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今回とりあげた医療制度問題でもそうですが、さまざまな利害関係者が複雑に絡み合っている問題の解決は簡単なことではありません。ありがちなのは、それぞれの関係者が自分の主張を支持する証拠を集め、相手の意見を否定したり、無視することです。こういった議論の根底にあるのは、「自分が正しい、違う意見は間違っている」という考えです。しかし、それでは、どちらが正しいかの議論にしかなりません。
このようなときに必要なのは、「もし、どちらも正しいとしたら」と考えることではないでしょうか。そうすることで、全体像が浮かび上がり、メンタルモデルが広がっていきます。また、全体像に照らし合わせると、どちらも真実の一部でしかないことがわかります。どの利害関係者にとっても、全体のシステムの健全性を確保しなければ、長期に目的を達することはままならないでしょう。
システム全体の健全性を確保するには、システムの利害関係者が一堂に集まって、一緒に全体像を理解し、共有ビジョンを描き、それぞれの考え方や行動を変容させることが大事です。
先日のシミュレーション・ゲームを使った話し合いに参加して、システム思考のループ図やシミュレーションは、全体像の理解や関係者間のダイアログを支援する強力なツールとなることをあらためて実感しました。