「自己マスタリー」のディシプリンにおいて、「創造的緊張（クリエイティブ・テンション）」に伴って生み出される、不安にまつわる気持ちや落胆、絶望、心配などの「マイナス」の感情による緊張を「感情的緊張（エモーショナル・テンション）」と言います。

人はこの感情的緊張は創造的緊張と混同しやすく、これらを区別できないと、感情的緊張に囚われたり、耐えられなくなったりして、ビジョンを引き下げることで、現実との間の乖離が生み出す緊張を解消しようとします。組織であれば、感情的緊張を許容する度合いが狭いと、現実を引き上げるのではなく、めざすビジョンをあきらめて引き下げます。一度引き下げたビジョンは、往々にしてそこで留まらず、さらにビジョンを引き下げる、つまり目標のなし崩しの状況が起こります。留意すべきはこうしたことが気づかずに徐々に進行してしまい、悪循環にはまってしまうことがあるということです（システム原型「目標のなし崩し」参照）。