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東洋思想から学んだチェンジ・エージェントたち(3)

「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」この一節は『論語』にある、孔子の言葉が語源で、中庸の大切さを説いたものとして知られています。250年もの安定した時代の礎を築いた徳川家康は、この一節を解釈した表現として、「及ばざるは過ぎたるよりまされり」と遺訓の結びで残しています。家康がいかに中庸を重視していたかが伺いしれます。

中庸は今日、「極端でないこと」「偏らないで中正であること」といった意味で使われることがあります。しかし、単に無難に中道をいくとか、両論の真ん中で妥協するかのように受け止めてしまうと、中庸の概念の本質を見逃すことになるでしょう。

東洋思想において、中庸は「四書(儒学を学ぶ人が必ず学ぶべきとされた4つの書籍)」である『論語』『大学』『中庸』『孟子』の1つであるとともに、儒学の大事な概念の1つでもあります。孔子は「中庸の徳は、最高の徳である」と語ります。『中庸』を読むことによって、声なき声がきこえ形なき形が見えるようになり、ものの真価がわかるようになるとも評される書物です。今回はこの「中庸」について学び、実践した二宮尊徳のエピソードを紹介します。

中庸の教えをわかりやすく伝え実践した二宮尊徳

二宮金次郎(尊徳)と言えば、孝行・勤勉のお手本として「柴を背負って本を読むこどもの像」を思い起こすのではないでしょうか。江戸時代に貧しい農家の生まれで若くして両親を亡くし伯父の家で養われることになった尊徳は、昼は家業の農作業に励み、夜は勉学にはげみ、独学で『四書五経』を学び、実践しました。子供時代の金次郎の銅像が読んでいるのは、先に挙げた「四書」の一つ『大学』です。

尊徳が生きた江戸時代後期は、人口増加も落ち着いた時期でした。現代の日本にも通じる低成長の時代にあって、尊徳は成人して後、家を再興し、さらに奉公先の武家を再興させ、その才覚を開花させていきます。それらの功績が評判をよび、各地から仕法の要請が相次ぎ、財政再建・農村復興、飢饉救済にまい進しました。尊徳がその生涯で再興、救済を請け負った土地は、現在の9道県、600村に及ぶと言われています。

その尊徳が中庸について語る下りがあります。

「水車の中庸は、宜(よろし)き程に水中に入て、半分は水に順(したが)ひ、半分は流水に逆昇りて、運転滞らざるにあり、人の道もその如く天理に順ひて種を蒔き、天理に逆ふて草を取り、欲に随(したがい)て家業を励み、欲を制して義務を思ふべきなり」(『二宮翁夜話』より引用)

水車が水の流れにまるごとつかってしまえば、水車は回転しません。しかし、程よく水につかっているとき、水の流れとは反対方向に上ってくる水があってこそ水車が回るのです。この水車の例えを通じて、人の道が中庸に沿っていることが大切であることを説いた一節です。

尊徳は、「欲求」に従って行動することを否定するのではなく、その逆の流れである「義務」と両立することではじめて望ましい変化が起きると考えていました。尊徳は、江戸時代後期の市場経済化によって、自分の富の増大のみを追求することが、他者を搾取し多くの貧困者を生み出すことになり、社会と国家が衰弊をたどる経済社会システムを目の当たりにしていました。しかし、その経済社会システムにあって、どうすれば人間らしい幸福な社会が実現できるのかを探求しました。そうして培われた尊徳の実践は、「報徳思想(仕法)」として、弟子たちに受けつがれ、現在でも多くの書籍や伝記に記されています。

尊徳を信奉していた経営者は、松下幸之助を始め枚挙にいといません。次の一万円札の肖像となることでも注目され、「日本の資本主義の父」ともいわれる渋沢栄一は、『論語と算盤』という、一見正反対の力を活用します。つまり、根幹においては公益を追求する道徳と、資本や人材の最適化して推進するビジネスの2つを両立させるような、新しい社会システムの構築を目指していきます。こうした考えは、1980年代まで多くの企業で実践されてきた、よき「日本型経営」に引き継がれていったのではないでしょうか。

異質・同質なものを結ぶ「中」

中庸の「中」の字の意味の一つに、異質・同質なものを「結ぶ」ということがあります。孔子が中庸の徳は、常に発揮するのは難しい徳であると言うように、「欲求と義務」「道徳とビジネス」のような、一見相反するようなことの双方を意識し、結び、統合し続けることは簡単なことではありません。しかし、何も選ばず中央に立ち尽くしていても、進歩はありません。水に適度にひたる水車のように、一つの極に向かう力と、それを抑制して反対の極に向かう力とが拮抗する中で、極端に陥ることなく経済や社会を回し続けるイメージは、両極化する今日の複雑な時代において、閉塞感を打破して前進するためのヒントを与えてくれるように思います。こうした時代だからこそ、改めて「中庸」の教えと実践について、探求してはいかがでしょうか?

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