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インドネシア再訪―ビジョンの力

2019年初仕事は久々にインドネシア出張で、盟友アニー・サルスワティを訪ね、3つのプロジェクトを訪問しました。

 1つ目の訪問は、12年に渡ってインドネシアで能力開発支援を行う上でのパートナーNGO、アニーが代表するKAILを尋ね、スタッフたちと戦略策定ミーティングを行いました。KAILはインドネシアでソーシャルセクター向けの人材育成やスキル習得のための研修、あるいはNGO向けに戦略プロセスのファシリテーションを提供しています。

以前の訪問時にビジョン策定ミーティングで話し合った研修施設「KAILハウス」は現実のものとなり、地元NGOと市民たちの研修所として活用されていました。KAILハウスを建てた2000平米の土地は、パーマカルチャーの庭となって研修者の食事やおやつとなる野菜果物、植物油、ハーブなどを提供してくれます。

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KAILハウスは80%の資材が取り壊す建物からの再利用か庭に植えた木材を活用しており、生活用水としては、屋根で集めた雨水も有効利用しています。トイレは「バイオダイジェスター」という装置に直結して、そこから生じるメタンガスは台所のガスコンロの燃料、残りものは庭の肥料となります。食べ物の残渣も庭でコンポストにしており、その庭には1000種を超える多様な植物があってその果実や葉は他の動物や菌に食べてもらう「ベネフィットシェアリング(笑)」しています。また、耕さず、肥料も農薬も使わず、除草もしない農法、福岡式自然農法にインスパイアされて、土壌表面を不要な葉などで被い、微生物を紫外線や環境の変化から守る、被覆栽培に活用されます。

 KAILハウスで使うモノやエネルギーについて、外からの新素材はなるべく持ち込まず、そして外には極力持ち出さずに運営する仕組みを心がけています。そのKAILハウスの施設と庭園は、システム思考はもちろん、市民に人気のサステナブルフードの研修やパーマカルチャー式庭づくりなど様々な実践的な研修を提供しています。

スタッフの一部は入れ替わっていても、KAILハウスのビジョンは脈々と語り継がれ、少しずつ実現していきました。

2つ目に、インドネシアで持続可能なテクノロジー開発を得意とするNGO、YPBBを訪ねました。YPBBは、バンドゥン市を拠点に貧しい家庭でも取り入れやすい、安価でシンプルなテクノロジーによるソリューションを開発しています。

最近、郊外のソレヤンにもオフィスを構えて、エコビレッジ事業、廃棄物マネジメント、そして(シェイド)コーヒープランテーション事業を展開し始めました。下の写真はコーヒープランテーションと、ソレヤン事務所のマネジャー、グングンを訪ねたものです。開発した農地ではなく、山間の森林の合間でコーヒーを栽培しています。

このモデルは、ジャワ島のNGOがはじめたもので、小規模農家の収入、違法伐採の監視と山の整備、農村コミュニティの維持と空き地や森林伐採地をターゲットにする住宅開発への歯止めなどのアウトカムにつながります。

その成功を受けて政府がプログラム化しインドネシア各地に広げています。しかし、プログラムが必ずしも自然資本や人的資本につながるとは限りません。私が訪問した場所でも、農家によっては山間に大量の除草剤をまいて、それが土に染みこみ、雨がふれば川に流れて生態系を劣化させる原因となるケースがあったり、あるいは労働者へ生活賃金を支払っていないケースもありえるからです。

YPBBもこのプログラムに参加し1haの土地で2500本のコーヒーの木を栽培していますが、無農薬栽培でコーヒー豆を生産する傍ら在来種の植林も進め生態系の強化を図っています。また地元の労働者で生活賃金で栽培、収穫、山の手入れも依頼しています。YPBBでは労働者の希望額で契約しますが、希望額が相場の範囲を超えることはないそうです。

現在のところ生産量はKAILとYPBBの研修を含む自家消費の範囲内のため市場では売っていないのですが、将来的にはエコビレッジを囲む山間全般で権利を買って生態系の保全と山間の手入れを進め、同時に山村農家の収入を確保し、住宅の放棄や都市部への流出を止めることを狙っています。

ソレアン地域での事例をショーケースとしてインドネシア各地で同様の運動が広がることを後押しするのがビジョンです。

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3つ目に、バンドゥン市内の公園にあるアニーの娘ニラが参加するホームスクールプログラムに立ち寄りました。2010年にアダム・カヘンのチェンジラボ(U理論)をベースにホームスクールのグループとビジョン策定セッションを行いました。ほんの数人の子どもたちを対象にして始めたホームスクールが、10年近く継続しているだけでなく子どもの人数も60人まで広がり、当時の児童たちが先輩として子どもたちに教えています。

アニーは皆でビジョンを描くことによって、困難を乗り越えて協力してビジョン実現をできたと語ってくれました。

今回の訪問で改めて勇気づけられたのは、ビジョンの力です。今の現実にあるシステムの構造をしっかり見据えながらも、自分たちがどうありたいか、何を創り出したのかを描いたビジョンは力強いです。そして、一人ではなく数人の仲間たちとコミットメントを行った共有ビジョンはさらに力強くなります。

そして、時間がかかってでも、ビジョンに描いた憧憬に、一歩ずつ歩を進めることで、数年間のうちにビジョンを描く前には思いもしなかったような、新しい現実が形作られていました。そんなインドネシアの仲間たちに脱帽し、大いに学び、そしてビジョンの力の素晴らしさを改めて発見する旅となりました。

(小田理一郎)

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