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「改善と進歩への道」-システム思考の新しい視点

2008年10月30日

「複雑性の時代」といわれるように、社会や経済のあらゆる面で複雑さが増してきています。そして今後さらに、複雑性は加速度的に増していくと考えられています。

企業もこれまでは、外部の環境に対して、より早くより効率的に、パターン認識をして素早く正確に対応すればよかったのですが、環境や社会が複雑性を増し、関係する人々の動機や目標が多様化するなかで、すべての人に対する明らかな正解が見えなくなっています。

このような状況では、「こういう状況なら、こう対応すればよい」という、パターン認識にもとづく対応に終始していては、予期せぬ結果にびっくりしたり、足元をすくわれることにもなりかねません。外部からの刺激を受容して対応するというスタイルではなく、変化を予期する力、先手を打って対応する力、そして、望ましい変化を自分たちの手で創る力が必要となってきているのです。

私たちは日々改善や進歩をめざして努力をしているわけですが(ビジネス自体を「絶えざる改善や進歩の営み」と定義することもできるでしょう)、改善や進歩には二つの種類があります。

一つは、「漸進的改善」です。これまでやってきたことを「もっと一生懸命に、もっと速く、もっとたくさん」やろうという取り組みによって、効率化やスピードアップが図られ、少しずつ進歩・改善が実現します。しかし、あるところまで来ると、この種の改善は頭打ちになってしまうでしょう。
 
もう一つの進歩・改善の種類は劇的な突破口を開く「ブレークスルー」です。これは「これまでやってきたこと」のさらなる努力ではなく、新しい戦略をつくったり、働きかける場所や働きかけ方そのものを変えたり、忘れられていた本来の目的に立ち戻ることにより、急速で大きな進歩・変化をもたらすものです。

ブレークスルーを起こすためには、「新しいものの見方」が必要です。アインシュタインが「問題を作り出したのと同じレベルの思考では、その問題を解決することはできない」といっているように、同じ問題状況を同じ見方で考えていては、現行の延長線上の改善しか出てきません。複雑で多元的・多層的な現実や状況に対して、「ある見方」だけをしていては、その全体像をとらえ、本質的な対応や変化を創り出すことはできません。「これまでとは違う見方」で見る力をつけることによってのみ、それまで気づかなかった物事のつながりや構造的な原因がわかり、ブレークスルーを起こすことができるのです。システム思考はこのような「新しい視点」を提供してくれます。

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