News & Columns
9月上旬、ハンガリーのバラトン湖畔にて、世界中から集まったシステム思考家たちの合宿に参加しました。著名なシステム思考家のデニス・メドウズ氏と故ドネラ・メドウズ氏が27年前に創立した「バラトン合宿」です。枝廣は8回目、小田は4回目の参加となります。
この合宿の特徴は、システム思考やシステム科学に関する最新知識と世界での実践の最前線を学びながら、世界にちらばる同志たちとの旧交を温め、新たな仲間と出会い、そして、互いにメンターとなって、励まし合うことにあります。
この合宿に参加する都度、参加メンバーは自身の使命や活動の根源の想いを見つめ直し、新鮮なアイディアとエネルギーに満ちることができます。そして、しばしば、そこから新しいプロジェクトが起こり、バラトンメンバーとのコラボレーションという形で結実するものもあります。今年もいくつもの新規プロジェクトを携えて日本に戻ってきました。
このようなコミュニティのあり方は、「コミュニティ・オブ・プラクティス(実践コミュニティ)」と呼ばれます。こういったコミュニティの運営には、いくつかの基本ルールがあります。バラトン合宿のルールはシンプルで、ひとつは「けっして部屋に閉じこもらず、できるだけ多くの人たちと話をすること」。もう一つは、「相手の立場に立って、どうすれば相手にとって役立てるかを考えること」です。
この2つの基本ルールから、多くの自己組織的なミーティングやセッションが生まれ、休憩中も食事中も、そして夜中まで、エネルギーと想いに満ちた会話が延々と続きます。その結果、それぞれのメンバーの活動の質の向上や、メンバー間のコラボレーションにつながり、世界中でのうねりをつくり出すことすらあります。
大きな力を与えてくれるこの「バラトン合宿」や「実践コミュニティ」が、日本にもあったらどんなによいことかと考えています。