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ペガサス・カンファレンス20周年を訪ねて

2010年11月16日

先週は、ボストンを訪ね、20回目となるシステム思考の実践をテーマとした「ペガサス・カンファレンス」に、日本の仲間たち11人と共に参加しました。

ペガサス・コミュニケーション社の主催するこの年次会議は、システム思考と学習する組織を体感学習する場であり、また、実践家たちが共に振り返り、その発展を確認する場でもあります。

今年の基調講演は、ペガサス・コミュニケーション社創立者であるダニエル・キム氏、『最強組織の法則』のピーター・センゲ氏(MIT上級講師)をはじめ、魅力的なスピーカーが目白押しでした。

ペガサスは参加者全員によるワールド・カフェ形式をいち早く取り入れており、休憩時間、会話スペースなど、ホスピタリティの場を創る工夫が随所に見られます。

今年はさらなる工夫として、従来夕方にあった基調講演を昼に設定し、その後にそこで掲げられたテーマを掘り下げて話し合う「ディープ・ダイブ」セッションが行われました。「ディープ・ダイブ」は、世界的なデザイン・コンサルティング会社、アイディオ社のブレスト方法としても有名になりましたが、オットー・シャーマー氏らの「U理論」のプロセスの一部でもあります。

1日目、2日目の午後のセッションでは3つのグループに分かれ、システム思考によるファシリテーションもあれば、合気道のセッション、詩や粘土細工を使ったセッションなど、さまざまな方法で、テーマの掘り下げを図りました。そして、夕方のセッションでは、再度全員が総会場に集まり、その統合を図るワールド・カフェを実施します。

会議の中身だけでなく、数百人から千人規模に及ぶ会議での、こうした会議主催・運営の工夫でも学べるのがペガサス・カンファレンスの特徴でもあります。

さて、内容面に目を向けると、分科会では、厳選された14のワークショップと2つのフォーラムが3日間にわたり行われました。私は「対立(ポラリティ)のマネジメント」をテーマにしたセッションとリーダーシップにおいて「システム思考の日々実践する」と題するセッションに参加し、システム思考のさまざまな応用を学んできました。

そして、今年の一押しは、ボストン大学のアンディ・ハーグリーブス氏の基調講演でした。彼のチームは、世界中の産業界、スポーツ界、教育界の中で、「資源がわずかにも関わらず、持続的に、同業他組織を上回って、社会的に高く評価される」高パフォーマンス組織14を選び出しました。たとえば、産業界からは、英小売のマーク&スペンサーや、伊自動車メーカーのフィアットなどです。どれも、「最大」ではなくとも、「ベスト」の結果を近年持続的に生み出している組織ばかりです。

アンディは、それらの組織に見られる共通の成功要因15を示し、とりわけ、その相互の関連性を示すことで、いかに組織のシステム的な設計が重要であるかを、イギリス人らしく、ドライなユーモアたっぷりに、語ってくれました。

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