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真実に正直であること

パンデミック、気候変動、構造的な人種差別や人権の抑圧などさまざまな問題が世界で起き、多くの人たちがそのネガティブな影響を受け、また、同胞たちを支援しようと多くの方たちが現場の最前線で活躍しています。一方で、こうしたことは起こっていない、陰謀である、フェークニュースである、とする論調が政治リーダーや一部マスメディアに見られ、とても憂慮しています。もちろん、現代の自然科学や社会科学を持ってしても、すべての事象を観察、把握できるものではなく、また不明なことや不確実なことも含め、仮説や推論の部分は常に残るものです。政策や対策にはコストや望ましくない副作用もある中で、どのような対策がよいかについて多面的に議論することは必定でしょう。しかし、一部の人の信念や関心、利益にそぐわないために、事象そのものを否定してしまうこと、まして、それを政治やビジネスのリーダーが行うとしたらゆゆしきことです。

不都合な真実を認め、過ちを受け入れることの本質的な難しさ

儒家の始祖である孔子は、身分の低い立場から世界の四聖の一人と言われるようになりました。その孔子は弟子の子路に、君主に仕えることはどのようなことかと尋ねられ「君主を欺くな。そして君主が嫌な顔をしても諫言しろ」と言いました。諫言(かんげん)とは辞書で引くと「目上の人の過失などを指摘して忠告する、諫(いさ)める」という意味です。当時の中国の政治は、君主制がしかれ、しばしば力と世襲で君主が国の統治にあたっていました。国の中では絶対に近い力を持つこともあった当時の状況においてとても勇気を要することだったでしょう。今の時代でも、職場で、学校で、社用や上司、先輩に諫言をすることに抵抗がない人のほうが少ないのではないでしょうか。

「人は、自分が何者かという認識を守るために自分が正しいという主張にしがみつく」(アダム・カヘン著『敵とのコラボレーション』(英治出版)より引用)アダム・カヘン氏は著書のなかで過ちを認め、他者の意見を受け入れることの本質的な難しさについてこのように書いています。私たちは通常、自分の不完全さを認めることが苦手です。諫言はすることも難しいですが、それを受入れることはもっと難しいこととなります。組織開発の現場では、部下が上司に諫言が行われないどころか、上司が部下に対して率直なフィードバックをすることすらできていない職場に遭遇するくらいです。

真実に対して正直であることは、政治の場であれ、職場や学校であれ難しくなったことを痛感します。このような風土や文化を変えていく上で、その重要な役割を担うのは、地位をもつ立場にあるリーダーの言動でしょう。リーダーシップは階層内の地位に関わらず、分散的に存在するものと考えますが、同時に階層ごとに異なるリーダーシップの役割が求められます。政治や組織で地位・役職をもつリーダーは、よくも悪くも注目される故に、模範となる振る舞いが求められます。

臣下の意見を聞き続けた唐の皇帝

『貞観政要』は、唐の皇帝・李世民(太宗)と、臣下たちの言行、国を統治するリーダーとしての心得を記録した中国古典の1つです。この『貞観政要』では、意思決定の様々な局面で、皇帝が「臣下の諫言(かんげん)を得た」エピソードが数々残されています。

李世民は中国史上最も平和で300年もの間、安定した治世の一つを築いた中国史上最高の名君とうたわれており、そのリーダーシップ論を得ようと明治天皇、徳川家康、北条政子が愛読したと言われています。現代でもトヨタ自動車社長、会長を務めた張富士夫氏やライフネット生命の創業者の出口治明氏など数々のビジネスリーダーに学ばれていることでも知られています。 李世民のもとで、諫言をする役目をになっていた側近には魏徴(ぎちょう)と王珪(おうけい)がいましたが両人ともはじめは兄の李建成に仕えていました。李世民を暗殺しようと計画した人物です。魏徴については「弟の李世民をはやく殺したほうがよい」と何度も進言してした人物というから驚きです。李世民は、警戒し憎んでもおかしくない、もとは自分の命をねらい敵対していた人物を登用して、積極的に諫言を求めていたのです。

李世民は、このように地位や立場の異なる臣下からの意見、諫言を受け入れることに積極的でした。李世民の治めた唐の時代は、異民族に囲まれ、周辺国家や民族の交流が非常に盛んであり、異民族の文化や風習を受け入れ、今のベトナムにまで及ぶ広範囲で多様な異民族とも協和しながら取り込んでいった多様性に富んだ、国際的な時代と言われています。現代は、唐の時代にも増してグローバル化、多様化、複雑性が加速している変化の時代とみることもできます。不完全さを認め異なる意見にも耳を傾けること、意識や考えに変化と学習を促すためスキルやあり方から、変化の時代を生き抜くためのリーダーシップについて、知恵とヒントを示してくれるのではないでしょうか。

不確実な時代に求められるリーダーシップとは

そして、地位・役職にあるリーダーが範を示すことによって、多くのチームメンバーにとっての学習も促進されるでしょう。それが不都合だからと言って起きていることを否認するのではなく、科学の知見を取り入れ、目を覆いたくなるような現実から目をそらさないこと。そして声の大小にかかわらず多様な利害関係者の状況や願いについて、互いに耳を傾け、共に考えることができれば、難しい選択もより多くの納得や理解のもとに進められることでしょう。

『学習する組織』でも次のように書かれています。「対立がないのが優れたチームではない。それどころか、私の経験では、絶えず学習しているチームの何よりも信頼できる指標の一つは、考えの対立が目に見えることだ。」「表面的には順調なチームでは、メンバーはチームを維持していくためには自分たちの対立する意見を抑えなければならないと思い込んでいる。もし、それぞれが本音を話したら、和解しがたい不和でチームは分裂してしまうからだ。」ピーター・センゲ『学習する組織』(英治出版)より引用)

不確実で乱気流のような時代、複雑なことの真実を見極めることは容易ではないし、表面上は様々な相を見せます。しかし、そうした複雑な真実の希求こそが科学の重要な役割の一つです。また、自分自身の目の前に起こっていなくとも、この世界のどこかで起きている現実に目を向けることがジャーナリズムの重要な役割です。そして、仁義や慈しみに根ざした真実を語り、フィードバックすることはリーダーはもちろん一人ひとりの役割でもあります。今、世界で起きていることに対して、私たちが意識を広く行き渡らせ、目の前だけのことで終わらない、足元での行動をとっていけたらと願います。

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2021年4月13日開催
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