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学習する組織入門(8) 「学習する組織の実践事例(1)」

フォード社の導入した「学習する組織」

「学習する組織」はどのように実践されているのでしょうか? 

1991年にピーター・センゲ氏がその著書、『The Fifth Discipline』(邦訳『最強組織の法則』)で「学習する組織」の考え方を提唱した当時、「学習する組織」を実践している組織はまだ少数であり、パイロットの時期にありました。しかし、この本の影響を受けて、大手企業として初めて本格的に学習する組織を導入したのが自動車業界大手のフォード自動車です。

レクサスの登場で、フォード社が抱えていた開発の問題

みなさんはフォードのリンカーン・コンチネンタルという車をご存じでしょうか。古くからあるアメリカの高級車で、映画『ゴッド・ファーザー』などでも登場しています。アメリカを代表する車として、永く人気のあったこの車ですが、1990年代大きな危機に瀕します。トヨタ自動車のレクサスが北米市場に登場したのです。

それまで、日本車といえば小型車中心で、大型車は相変わらずアメリカ勢とドイツ勢が市場の中心でした。しかし、レクサスの上市が市場の状況を一変させ、フォードは危機に瀕します。デザイン面でも、コスト面でも、今までのデザインを凌駕する新しい世代のリンカーン・コンチネンタル車を開発することが会社の大きな使命になっていました。

しかし、当時の開発部門といえば、上市時期をはじめ、多くの開発マイルストーンにおいて遅れが常態化していました。開発の遅れは、開発費の予算オーバーにもつながります。スケジュールと予算の両面で、厳密なプロジェクト管理が要請されていましたが、管理を厳しくしても実態として改善は簡単に進んでいない状況にありました。

マネジメント会議、2時間の「振り返り」で起きた気づきの連鎖

その頃、ちょうどフォードのエグゼクティブたちは、次世代経営者を養成するフォードの社内ユニバーシティの中でシステム思考の研修を進めていました。システム思考について基礎を学んだものの、実際現場でどのように活用するのか、エグゼクティブたちはまだ確かではありませんでした。そこで、研修を提供していたMITと一緒に、この開発プロジェクトを「学習する組織」の手法を用いて、プロジェクトをマネジメントすることにしました。

「学習する組織」の導入は、経営陣による3日間の集合研修で始まります。「ビールゲーム」という演習を通じて、自分たちにいかにシステム思考が欠如しているか、あるいは組織として機能できていないか、について身をもって体感します。その後、学習する組織の5つの規律についての講義を受けて、身近な状況に当てはめてツールを活用するグループ演習を繰り返します。

知識として必要なことは3日間の研修でほぼ網羅できます。しかし、これらの知識を日々の業務に実際に活用、実践するのはさらに修練が必要です。そこで、開発プロジェクトのマネジメントチームが実際に学習する組織を実践することを支援するため、MITのファシリテーターが毎月1回行われるマネジメント会議に同席し、その後2時間「振り返り」の時間を設けました。

この2時間の振り返りの時間に、導入研修で学んだ概念やツールを活用して実際に浮上している組織課題についてグループで一緒に考えます。

あるマネジメント会議の際に、開発責任者と財務責任者が会議中に激しい口論を交わしました。その後の振り返りでは、「左側の台詞」というメンタル・モデルを振り返るツールを通じてその口論についてみなで話し合いました。

また、あるセッションでは、「なぜいつも開発が遅れるのか」という課題に対して、グループで一緒に「ループ図」を作成しました。完成したループ図をみなで一歩引いて眺めます。そこから、開発部門ではないマネージャーが、ある特徴に気がつきました。まさに、「レバレッジ・ポイント」(問題構造のつぼ)を指摘したのです。なぜ、そのような因果関係があるのか、さらに掘り下げて議論したところ、結局はエンジニアたちのある思い込みと部下の指導習慣が開発の遅れをさらに悪化させているということに気づいたのでした。

日常的な「振り返り」時間がもたらした驚きの効果

MITのファシリテーターの助けを借りながら、マネジメントチームは「振り返り」を日常的に行い、表面のレベルではなく、全体像と本質をしっかり見据えて、マネジメントチームが本音レベルで話し合い、共有の目標を達成しようとする思いを重ねていきます。

その結果、このマネジメントチームからは次々と新しいマネジメント施策や開発プロセスのイノベーションが起こっていきました。新しい視点、新しい思考を身につけたマネージャーたちは、さらに学習を重ね、オペレーション上も今までを遙かに凌駕するパフォーマンスを発揮します。

こうして開発された新世代のリンカーン・コンチネンタルは、さまざまな面でフォード社の優れた開発事例となりました。顧客満足と外部のデザイン評価は飛躍的に高まり、あらゆるビジネス上のターゲットを達成します。しかも、その開発はフォードとして初めて、開発目標時期よりも前倒しで完成し、開発経費は予算よりも80億円少なく済みました。

「学習する組織」による開発プログラムは、そのコストを遙かに上回る多くの成果を残したのでした。

(この開発プログラムの詳細は、アート・クライナーの『Car Launch』(英語版のみ)に克明に記録されています。)


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