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あけましておめでとうございます。

今年も昨年の振り返りと、そして新しい年の抱負でこのメルマガを始めます。

まず2010年。私たちにとって駆け抜けるように過ぎていった年ですが、振り返ってみればとても充実をした年となりました。昨年のハイライトは以下の通りです。

●チェンジ・エージェント社5周年記念講演・ワークショップ開催

●システム思考の入門書『もっと使いこなす!「システム思考」教本』上梓
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4492532773?ie=UTF8&tag=changeagentjp-22

●変革ファシリテーター、アダム・カヘン氏招聘(SoLジャパン)

●システム思考の第一人者、デニス・メドウズ氏来日、講演・ワークショップ開催

●2011年よりサステナブル・フード・ビジネス研究会に十社以上が集結

●国内で数多くの組織・個人にシステム思考、学習する組織、リーダーシップ研修実施

●途上国への「ラーニング・ジャーニー」3年目を迎える

●インドネシア・ボゴールで、リーダー能力開発ワークショップ開催

●アイスランドで行われたバラトン合宿で、欧米で胎動する「新しい資本主義」についての知見を学ぶ

●サステナビリティを目指す変化の担い手の実践コミュニティ「清里合宿」を開催

1月に仲間たちと行った清里合宿を通じて自社・自分自身の使命を明確に感じ取り、以来その使命感を明確に感じながら、現れ出るものを次々と形にしていったように思います。今年3年目となるインドネシアでの『ラーニング・ジャーニー』では、さらに明確に使命とビジョンを明確にし、4月に来日したアダム・カヘン氏と過ごした期間でビジョンの試作品ともいえるプロトタイプを築きました。

それからも、全力で走り抜けるような1年でした。人づくり、リーダー育成、組織改革、持続可能な社会づくりの活動に打ち込み、国内外で仲間を広げ、問題意識の幅広い共有ができてきたように感じています。その結果、私たちの仲間からも、変革を志向する組織やネットワークが次々と生まれ始め、一緒になって変化のうねりが起こりつつあると感じています。

2010年は、これからの変化を実現するための新しい基盤づくり、プロトタイプづくりの年と位置づけられると思っています。2011年は、そうした基盤やプロトタイプをさらに展開させて、仲間たちとともに手足を動かして新しいものを創りだす『共実現』の年にしていきたいと考えています。

以下、今年の抱負を述べていきます。「人づくり」「組織づくり」「社会づくり」の3つに分けて考えます。

●変革のための人づくり、グローバルな人材づくり
変革のための理論、技、実践を広げるため、「思考力」「共創力」「ビジョン力」を伸ばすための情報提供、本、講演、セミナーを提供します。

システム思考/学習する組織のセミナーを開催していきます。ベーシックコースは、3月に大阪、名古屋、福岡でも開催の予定です。

○システム思考トレーニングベーシックコース
http://change-agent.jp/products_services/training_program/lineup_st_2.html
○システム思考トレーニングアドバンスコース
http://change-agent.jp/products_services/training_program/lineup_st_3.html
○システム思考入門コース
http://change-agent.jp/products_services/training_program/lineup_st_1.html
○学習する組織リーダーシップコース
http://change-agent.jp/news/archives/000301.html

これらのコースは、企業や政府組織の研修でも活用されております。主に、役員・部長・課長・マネージャーなどを対象に実施していますが、若手向けの研修も行っています。いかに未来を自ら創っていくか――変化の基盤となるシステム思考を、組織や社会で働くすべての人に身につけていただけるよう、地道な努力を続けていきます。

とりわけ、今日の経済状況をみたとき、「グローバル人材の育成」は今後のキーワードになっていくことでしょう。チェンジ・エージェント社では、以前より途上国のリーダー育成、JICAを通じた国内外の専門家・研修生のトレーニング、企業でのグローバル人材育成のお手伝いをしてきました。今までの経験を活かし、2011年も、国内外のリーダー育成に向けて、システム思考、学習する組織をはじめとする変革志向のリーダーシップ醸成のプログラムを提供していきます。

●しなやかに、進化し続ける組織づくり

ピーター・センゲの『The Fifth Discipline』の完全版/第2版の翻訳をほぼ終えて、今年中に出版される予定です。この本は、20世紀を代表する経営書として世界的に称えられる名著であり、まさに「学習する組織のバイブル」と言えるでしょう。

私たち自身、翻訳をしながらあらためてこの本の素晴らしさを実感しました。とりわけ、第2版で書き下ろされた100ページにも及ぶ実践事例、知恵と技の数々は、組織開発のプロフェッショナルのみならず、社員をもつすべての経営者、部下をもつあらゆるマネージャーに読んでほしい内容になっています。発売の日程が決まりましたら、このメルマガでもただちにご案内します。

そして、ここ1-2年、企業などの組織づくりをお手伝いすることが増えてきました。21世紀の経済や社会は明らかに20世紀とは異なります。激しい環境変化に合わせて進化する組織、あるいは衝撃に耐え、復元するようなしなやかな組織が求められる中、多くの組織が旧態依然とした20世紀型の組織、戦略、ビジネスモデルを保ち続けています。今の閉塞感を打ち破るような、チャレンジをし続け、失敗からも成功からも学習し、しなやかに進化し続ける組織づくりを支援していきます。

●持続可能な社会づくり

本年も「持続可能なビジネスモデルを考える力をつける集中ゼミ」を継続して実施していきます。このゼミでは、資源制約下の時代にいかにビジネスが繁栄していけるかの新たなビジョン、事業戦略、ビジネスモデルを考えます。
○集中ゼミ http://change-agent.jp/news/archives/000186.html

今年は年初より、食品関連企業十数社のみなさんと一緒に、「サステナブル・フード・ビジネス研究会」が始まります。企業のイノベーションや創造の力を、社会的な課題解決に向けて活かし、新しい経済モデルを築いていく方法をともに考え、対話の輪を広げながら、新しい食料システムの実現を模索していきます。

さらに、私たち、組織の枠組みにとどまらず、資本主義の新しいモデルの模索を本格化させていきます。金融資本を活用して大量生産を可能にする工業資本を拡大成長させていく資本主義モデルは20世紀を通じておおむね成功し、この文明に多くの恩恵を与えてくれました。しかし、資源制約、金余りの時代となった21世紀、少なくとも高いレベルでの物質的成長を成し遂げた先進国において、アングロサクソン型の資本主義モデルは未来への希望を与えてくれるものではなくなっています。

「問題をつくりだした思考と同じ思考では、その問題は解決できない」―アインシュタインの言葉通り、今こそパラダイムの転換が求められます。

どのようなパラダイムがこの文明の繁栄を持続可能なものにするのか、その具体的な姿は模索中です。かつての日本型経営には多くの示唆がありますが、単に昔に回帰するものでもないでしょう。しかし、それが、ヒト、モノ、カネの間の価値関係を変えるものになることは間違いありません。自然資本を守り、人的資本と社会資本を充実させる「生命資本主義」、つまりモノやエネルギーにばかり頼らずに人のもつ潜在的能力を開花させ、社会のつながりを強めることで新しい価値を創造する新しいビジョンをもった起業家、経営者、投資家と、そしてそのビジョンを共有しながら一緒にそういった組織や社会を実現する一人ひとりの変革を私たちは必要としています。

そのような新しいパラダイムを求めて、本年も「清里合宿」を開催し、サステナビリティの前線で働く第一人者や組織開発の実践家たちとともに、新しい時代の組織像、社会像を見出していきます。

そして、さらに対話の輪を広げ、新しい社会経済システムを足下から変えていくチェンジ・エージェントのネットワークを広げていくのが、私たちの夢です。

「人づくり」「組織づくり」「持続可能な社会づくり」に向けて、仲間たちの輪を広げて、出現しつつある未来を「共実現」することを今年の抱負として、今まで以上に努力・邁進してまいります。今後ともご指導・応援のほどどうぞよろしくお願いします。

小田理一郎・枝廣淳子

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