サステナビリティ

Sustainability

En-ROADSの使い方

En-ROADSの基本的な使い方は以下の4ステップです。

  1. なりゆきシナリオ(3.6度温度上昇)の現状について、さまざまなグラフを表示して確認する
  2. 目標を達成するための政策を選び、レバーまたはパラメーターを調整する
  3. 政策のインパクトをさまざまなグラフで確認する
  4. 自作したシナリオを共有・発表する

以下、それぞれの説明です。

1) なりゆきシナリオ(3.6度温度上昇)の現状について、さまざまなグラフを表示して確認する

左グラフのスペースでエネルギーの一次需要、最終消費、ミックスなどの2000年からの過去推移と2100年までのなりゆきを確認します。

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En-ROADSには、気候変動やエネルギーなどに関するシミュレーションや実測値に関する101種類のグラフがあります。そのそれぞれのグラフが何を意味するのか、どのような出所から実測値やシミュレーションの前提が構成されているかなどの説明が記載されています。

i_stb_En-ROAD_1-2.png

2) 目標を達成するための政策を選び、レバーまたはパラメーターを調整する

En-ROADSの意図は、温度上昇や海面上昇、あるいは災害や気候変化による経済損失の影響を許容できるレベルに抑えるためには、どのような政策や施策を進めることができるか、また、それぞれの政策でどの程度の効果を発揮できるかをシミュレーションすることにあります。

政策レベルパネルでは、エネルギー関連を中心に18分野の政策が提示されています。レバーは、それぞれの政策が「現状維持」にあって、奨励するか/抑制するかでレバーを左右に動かします。エネルギー政策を、「関連する例」などを参考に、現状からどの程度奨励あるいは抑制するかをレバーで調整します。該当箇所をクリックするとさらに詳細な政策選択肢を調整できます。

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それぞれの政策について、例えば下記の炭素価格のように、政策の詳細なレベルをシミュレーションしたい場合には、該当政策分野をクリックして詳細のレバーを表示させます。それぞれの政策レバー項目の前にある▼をクリックすると、展開して説明が表示されます。

i_stb_En-ROAD_1-4_Policy_Levers.png

3) 政策のインパクトをさまざまなグラフで確認する

右グラフで温室効果ガス排出量や2100年の気温上昇へのインパクトなどを確認します。作成したシナリオが、なぜ、どのように温室効果ガスの削減につながるのか、あるいは、他にどのような影響が出るのかを確認しましょう。黒線のベースラインに比べて、選択した政策の効果が青線で表示されます。グラフや気温上昇数値の変化を確認しながら、目標を達成するか所定時間になるまで、さまざまな政策選択肢を探求します。

デフォルトの画面だけでなく、表示メニューから「茅方程式グラフ」や「ミニチュア画面」を表示するとインパクトの概要が可視化されます。

i_stb_En-ROAD_1-5_KayaGraph.png

i_stb_En-ROAD_1-6_MiniatureGraph.png

En-ROADSには19分野の前提諸元について、シミュレーションに活用されるパラメータなどを確認すること、あるいは、レバーを動かすか数値を入力してシミュレーション結果を調整することもできます。

i_stb_En-ROAD_1-7_En-ROADS_Assumptions.png

前提事項毎に▼をクリックすると、それぞれのパラメータに関する説明や数値変更の意味合い、目安などを確認することができます。(もう一度クリックすると情報が隠れます。)

前提諸元にあるのは、気候システムなどの感度、資源供給や吸収源の制約やポテンシャル、政策の効果や技術開発に関するパラメータです。En-ROADSのシミュレーション結果は、複雑なシステム間の相互作用を計算しますので、「思ったよりも結果が出ない」とか「想像以上に効果がある」など、頭の中のイメージと違う結果になることはむしろ自然なことですし、また、そうした複雑なシステムに関する驚きを発見するためのツールでもあります。

一方、それに納得するには、どのように前提が設定されているかを確認することも大事でしょう。さらに、前提が違うのではないかと考える場合は、そのパラメータを動かして自身が妥当と思う前提でシミュレーション結果を確認したり、感度分析を行うことができます。

4) 自作したシナリオを共有・発表する

政策の検討が終了したら、作成したシナリオについて以下の問いについて考えてみましょう。画面右上シナリオのリンクをコピーしてファシリテーター・講師に提出しましょう。

  1. あなたの戦略で最も重要な上位3~5つの方針(例えば、動かした政策レバーの中で最も重要なもの)は何ですか? 
  2. あなたの提案シナリオを実現するために、企業、NGO、政府、国民は、今後2年間でどのような行動と優先順位が必要ですか?
  3. あなたの提案する未来において、世界的に大きな勝者と敗者となるのは誰でしょうか? それぞれ列挙しましょう。
  4. En-ROADS で捉えたエネルギー・気候システムの挙動について、驚いたことは何ですか? 例えば、どのような政策が、想像よりも大きな影響、あるいは小さな影響を与えたのでしょうか?
  5. あなたの提案が可能であると希望をもてるような世界のトレンドは何ですか?
  6. 必要な変化を生み出すために、あなた自身ができることは何ですか?

このシミュレーターの基本モデル構造はこちらをご覧ください。また、技術開発や需要、気候、経済影響などの前提、感度については、シミュレーションメニューの前提諸元から確認し、また、前提を調整することも可能です。

なお、エネルギー政策の代わりに、各国・地域の温室効果ガス削減目標などを調整するシミュレーター「C-ROADS」の日本語版もありますので、目的に応じて使い分けるとよいでしょう。

差し迫る気候危機に対して、日本の政府、企業、市民組織など目標や戦略の見直しが急速に進んでいます。気候やエネルギーに関するリタラシーについて学ぶことは、成人にも未来世代にも必要になってくることでしょう。地球市民として、あるいは学校や職場、地域として、このツールを使いながら、議論、対話を深め、慣行や戦略の見直しに活用いただけたらうれしく思います。

なお、配付資料として以下を活用してもよいでしょう。

En-ROADS政策シミュレーション・ガイド.pdf

気候変動ファクトシートv4.pdf

En-ROADSの詳しい使い方は、まずは習うよりも慣れることです。政策レバーやグラフ選択などを試してみてください。

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