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学習する組織入門(3) 「志を立てる力(2) 共有ビジョン」

「船をつくりたかったら、人に作業を割り振るのではなく、はてしなく続く広大な海を慕うことを教えよ。」

学習する組織をつくるための3つの柱のうち、組織開発の中核にあり、また将来に向けて望ましい変化へと向かう原動力となるのが「志を立てる力」です。前回は、個人のビジョンについて紹介しましたが、今回は組織としての共有ビジョンについてご紹介します。

「船をつくりたかったら、人に作業を割り振るのではなく、はてしなく続く広大な海を慕うことを教えよ。」これは、フランスの作家、A・サン・テクジュペリの言葉ですが、共有ビジョンの重要性を端的に表わしています。

共有ビジョンとは、組織のあらゆる人が共有する未来の姿です。「私たちは何を創るのか」、「私たちはどうありたいのか」という問いへ答えてくれます。

効果的な共有ビジョンは、私たちの人生に感動と意味を与え、私たちのもてる力を超えて、今までで想像もしていなかったような大きな力を発揮させる原動力となります。1961年、アメリカのケネディ大統領は、「1960年代のうちに、人類を月に到達させる」という広大なビジョンを打ち出しました。当時アメリカがもっていた技術だけでは、月に人を送り込むのは夢物語でした。しかし、この夢のようなビジョンがあったからこそ、人々の大胆な行動を誘発し、NASAを初めとする各機関が次々と新たな技術開発を実現していきました。

企業の共有ビジョンに必要なこと

企業の共有ビジョンのよしあしを決めるのは、どれだけ社員の心を動かし、行動を引き出すかにあります。フォード自動車のヘンリー・フォードは、車が金持ちのぜいたく品だった時代に、「すべての人に自動車を」というビジョンを立てました。松下電器(現パナソニック)の松下幸之助も、生活に必需の電気製品が水道の水のように日本にいきわたる「水道哲学」を打ち出します。また、アップルのスティーブ・ジョブズは、誰にでも使えるパーソナル・コンピューターを開発することで、コンピューターが「人々の力を引き出す」というビジョンを描き出しました。それぞれ、今ない未来の姿をビジョンとして表現し、社員の潜在的な力を引き出して社会を変えていった例であるといえるでしょう。

前述のフォードや松下のビジョンはとても古い例であり、モノが余り、ゴミの山があふれる今日の先進国社会ではもはや魅力的なものではなくなっています。そのことからもわかるように、共有ビジョンはそれぞれの時代背景や社会ニーズとは切り離せません。単に、「一番になる」とか、自分たちが「成功する」というビジョンは、人々の潜在能力をどこまで引き出せるかという点ではごく限られた効果しか期待できません。

売上の規模や利益の規模がよいビジョンにならない理由

特に、売上の規模や利益の規模を競うようなビジョンは、とても底の浅いものです。ピーター・ドラッカーは、企業にとって、カネは血液のようなものと説明しています。血液が体の中をめぐって、それぞれの細胞に栄養素や酸素を送るのと同じように、カネが企業の内外に循環しないと企業も経済がうまく働きません。ですが、利益を出し、利害関係者に適切に配分することは重要ですが、それはあくまでも企業活動を行うための必要条件に過ぎません。

にもかかわらず、多くの企業は、利益やキャッシュフローを最大化し、またはその規模を競うことをビジョンや目的に取り入れています。残念ながらこのようなビジョンで人々を感動させたり、まして今までできなかったような高い潜在的を引き出すことは困難です。それは、人の生きるという営みにたとえると、「私は血液を最大限循環させるために生きている」とか、「私はただ息を吸い、食事をするために生きている」といっているのと同じようなものだからです。

共有ビジョン構築に欠かせない「プロセス」

では、企業が「生きる」、つまり、今の社会の中でなぜ存在し、事業を行うことは一体何を意味するのでしょうか? それこそが、企業の経営者をはじめ、組織で働く一人ひとりが考えるべき問いです。「私たちは何を創りだすのか?」「私たちはどうありたいのか」それらの問いへの答えを考え、その意味を一緒に考えるプロセスが、共有ビジョン構築のプロセスにほかなりません。

前述したビジョンの例は、いずれも偉大なリーダーの指導力やカリスマ性が注目されがちですが、ビジョン共有のプロセスなくしてはどのビジョンも実現しなかったことでしょう。ひとりの経営者や少数の経営チームがどんなにすばらしいビジョンを立てても、それが組織の中で共有されなければ、額縁の中に飾られた経営理念に過ぎなくなってしまいます。ビジョン共有のプロセスこそが、学習する組織をつくる上でのもっとも重要なポイントになります。

適切な共有ビジョン構築のプロセスを経ると、社員たちは単に言葉としてビジョンを覚えるのではなく、そこから描き出される情景を自分のものとして細部まで頭の中に描き、その意味についても自分の言葉で語れるようになります。

共有ビジョンがどれだけの違いを生み出すかの一つの例として、大きな寺院を作る職人たちの話があります。ある人が建築中の寺院に通りがかり、そこで石を切っている職人に「あなたは何をしているのですか?」と尋ねました。その職人は、「私は石切職人で、ここで石を切っているのです」と答えました。

その先へ歩いていていくと、別の職人に出会いました。同じ質問をすると、その職人は「私は、ここに寺院を建てるようにいわれたので、その土台となる石を切っているのです」と答えました。

さらに歩いていくと、また別の職人に会って、また同じ質問をします。その職人は「私は、ここで永く人々の心に残り、語り継がれるような寺院を建てるために、その礎を築いているのです」と答えました。それぞれの職人の仕事の質の違いはいうまでもありません。

3年後、5年後、10年後にどのような会社になるのか、そして社会の中でどのような存在になっているのか、共有ビジョンは社員たちが一緒になって描き出す未来の情景です。社員は、それぞれの理想を共有ビジョンに重ね合わせると同時に、社員それぞれのビジョンにも社会的な意義が加わります。仲間と思いを重ね、社会にどうのように役立つかの意味を自分なりに考えることで、それぞれの人のコミットメントが引き出し、自らの力を最大限に高めることができるのです。


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