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自己変容を通じて社会変容を生み出す世界の動き

2014年05月20日

5月19~21日に開催されるSoLグローバルフォーラムに参加するために、フランスのパリに来ています。このフォーラムには、67カ国から450人の人が申し込みました。パリ国際都市大学のキャンパスを会場にしていますが、これ以上は会場に入りきらないとして、直前に参加したいというたくさんの要望をやむなく断っている状況だそうです。

ヨーロッパや北米はもちろんのこと、アジアからも、中国・台湾やインド、フィリピンから大挙して参加者が集まっています。日本からも少数ではありますがSoLジャパンのメンバーなど数人が参加する予定です。

世界でこれほどの組織学習に注目が集まっているのはなぜでしょうか? この週末、グローバルSoLの会合で世界25カ国の組織学習の普及を図る実践家たち40名と対話をしながら感じたことがあります。

まず、世界のあちこちで経済格差・失業問題や社会問題、環境問題などが大きなプレッシャーを生みだし、今のシステム構造のまま小手先の改革を続けても、問題の解決にはいたらないという認識が広く共有され始めていることを感じました。

そして、今までの有力な先進国、男性、中年中心の意思決定や統治の構造は行き詰まりを見せており、境界を超えた取り組みを必要とすることもまた多くの国々で認識されていると実感します。私たちは、まずどこから来たのか便宜上国名を言うものの、これほどグローバル化した世の中で、国家という制度の枠組みでできることの限界を指摘しあいます。話し合いでは女性性をもつ人のほうが上手に多様性を活かす場面が多く見られ、また、ほぼ全員の強い関心が寄せられたのは、いかに若者たちを重要な意思決定の話し合いの場に巻き込むかという点でした。

グローバル化した現代文明の中で、ガバナンス(統治)の根本的な転換の必要性を感じながら、その望ましい姿の模索、実現には近年の過去にはなかった新しい人のあり方や関係のつくり方が求められていることを強く実感します。そして、多様性はシステムがうまくいくための条件ではありますが、この多様性を活かせるようになるには新しい力が必要です。

異国の人、異なる民族の人、異なる性別の人とでも、何歳の人とでも、異なった考えや背景を持った人とでも、その存在に敬意を持って接し、共創的に話合い、全体像を共に探求し、共有するビジョンを築いていく力です。この多様性を活かす力を伸ばすには、自分自身を見つめ、自己のさまざまな感情や混沌を受け容れながら心の奥底にある偏見やこだわりを手放し、本当に大事なことに目覚めて自己を変容させることが必要です。

今回のフォーラムのテーマは、昆虫が幼虫からさなぎ、そして成虫へと変化することを表す「メタモルフォーゼ」です。私たち個人も、組織も、そして社会も、生きたシステムとしてどのようにアイデンティティーを保ちながらも、内に秘めたまったく異なるシステム構造へと変わっていけるかについて、実践的な観点から共同で省察し、探求する3日間です。このフォーラムが終わるときまでに、どれくらい多くのさなぎに、そして近い将来蝶と化してはばたいていく人たちと時間を一緒に過ごせるかが楽しみです。

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