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「日経エコロジー」6月号で「バイオ燃料」に関するシステム思考的考察を紹介

2006年05月17日

日経エコロジーの3月号、4月号の「新環境学」のコーナーでシステム思考を紹介したのに続き、6月号の同コーナーで「システム思考③ バイオ燃料がもたらす危機食糧を巡る新たな対立へ」と題した寄稿を行いました。
http://emf.nikkeibp.co.jp/emf/eco/saishingo/

複雑な問題に対して、システム思考が欠如から多くの人が目の前の解決策にとびついています。ガソリンの高騰や脱温暖化のために今注目される「バイオ燃料」ブームはまさにその一例です。

米国のアースポリシー研究所のレスター・ブラウン氏は、「食糧を自動車を所有する8億人と貧しい20億人が同じ穀物を巡って争うことになる」と警告します。トウモロコシやサトウキビから生産されるエタノールや、菜種油やパーム油から生産されるバイオディーゼルなどへの転換を図ることが、さまざまなつながりを経て、食糧危機、貧困層の餓え、砂漠化、生態系破壊、そして温暖化の悪化など、さまざまな「予期せぬ結果」をもたらします。システム思考のツール、ループ図を使ってこのつながりを解説しています。ぜひご覧になってください。

今、アメリカではガソリン価格の高騰を受けて、エタノールの増産に力を入れています。また、日本にもブラジルなどのエタノール大国からの輸入への期待の声が上がり始めています。しかし、日米の政府や産業界には、「バイオ燃料」ブームが何とつながっているのかが視野に入っていないようにも見受けられます。廃材や食物残さなど、副作用はないがまだ技術開発が未熟なバイオマス・エネルギーの開発や、エネルギー消費そのものを見直すことが重要です。

みなが一生懸命、良かれと思って解決策を進めますが、その解決策が何につながっているかを十分に考えず、目の前の課題だけに集中していると、さまざまな「予期せぬ結果」や「副作用」をもたらします。システム思考は、視野を広げ、つながりとその構造を認識することで本質的な問題解決を図ることに役立つのです。

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