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En-ROADSとシステム思考

En-ROADSは、クリエイティブ・コモンズとして、どなたでもアクセスし、さまざまな気候政策を試し、そのインパクト(大気中のCO2濃度、温度上昇、海面上昇、世界GDPへの影響など)を瞬時に検証し、さまざまな気候シナリオを策定することができるシミュレーターです。

その前身となるC-ROADSでは、世界の国々が2100年までの温室効果ガス排出量についてどのような目標を立てるか、あるいは森林伐採と植林にどのような目標を立てるかを入力することによってそのインパクトを計算できました。

そのC-ROADSをもとに、エネルギー政策や輸送・建築物、土地利用、炭素除去、その他の温室効果ガスなどの政策レバーを加えているのが「En-ROADS」の特徴です。C-ROADSが地域毎であったのに対して、En-ROADSはグローバルモデルとすることで、より具体的な政策に関する検討を可能にしています。

EnROADSstructure.png

C-ROADS及びEn-ROADSのシミュレーション計算の前提は、1850年から2010年までのデータによって設定され、そのシミュレーション結果はIPCCの第四次報告書の各シナリオに適合するものです。活用されているシステム・ダイナミクス・モデルの計算式はすべて公開され、適宜最新データに基づき更新されています。En-ROADSは、エビデンスに基づき、透明、柔軟で統合されたシナリオ作成ツールと言えます。

CROADShistory.png

CROADSsimulation_vs_IPCC.png

とりわけ、En-ROADSの特徴は、12種類の一次エネルギー源とキャリアに関する選択が、エネルギー政策、技術開発、エネルギーの需要と供給に関する資本ストックの回転及びフィードバック(相互作用)によってどのような影響を受けるかをモデル化していることです。エネルギー需給における主要な要因とフィードバックが下記に示されています。

EnergySupplyDamandFeedbacks.png

En-ROADSのシミュレーション結果は、複雑なシステム間の相互作用を計算しますので、「思ったよりも結果が出ない」とか「想像以上に効果がある」など、頭の中のイメージと違う結果になることはむしろ自然なことですし、また、そうした複雑なシステムに関する驚きを発見するためのツールでもあります。

En-ROADSの中には、世界のエネルギー需要に関する下記のようなシステム的洞察が含まれています。

  1. 資本ストック回転率 - インフラの変化には時間がかかる
  2. リバウンド効果 - 価格、需要、供給は連動している
  3. 規模の経済と学習 - 成功技術は経験・学習効果によってさらなる成功を築く
  4. クラウディングアウト - 低炭素供給同士が長期的な市場占有率を競う
  5. 「風船握り効果」 - 化石燃料の供給には補償的なフィードバックがある
  6. 成長の原動力 - 人口とGDPの成長が排出量を押し上げる
  7. 成長の限界 - 石油とガスは価格が高くなり、石炭はさほど高くならない
  8. 勝者がすべてを手にすることはない - 化石燃料のエネルギーはより高価でも存続する
  9. その他の温室効果ガスが重要 - CO2以外のガス排出量の削減が威力を発揮する
  10. バスタブ ダイナミクス - CO2濃度と温度をゆっくり調整する

チェンジ・エージェント社のウェブサイト及びメルマガを通じて、こうしたシステム的洞察を解説しています。下記の関連記事をご覧ください。

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