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イノベイティブ、グローバル、オーセンティックなリーダー

2010年09月09日

システム思考を基盤とした研修を提供している中で、最近はビジネスモデルや事業戦略の策定及び遂行能力を高めたいとの要望をよく頂きます。それぞれの企業の次世代を担う経営者候補の方々と、現在及び将来の事業戦略に関して議論します。戦略論、財務、マーケティングなどのテクニカルなトレーニングも交えますが、多くの場合はどのように考えるか、発想するかの「思考力」やリーダーシップに欠かせない「人間力」を鍛えることが主要テーマとなります。

日本の企業の多くは国内市場が成熟・飽和状態であることもあり、たいてい、新しい市場・ビジネスの開発が戦略上の重要テーマとして浮上します。血みどろの競争を繰り広げるレッド・オーシャンではなく、いかにしてブルー・オーシャンに打って出るかが鍵になります。国内外にある貧困問題や社会問題、環境問題をかんがみれば、まだまだ満たされていない新たな潜在ニーズを掘り起こし、それを実現することが企業の使命であり、企業が社会から必要な存在と認められる源泉でもあります。

マネージャーたちが乗り越えて行かなくてはいけないチャレンジがいくつかあります。最初のチャレンジは、「いかに斬新な発想でイノベーションを起こせるか」です。多くのマネージャーは、今までの事業環境や戦略、業界の常識などにとらわれて、なかなか斬新な発想ができません。そんなとき、「思い込み」をいかに手放せるかが鍵になります。そのために、「メンタル・モデル」、「バックキャスティング」、「U理論」など世界のベスト・プラクティスとなっている概念や手法を紹介し、実践しています。

次のチャレンジは、「いかに日本人的な発想や価値観から抜け出して、グローバルな視点で考え、行動できるか」です。もちろん、日本人としてのアイデンティティは重要ですが、それを活かしつつも海外のメンバーやパートナーとの多様性を活かすような仕事の進め方や話し方が欠かせません。英語でのコミュニケーション力が最初の関門ですが、それだけでなく、思考が「ガラパゴス化」していると厄介です。英語ができる人にとっても、海外の人たちと互いの前提を上手に明確化して議論やダイアログをリードすることは簡単ではありません。日本人の持っている暗黙の前提に注意を払うとともに、状況や環境を徹底的に観察して、もっとじっくりと相手国を知ることも重要でしょう。

そして、最近のリーダーシップ論で注目を集めているのが「オーセンティック・リーダー(正真正銘のリーダー)」です。理念や戦略を頭で考えたり、口で唱えるだけでなく、「いかにあるべき姿や行動を体現し、自ら模範を示す存在となれるか」がチャレンジとなります。個人、組織、そして社会にとって、何が大切かを語りながら、自ら率先して実践することはもちろん重要ですが、究極的には、行動(Doing)以上にその人の「あり方、生き様」(Being)が問われます。

講師を務める私たち自身、「あり方」を追い求めることは永遠の課題だと思っています。そして、あらゆる人が常に自分を磨き続ける「学習者」であると信じています。自分を磨き続けるには、大志が欠かせません。物質的な豊かさを実現し、むしろモノがあふれる国に住む私たちが、ビジネスを通じてどのように社会に役立つのか、働くことの意義を見出すのか――これがこれからのビジネス・リーダーには重要な問いかけです。

システム思考は「ホリスティック(全体的)」な視点を与えてくれます。さらに「イノベイティブ」「グローバル」「オーセンティック」は、人財育成の現場での関心事であり、私たちチェンジ・エージェントも効果的にその支援ができるコンピテンシーを磨いていきたいと考えています。

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