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韓国へ:システム・ダイナミクス学会と韓国の若者たち

2010年08月16日

先日、国際システム・ダイナミクス学会参加と枝廣淳子の講演のため韓国を訪れました。

システム・ダイナミクス学会への参加は去年に引き続き2度目です。システム思考を学んでしばらくした頃、師であるデニス・メドウズ氏に「システム思考をさらに学ぶにはどうすればよいか?」と聞いてみました。彼は、システム・ダイナミクスを学ぶことだと教えてくれて、それから、彼自身からモデリングを学んだほか、ウースター工科大学の通信プログラムや、MITの集中コースなどで、システム・ダイナミクスの基礎を学んできました。

おかげで、クライアントとシステム的な対話をしたり、問題構造を見抜いたりするのに、とても役に立っていると思います。同じくシステム・ダイナミクスを学んだピーター・センゲの話を聞いているときも、彼の頭の中でどのようなモデルを組み立てているかがよくわかります。

システム・ダイナミクスは、大規模なモデルを構築したり、コンピューター・シミュレーションを行ったり、と専門性はより高いです。しかし、とても実践的であり、いかに現実の問題解決に有益な洞察や視野の広がりをもたらすかという点に集中し、まさにシステム思考の要諦を押さえた議論が繰り広げられます。

今年の発表でも、
・温暖化やピークオイルを控えて、自然エネルギーの普及を国や州レベルでどのように政策設計するのが望ましいか
・どうすれば難航する温暖化対策の国際交渉を前進させることができるか
・サブプライムをきっかけに陥った金融危機の後、どのような資本主義経済の設計が望ましいか
・鳥インフルエンザなどの国境を越える疫病にどのように対処するか
など実践的で時宜を得たテーマが目立ちました。

印象的だったのは、開催国である韓国からの参加者がとても多く、また、学会運営を支えるために、とてもたくさんの韓国の若者が関わっていたことです。たどたどしい英語でも、臆することなく参加者を迎え入れ、学会運営のロジスティクスをしっかりこなしていました。

実は、韓国訪問のもう一つの目的ある講演でも、韓国の若者たちの活躍ぶりに目を惹かれました。講演を招聘したのは、韓国科学技術院(KAIST)という、日本の工科大学に研究機能を加えたような教育機関です。

「科学技術を社会に融合させる」というテーマでの1週間の夏季集中ワークショップで、周辺の学生や研究者200人が集まっていました。招聘される講師30余名の半数は海外からで、全体総会と4つの分科会を組み合わせて、すべて英語で会議が運営されます。

今年4回目となるワークショップですが、驚いたことに運営はすべて学生ボランティアのみで行っていました。事前の招聘のやりとりをしているとき、英語がたどたどしいなとは思っていましたが、現地に行ったらそれもそのはず、招聘の交渉から案内まですべてを20歳前後の若者たちが取り仕切っていたのです。しかも、予算も自分たちで企業などを回って集めているというのですから驚きました。

駅で迎えに来てくれた学生は大学1年生。しかし、堂々としたもので、お昼ご飯を食べながら、将来の夢やなぜ今の勉強をしているのかを聞いたとき、自分自身の経験に依拠しながらもグローバルな視点でしっかりした答えがかえってきました。

私たちも仕事やボランティアを通じて、日本の学生や若者たちに多く接してきましたが、グローバル人材という観点でいえば、韓国の若者は一歩も二歩も先を歩んでいるなと感じざるを得ませんでした。

私たち、チェンジ・エージェントがさせていただく仕事も、ここ2~3年は、アジアやアフリカを巻き込んだ依頼が多く、グローバル化してきていると感じます。いち早く経済大国として成長した日本だからこそ、感謝の気持ちを世界への貢献へとつなげいきたいと考えています。そして、世界の発展に貢献するような人材づくりも、この日本でもっともっとしていきたいという思いを強くしています。

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