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新年のご挨拶2018~新たな3つの取り組み

2018年01月10日

年が明けて2018年となりました。新しい年が皆様にとって学習と発展に満ちた年となることを祈念申し上げます。

皆様にとって2017年はどのような年だったでしょうか? チェンジ・エージェント社の2017年を振り返るならば、「学習する組織」への関心と実践が広がった年だったと実感します。小田が書き下ろした2冊の書籍『「学習する組織」入門』と『マンガでやさしくわかる学習する組織』は、6月上梓より半年ほどでそれぞれ第3刷まで増刷し、講演・セミナー・研修への関心にもその反響が現れていました。また、社会の中でも、組織開発、コーチング、ファシリテーション、対話、人財、共創・協創、創発、発達、レジリエンス、マインドフルネスなどの関連するキーワードやその実践が広がっています。

この関心と実践の広がりは、世界の政治及び経済における乱気流のようなマクロ環境の変化と先行きの不透明さを受けて、しっかりとした内的な基盤を持ちながら、環境に適応し、柔軟に周囲を巻き込んで未来を創造する個人や組織が求められていることが背景にあるのではないかと考えています。

リーダーの能力を伸ばすだけで組織の構造的な問題を放置していてはその潜在能力は発揮されません。また、組織の側面ばかり強化して多様な個性をないがしろにしては、継続的にパフォーマンスを発揮することは難しいでしょう。チェンジ・エージェント社は、個人と組織が相互に高め合い、そして組織や国の境界線を越えて活躍できる人とチームの学習を支援していきたく考えています。そのために、2018年に始める新たな3つの取り組みを紹介します。

1. 「ファシリテーションの基盤」特別ワークショップ

まず、多様な文化・国際的な背景においてチームや利害関係者達をファシリテーションする技術が重要と考え、国際的な実績のあるファシリテーターによるワークショップを開催します。4月12-14日にスイス・ジュネーブ近郊在住のジリアン・マーティン・ミアーズ氏を招聘して、「ファシリテーションの基盤」ワークショップを開催します。ジリアンは、国際ファシリテーター協会(IAF)認定のファシリテーターであり、アジア、アフリカ、欧州、南北アメリカなどのさまざまな国やセクターで実践を重ね、2015年にはアルミニウム業界でのマルチステークホルダー・ダイアログでの功績からファシリテーション・インパクト・アワード金賞を受賞した実力者です。

彼女のファシリテーションする国際会議や理事会の数々に参加しましたが、文化的に背景の異なる多様なメンバーが集う場において、参画を引き出す絶妙のリーダーシップを通じて結果とプロセスの両立を図る場面を幾度となく目の当たりにしてきました。

その敏腕ファシリテーターが、さまざまな国際機関の集うスイスで提供するファシリテーター養成プログラムが「ファシリテーションの基盤」ワークショップです。その中から選りすぐりのモジュールをこの日本実施してもらいます。ますます国際化が進み、多様性の重要性が高まる日本において、ファシリテーションの基礎を身につけたい方にお勧めのプログラムとなっています。プログラムの詳細は1月中に発表します。

2. チェンジ・エージェント・アカデミー「学習する組織」実践者向けコース

次いで、2018年度より、組織内あるいは組織横断のチームにおいて学習と未来創造をリードまたはファシリテートする立場にある方を対象とした数ヶ月間にわたる実践者向けコースを提供します。

プログラムの構成モジュールは以下の通りです。

○オリエンテーション

○学習する組織ワークショップ「5つのディシプリン」

○学習する組織ワークショップ「システム思考~複雑性を理解する」

○学習する組織ワークショップ「行動探求~志を育成し、共創的に対話する」

○学習する組織アクション・ラーニング・セッション6回

○「U理論」リーダーシップ・ジャーニー合宿(任意)

○グループ・コーチング・セッション2回(任意)

これまでは1~2日間のワークショップを個別に提供することが多かったですが、学習する組織のメリットを活かすには、3本柱を統合的に進めること、そして何よりも実践しながら継続的に学習することが肝要です。そこで、本コースでは、実績ある定番ワークショップを順次受講しながら、並行してアクション・ラーニングやグループ・コーチングのセッションを織り込み、各参加者の課題を深掘りしていく集中プログラムを提供することとしました。詳しいプログラム内容は2月までに発表します。

3. 学習する組織のディシプリンに関わる書籍上梓

現在取り組んでいる学習する組織に関わる書籍の中で、2018年中に上梓できそうなのがシステム思考に関わる翻訳書、そして、チーム学習に関わる翻訳書です。システム思考の書籍は、特に社会課題の分野におけるシステム思考の活用、「変化の理論」、「インパクト評価」などについて紹介する書籍ですが、方法論としてはビジネスを含むさまざまなセクターで応用可能かと考えています。対話の書籍は、アダム・カヘンの4冊目となる書籍の翻訳書ですが、特に何かしら対立や紛争を抱える他者との対話について書かれた本であり、分断が進む今日のグローバル社会においてタイムリーなテーマと言えるでしょう。

また、枝廣・小田共に書き下ろし著書にも取り組んでいます。これらの書籍の上梓時期は、出版社からの発表があり次第、順次発表していきます。

セミナー、研修、コンサルティング

一般向けオープンセミナーや、組織向け研修及びコンサルティングなどのサービスも継続的な取り組みも引き続き行っていきます。昨年は従来のような中・大規模企業の役員・マネジャー向けだけでなく、小規模な企業やNGO組織にもサービスを提供していきました。今後も講師体制を充実して、さまざまなタイプの組織の要望に応えられるようにしていきたいと考えております。

社会向けプロジェクト

昨年は、枝廣が『不都合な真実2』の映画及び書籍の翻訳を行い、また、経産省のエネルギー情勢懇談会のメンバーになるなど、気候変動及びエネルギー問題での提言を重ねてきました。小田は持続可能な開発目標の取り組みに継続して関わり、世界資源研究所などが中心で作成した『食品損失・廃棄に関する測定・報告に関する基準』の日本語訳プロジェクト、気候変動シミュレーション「C-ROADS」の日本語版、海洋プラスチック問題の認知向上などに取り組みました。2018年も、気候変動、エネルギー、食料安全保障、陸と海洋の生物多様性の問題などに取り組み、また、国連の持続可能な開発目標の達成に貢献していきます。

また、海外において取り組む途上国の女性リーダー育成プログラムでは、過去7年間で27カ国、36人のリーダーたちを発掘し、彼女らの成長を支援してきました。昨年は特に、長期にわたるプログラムへの資金援助を獲得してその新たな財務戦略を策定・実施しました。2018年以降は学習する組織の方法論を活用しながらプログラムをさらに強化して、サステナビリティ分野における女性リーダー育成を通じて世界各国での持続可能性課題解決や持続可能な開発目標の達成に向けて貢献します。

チェンジ・エージェント社は、小さくとも大きな変化のレバレッジとなれるように研鑽と実践を重ね、また、影響力を広げたいと願う同志たちの変化の触媒となれるように邁進していく所存です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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