システム思考

Systems Thinking

システム原型 12

成長と投資不足

STORY

自らが生み出す限界:

私たちは成長しているところばかりに力を入れ、拡大されるべき能力への投資を十分にしない

挙動(パターン)

システム原型

構造

システム原型

「成長の限界」の構造において、個人や組織が、成長行動をとることによって需要が増え、その需要から得られるリソースをさらなる成長行動につなげることで成長のパターンを取ります(R1好循環ループ)。しかし、増え続ける需要に対して、生産・デリバリーするための能力が不足している場合には品質問題や納期遅れなどパフォーマンスが低下し、それによって需要にブレーキがかかります(B2抑制プロセスループ)。

品質問題や納期遅れなどのパフォーマンスが低下している場合、これらは生産やデリバリーの能力を向上するための投資の必要性があるとして認識を高めるならば、ボトルネックとなっている能力への投資を行うことで、パフォーマンス向上のための能力を高めることができます(B3能力投資ループ)。

しかし、生産能力や組織の規模・質を高める投資はしばしば時間遅れを伴います。需要はまだ飽和しておらずまだまだ成長の可能性があるのに、能力への投資決定を留保している間に、品質問題や納期遅れを理由として需要が下がることがあります(B2ループ)。この成長の鈍化を、需要の限界と誤って解釈すると、能力投資のループを回さずに、様子を見て正解だったと都合よく解釈するケースがあります。

B2の抑制プロセスループにおいて、需要が落ち着くとパフォーマンスは向上しますので、時間が経過して再度需要を高めます。それが再度パフォーマンスの停滞を生み出します。この問題の症状に対して、根本治療は能力投資(B3ループ)、対症療法は需要の停滞(B2ループ)の間で、意図せず対象両方をとり続けることも少なくありません(「問題のすり替わり」の構造)。

加えて、重要な投資判断のプレッシャーの中で、受注残の増大といった状況を目標納期からの乖離とはとらえずに、自社の好調のシグナルであると解釈して目標納期の基準を緩めてします(B4基準なし崩しループ)となおさら能力投資(B3ループ)は回らなくなります(「目標のなし崩し」の構造;書籍によって、B4ループのないバージョンを紹介することもあります)。

このように、需要の潜在可能性にかかわらず、供給側の能力投資の遅れや基準なし崩しによって成長機会を逃す状況を、パフォーマンスの「自己達成予言」とも呼びます。

あなたの周りにもこのような状況はないでしょうか?
あなたなら、このような状況に陥った場合どうしますか?

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