暗黙知を伝承できると結びました。

その後のパネル・ディスカッションとワールド・カフェが行われたこのシンポジウムは、協力・参加くださった皆様のおかげで盛会のうちに終えることができました。

(この会の詳細は、SoLジャパンのウェブサイトで講演録等が掲載される予定で
す。)

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