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学習する組織入門(5) 「ダイアログ」

学習する組織を構築する3本柱は、「志を立てる力」、「複雑性の理解力」、そして「共創的な対話力」です。今回は、前回の「メンタル・モデル」に引き続き、共創的な対話力を育てるための高度なコミュニケーション方法である「ダイアログ」を紹介します。

『ダンス・ウィズ・ウルブズ』という映画をご存知でしょうか? 南北戦争時代のアメリカ西部を舞台に、ケビン・コスナー扮する北軍中尉ジョン・デンバーが、インディアンのスー族たちと出会い、生活を共にしながら、数奇な運命をたどる1990年のヒット作です。

映画の前半、北軍の英雄ジョン・デンバーは自ら志願してインディアンたちが多く生活する大西部に駐在します。そこに住むインディアンのスー族たちにとっては、突如見知らぬ人間が自分たちのテリトリーに現れたことになります。この見知らぬ訪問者を迎えたスー族は、ならわしにのっとり、キャンプファイヤーのごとく焚き火を輪になって囲み、パイプタバコを吸いながら話し合います。

この映画を見たことのない方も、インディアンたちが輪になって話し合っている絵や画像はどこかで見たことがないでしょうか。この光景に起こっているのが、まさに「ダイアログ」なのです。

ビジネスで過去経験したことのないような新たな問題が起こっているとき、みなさんだったら、会社でどのように話し合いますか?

この映画では、おおむね次のように話し合いが行われます。まず、見知らぬ侵入者についての会話が始まってほどなく、血気盛んな若者が、侵入者を力づくで退去させることを提案します。それに同調するものもいますが、一方で反対するものもいます。どちらにも、決め手となる根拠は見られません。黙って聞いていた長老は、「何もせず、様子を見よう」と言って、話し合いが終了します。

ごく短いやりとりですが、ここにダイアログのエッセンスが詰まっていました。まずは、誰もが自由に意見を言えることです。長老たちに混じって、若者も堂々と意見を言っています。立場とか肩書きに関係なく、誰もが思ったこと、感じたことを発言するのがダイアログです。輪を作るのも順列を作らないためです。

あなたの会社では、トップや上司が上座に座って発言権を仕切り、ほとんどの人が何も言わずじまいということはありませんか?そのような場では効果的な学習は生まれません。

次に、発言する際には、必ず一人ずつ発言します。たとえば、パイプを持っている人が発言するなどのルールを決めます。ここでのパイプはいわば、カラオケのマイクのようなもので、「トーキング・スティック」または「トーキング・オブジェクト」、つまり誰が話をするのかを示すための小道具です。

ダイアログでは、みなが発言者の話を聞くというのが大原則です。もちろん、話す人は言うべきことをいったら、すぐにほかの人にパイプを渡します。カラオケ同様、マイクをつかんで離さないのはマナー違反です。

そしてダイアログでは、提案の動議から、賛成意見や反対意見、さらには一歩引いて観察した意見など、さまざまな意見が飛び交います。多様な人がいれば、さまざまなものの見方が出てきます。物事を一つの視点だけで見ようとせず、多面的に見て全体像を理解しようとします。

そこで重要なのは、自分自身の思考、つまり、メンタル・モデルを固定させないこと。話し合っていながら、自分の意見が正しいと思い込んでいると視野が狭くなってしまいます。自らのメンタル・モデルを一度脇において、メンタル・モデルそのものの振り返りを行うことで、視野は格段と広がり、学習の能力が格段に向上します。

最後に、ダイアログの最も重要なポイントは、結論を出す必要がないということです。スー族たちの話し合いでも、結論は先送りされました。「様子を見る」ということ以外は、何のアクションも生まれていません。(厳密には、それを無視した少年達の行動以外は、ということですが。)

今日のビジネスにおいて、「時は金なり」というくらい、時間を大切にします。情報収集から、意思決定、そして実行まで、いかに早くできるかが、ビジネスパーソンの勲章にもなっているのではないでしょうか。結論の出ないミーティングの連続に辟易としている方も多いことでしょう。

では、なぜあえて、ダイアログは結論を出さないのでしょうか? ダイアログは何を目指しているのでしょうか? 

ダイアログは、話し合っているメンバーたちが自らの思考を見つめなおし、その質を高めることに主眼をおいています。質の高い思考が、質の高い行動を生み、そして質の高い行動が質の高い結果につながるからです。

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私たちは、アクションをとること、決定を早めることに強く執着していますが、本当の意味でそれでうまくいっているならば、何も問題はありません。しかし、一見短期的には成功しているように見えても、長期的にはほとんどうまくいかないのが今日のビジネスの常になっています。変化の激しい時代に、組織に何の共通理解もないまま、建前と「べき論」だけでやみくもに意思決定を重ねるのは、真夜中の山道を車で走るのに、泥だらけのフロントガラスとライトのまま、スピードをさらに速めるようなものです。

真っ暗闇の中で、自分たちのフロントガラスとライトの泥を払うのには、スピードを緩めて、自分たちの思考の質を見つめなおすことが必要です。ダイアログはまさに、この思考の質を改善することに焦点をあてています。そして、ダイアログでは、意見の違いや視点の違いがあったときに、その違いを無視するのではなく、ゆっくり広げてみることで、私たちの思考の弱点を明らかにしながら、より望ましい思考を組み立てていきます。スー族の話し合いは、未知との遭遇の中で、まさに新しい知識を求め、自分たちの「あり方」のビジョンを広げるものであったといえるでしょう。

ダイアログの重要な役割は、思考を生み出すもととなる「土壌」を耕すことです。その土壌を耕すことで、チーム内、あるいはさまざまな利害関係者との関係性が高まっていきます。自分たちにとって本当に大事なことについて、本音で話し合える関係を気づくことができれば、自然と思考の質が高まります。またチームの一体感と、目的や理念の共通理解があれば、格段に組織の行動の質が高まるでしょう。

HPやフォードなど世界の数多くの組織が、このダイアログや「振り返り」という行動習慣を取り入れることで組織の学習能力とパフォーマンスを飛躍的に高めました。

一見、何も生み出していないようにも見えるダイアログですが、実は組織の学習の上でとても重要な基盤を作り出しているのです。

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