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深い対話を可能にするループ図の使い方

ループ図を使って深い対話を可能にするには何が大切だろうか?」

この問いに端的に答えるなら、それはループ図の中に自分(たち)が実際に取っている"行動"を含めることだ。自分が取っている行動が、全体の中でどのように相互作用し、今起きている現実に一役買っているかに気づくことがカギになる。組織開発アプローチでループ図が用いられる場合、拙速にメンタル・モデルに関する議論に飛ぶことがある。メンタル・モデルはレバレッジが深いことに間違いないが、行動を抜きにメンタル・モデルの議論をしても、現実味の乏しい議論で終わりかねない。

メンタル・モデルは行動に現れる。例えば、「退屈な会議」という状況について考えるよりも、「思った事を言わない」という行動について考えるほうが自分のメンタル・モデルを見つめることにつながる。状況とメンタル・モデルをつなげるのが行動なのである。だから、メンタル・モデルの議論をするためにも行動に注目することをおすすめする。繰り返しになるが、まずは自分が取っている行動に意識を向け、それをループ図に含める。それがループ図を使った効果的な対話を創り出すカギだ。

しかし、ただでさえ描くことに難しさを感じているループ図に自分の行動を含めろと注文されても、さらに難しくなるだけと感じる人もいるのではないだろうか。結局のところ、ループ図はツールでしかない。ツールは使われないと何の意味もなさない。ループ図が難しいからシステム思考は使わないというのは本末転倒も甚だしい。このような難しさを感じている人におすすめするのがシステム原型を使うアプローチだ。

システム原型が有用な3つの特徴

すでにシステム原型を知っている人の中には、「あぁ、あのテンプレートね」と思われるかもしれない。当初、私もそのように思っていた一人である。しかし、今はっきりとわかるのは、システム原型は単なるテンプレートではなく、優れたテンプレート(型)であるという事だ。何が優れているかというとすべての原型に"行動"が含まれているのだ。原型を描こうとすると、必ず自分の行動が描かれるようになっている。この事にはじめて気づいたとき、私は先人たちの知恵の深さに驚いた。では、それぞれのシステム原型がどのようになっているかを見てみよう。

システム原型

システム状況

行動

成長の限界

成長の状態
限界に達している状態

成長を加速する行動

うまくいかない解決策

問題の状態

問題の状態に対する解決策

問題のすり替わり

問題の状態

対処療法
根本解決策(やっていないという行動の意味を含む)

目標のなし崩し

達成状況

改善行動
目標調整行動

エスカレート

相対状況

自分の是正行動
相手の是正行動

上記のように、起きている状況と自分の行動がどのように相互作用しているか俯瞰する事ができる。ループ図を自由に描くことに難しさを感じている場合でもこの優れた型を使うことで、ループ図を使って深い対話を誘う事が可能になる。

また、システム原型を使う事は、ループ図の習熟度を上げるトレーニングにもなる。ある特定の技術を習得しようとする時、優れた型を何度も練習するというのは、古から伝わる技術の伝承に使われるアプローチである。初めは自分流ではなく、優れた型を何度も練習するというトレーニング方法の実践にもつながる。

さらに、原型の効果はそれだけに留まらない。チェンジ・エージェント(変化の担い手)となる人は自分がシステム思考を使うだけでなく、それを誰かに伝え、納得してもらう場面に出会うことになる。その時に、巨大壁画のような複雑なループ図を見せても、おそらく役に立たないだろう。情報量が多すぎて、見せられた側は意味不明である。創り手の自己満足で終わることも少なくない。その点、システム原型はシステムの重要なポイントを見事に絞り出している。どんな状況でも端的に示さない限り、人には伝わらない。私たちはコンピューターではないので、処理できる情報には限りがある。コミュニケーション手段としてもシステム原型は非常に優れている。まとめるとシステム原型を使う事で以下メリットが得られる。

① ループ図を使いこなせなくても、ループ図を使った深い対話が可能になる。② 繰り返し使う事で、ループ図の習熟度が高まる
③ 多くの人を対象にするコミュニケーション手段として有効

最後に、一点注意すべきことをお伝えしたい。それはシステム原型を起きている状況を整理するためのものとして捉えない事だ。もちろんそのような効果もあるが、状況を整理するためのものと捉えると何てことないツールでしかない。大切なのは冒頭で述べた自分と全体のダイナミックな関係、相互作用を"感じる"事だ。それを感じ取らない限り、新たな選択肢を創り出す事は難しい。システム思考で扱う課題は文字通り複雑なのである。複雑だから複雑と言っているのであって、整理できるなら複雑ではない。複雑な状況を前にしたとき、頭に頼るのではなく、頭を含めた身体全体で感じる事が重要ではないかと思う。優れた型は使い手の在り方が直接的に表れるものである。使い方はシンプルでありながら、その探求に終わりはない。

執筆:江口潤

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