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システム思考入門(11)「システム思考のプロセス(1)レファレンス・モード」

システム思考はどのようなステップで使われるのでしょうか? システム思考を組織や個人の目標達成、問題解決のために活用する場合の典型的なプロセスを紹介しましょう。

次のようなステップに分けることができます。

(1) 課題を設定し、だれがクライアントであるかを確認する
(2) 時系列で3種類のパターンを描く
(3) 「今まで」のパターンの構造の仮説を立てる
(4) ループ図を描く
(5) 「このまま」のパターンを確認する
(6) 構造の仮説を現場で確認する
(7) 「望ましいパターン」を創る働きかけを探る
(8) システムの抵抗を予期する
(9) 働きかけ、抵抗への対策を選択する
(10) 働きかけを実行する

ここでは、ステップを順番に書き出しましたが、一直線でプロセスが進むとは限りません。あるステップを行っているとき、前のステップの結果に疑問が生じれば、さかのぼってやり直すこともしばしばあります。むしろ、何度も前の段階にもどっては課題設定そのものを見直すことがよくあるといってもよいでしょう。そのことを念頭に置きながら、ステップを順番に見ていきましょう。

(1)課題を設定し、だれがクライアントであるかを確認する

最初に行うのは課題の設定です。課題の設定は、創り出したい変化によって、「現状の望ましくない問題を解決する」ことであったり、あるいは今は存在していないけれど「将来に創り出したい望ましい状態へ向かっていく」ことであったりします。

たとえば、「製品○○の品質問題が続発しているので、品質問題を抜本的に解決する」とか、「プロジェクトが予定通りに進まないことが多いので、プロジェクトの遅れを最小にする」など、問題解決を課題とすることもできます。あるいは、新しい何かを創り出す前向きの目標を設定することもできます。「顧客のニーズ○○を満たす」、「新しい技術○○を普及する」とか、「組織のメンバーの能力を高めたい」などです。

システム思考では全体像を見ようとしますが、ビジネスであれ、個人であれ、そのシステムを描き出そうとすると、あらゆる要素が入ってきます。ですから、漠然とシステムを描きだすことはとてつもない作業となり、実践的ではありませんし、効果的でもありません。そこで最初のステップとして、課題を設定することによって、全体像を描き始める出発点ができると同時に、その後のステップの成果物を評価する際の基準が得られます。

「クライアント」とは、コンサルティングなどでは「顧客」を意味する用語ですが、ここでは、このシステム思考のプロセスを通じて望ましい変化を創り出したい主体を指します。
たとえば営業部署や開発部署が「お客様の○○のニーズを満たす」とか、「顧客のビジネス上の○○の問題に対してソリューションを提供する」など、文字通り顧客を「クライアント」とすることもできますし、自社組織の課題をとりあげれば、クライアントは自社、あるいはその中の部署ということになります。また、自分個人の課題であれば、クライアントは自分自身です。

システム思考は、システムの外でなく、システムの中に問題の原因や解決策を見出します。そして働きかけが可能な範囲は、クライアントがだれかということによって変わってくるのです。

(2)時系列で3種類のパターンを描く
 
次のステップでは、課題をより具体的に、ダイナミックな形式で明らかにします。「時系列変化パターングラフ」というツールを用いて、課題に関する状態を示す指標となる要素を選び、過去から現在、そして現在から未来への変化のパターンをグラフに表します。

過去の動きは「今まで」のパターンとして1種類で、未来への動きは「このまま」のパターンと「望ましい」パターンの2種類を描き出します。この3種類のパターンを描き出すことで、課題に関するダイナミクスを目に見えるようにするのです。
 
これらのパターンをグラフに表すとき、正確なデータや細かい動きは気にする必要はありませんが、大きな動き、ダイナミクスがどうなっているかに着目してください。「増えている」、「減っている」、「同じ状態が続いている」、「上下動を繰り返している」などのさまざまな動きが見出されるでしょう。

(3)「今まで」のパターンの構造の仮説を立てる

 課題に関する経時パターンのうち、「今まで」のパターンに着目して、なぜそのようなパターンが起こっているかについての仮説を立てます。この仮説を「ダイナミック仮説」といいます。
システム思考で重要なのは、ものごとの変化のパターンに対して、「どのようなフィードバック・ループが働いているか?」を考えることです。経時パターンは常に構造から生み出されているからです。

ここでの「構造」とは、主としてフィードバック・ループの構造を意味しています。変化のさまざまなパターンは、自己強化型ループやバランス型ループが組み合わさって生じます。

たとえば、新商品が爆発的に売れるときには、口コミなどの自己強化型ループが働いています。しかし、当初急成長した商品も、生産能力やサービスの質などさまざまな制約要因から売上の伸びが鈍化したり、安定したりしますが、そのときに働いているのはバランス型ループです。市場や組織の中でアイディアや商品を普及しようとしているときは、ほとんどがこの自己強化型ループとバランス型ループの組み合わせの構造になっています。

ほかにも、課題とその状態のパターンによってさまざまなフィードバック・ループの組み合わせがあります(時おりフィードバック・ループのない構造も存在します)。

(4)ループ図を描く

この構造を表現するために、「ループ図」というツールを活用します。ループ図は、課題と関連するさまざまな関連要素がどのようにつながって構造を作り出しているかを明らかにするものです。

ループ図を描いてみることによって、どのようなフィードバック・ループが形成されているか(またはいないか)、それぞれのループの種類は自己強化型か、バランス型かがわかります。

ループ図は、システムの構造に関する仮説を表しています。良いループ図が描けたかどうかは、そこに表された構造がステップ2で作成した「今まで」のパターンを作り出していることを説明できているかどうかがひとつの目安になります。

(5)「このまま」のパターンを確認する

ステップ4で描かれたシステムの構造が、未来のシナリオのひとつである「このまま」のパターンを作り出します。「このまま」パターンは、単なる今までパターンをそのまま延長したものになるとは限りません。同じシステム構造でも、システムの状態(そのシステムのライフサイクルのどの時点にあるか)によってパターンは変化していくからです。

その典型的な例が、マーケティングなどで用いられるプロダクトライフサイクル分析です。製品の販売数量は、導入期の後、成長期に急激に上昇し、成熟期には伸びが鈍化してやがて安定し、衰退期になると徐々に下がっていきます。これらのライフサイクル毎の変化は、すべて同じ構造から起こっているのですが、ライフサイクルによってループの影響力の力関係が変化します。その力関係の変化が、異なるパターンの組み合わせを作りだしているのです。

このような構造の検討を経て、ステップ2で作った「このまま」パターンを再吟味します。このように時系列変化パターングラフとループ図の間の行き来を繰り返して、仮説を練りあげます。こうしてできあがったダイナミック仮説に示されるシステムの経時パターンと構造は、「レファレンス・モード」と呼ばれ、今後のプロセスでの比較対象となります。

(6)構造の仮説を現場で確認する

ループ図の妥当性はどのように高めるのでしょうか。その基本は、現場に行くことです。現場の人やそれぞれの専門家を一同に集めてループ図を描くのは効果的な方法です。しかし、すべての因果関係に関係する人を集められないこともあるでしょう。そのようなときには、現場で実際に意思決定を行っている人にループ図を見せ、実際の行動がどのような思考プロセスから生み出されているかを確認します。

社内の行動に関しては、管轄するそれぞれの部署や担当者に確認する必要があります。さらに、顧客や競合の意思決定がシステムに大きな影響を与えているときには、それぞれのステークホルダー(利害関係者)の意思決定プロセスについても確認することが望ましいでしょう。市場調査やステークホルダー・ダイアログなどの開催によって、直接聞き出せる場合もあれば、営業担当者や情報調査部門、販売会社などできるだけ情報に詳しい人に間接的に確認する場合もあるでしょう。

ループ図に示される因果関係は、現場で実際に関わっている人には、自明なことが多いですから、現場の経験や知識を用いて、要素の間のつながりの因果関係や、その因果関係の強さを確認していきます。システム思考は、このようにして、部分ごとに詳しい知識を持った人たちの英知を集め、その全体像を目に見えるようにしていきます。



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