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『敵とのコラボレーション』日本語版への序文ーアダム・カヘン

家庭でも、職場でも、ビジネスでも、ウィン-ウィンや相互互恵を目指して始まった二者間や多数の関係者たちとの営みが、いつの間にか意図せず敵対関係に陥ってしまうことを経験したことはないでしょうか?意見が合わない人や対立をしている人たちと一緒に働くことの難しさは多くの人が経験するところです。

わたしたちは、どうやって、敵対した人たちとコラボレーションすればよいのでしょうか。

このチャレンジについて書かれたのが、アダム・カヘン氏のベストセラー新著『Collaborating with the Enemy(邦題:敵とのコラボレーション)』です。(2018年10月31日発売予定、Amazon予約受付中)

本書の日本語版に寄せての序文を出版社からの許可得て掲載します。

『敵とのコラボレーション』日本語版への序文───アダム・カヘン

 本書を書いたきっかけは、ファシリテーターとしての仕事、そして自分の組織や私生活で起こる、ある現象に気づいたことだった。「やりたいことを成し遂げ、めざすべきところに向かうには、"あの人たち"と協力しなくてはならない。でも、"あの人たち"と協力するのはいやだ!」と、みんなが言う現象だ。ひとたび気づいてみると、こうした分断や二極化、ときには「敵化」が、あらゆるところで起きていることがわかった。そして、いかに多様な他者とのコラボレーションが困難であるかを思い知らされたのだ。

 この現象はシステムの規模にかかわらず同じ性質を持つようだ。国際関係でも国内の政治でも、コミュニティや組織、家庭のなかでも、同じようなことが起きていた。本書は、この現象の本質に迫ろうとするものだ。私たちが、多様な他者とコラボレーションしようとするとき、どんな相互作用がおきているのか?各ステークホルダーの間で、各ステークホルダーの内面で、そして私たちそれぞれ自身のなかで何が起きているのか?私は本書を通じて、他者とのコラボレーションに必要なものの本質に近づくことができたと考えている。

 本書は私の長年の試行錯誤とそれによって得た学びに基づいたものだ。何かやり方を理解できたと思っては、それを試してみると思った通りにいかず、やり直す。何度もそういったことを繰り返してきたことが、本書を書くにいたった背景の一つだ。

 もう一つ、背景にあるのは、この世界の対照的な二つの潮流だ。一つ目の潮流は、ネットワーク化が進み、より多くの声が共有されるようになったことで、特定の人が自分の望むことを無理やり一方的に進めるのが、難しくなってきたというものだ。これは本書で述べる取り組みへの追い風と言えるだろう。しかし同時に、世界の多くの場所で逆の潮流が高まっている。トップダウン型、いわば独裁的な体制がさまざまな文脈において台頭しているのた。私は一つ目の潮流を後押しするため、そして二つ目の潮流と闘う人を支援し励ますためのツールを提供するものとして、本書を執筆した。大きな社会課題、政治課題、組織内の自分のコミュニティ、家庭内の問題でも規模にかかわらず、多様な他者と協力しようとするすべての人に、読んでほしいと思っている。

 1986年から継続的に日本を訪ね仕事をしてきた。かれこれ30年以上になる。「他者とのコラボレーションは必要だが難しい」という状況は、形は違うかもしれないが、日本にも存在するだろう。日本の読者のみなさんにも本書がお役に立てることを願っている。

2018年9月

アダム・カヘン氏の新著「敵とのコラボレーションーー賛同できない人、好きではない人、信頼できない人と協働する方法ーー」好評発売中です。(2018年10月31日発売)

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アダム・カヘン氏は、南アフリカでの白人政権や黒人政権へのスムースな移行、さまざまな派閥間で暴力的抗争や政治腐敗の続いたコロンビアの近年の復活、互いに敵対しがちなセクター横断でのサプライチェーン規模の取り組みなど、対立や葛藤状態にある複雑な課題を、対話ファシリテーションという平和的なアプローチで取り組み、成果を残してきました。

世界50カ国以上で企業の役員、政治家、軍人、ゲリラ、市民リーダー、コミュニティ活動家、国連職員など多岐に渡る人々と対話をかさねてきた、世界的ファシリテーターが直面した従来型の対話の限界。彼が試行錯誤のすえに編み出した新しいコラボレーションとは?

職場から、社会変革、家庭まで、意見の合わない人と協働して成し遂げなくてはならないことのある、すべての人へ。相手と「合意」はできなくても、異なる正義を抱えたままでも、共に前に進む方法を記した新著です。


変化の理論(TOC)

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