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二種類の複雑性

2008年11月26日

よく「複雑性を増すビジネス環境」といわれますが、複雑性には二種類あるといわれます。一つは「種類による複雑性(detail complexity)」と呼ばれるもので、要素や種類が多いことによる複雑性です。たとえば、森のなかにはさまざまな種類の動植物が存在していますが、これは種類による複雑性です。このような複雑性に対して、ロジカル・シンキング(論理的思考)といわれるような、種類を分類して、パターン認識できるようにするアプローチがこれまで重視されてきました。

しかし、現在、社会や経済、企業や組織は、新しい複雑性のなかに置かれているといえます。これは「ダイナミックな複雑性(dynamic complexity)」と呼ばれるもので、要素のつながりや相互関係から生じる複雑性です。森の例でいえば、森に存在する多種多様な生物の相互関係が創り出す森の営みそのものの複雑性です。これは、いくら種類を分類し、パターン認識をしても、理解することはできません。

種類による複雑性への対応も重要ですが、これからの時代に違いを生み出すのは、ダイナミックな複雑性への対処力となってくるでしょう。複雑な問題や状況の構造とそのツボを見抜く力、そしてシステムの力を利用して効果的に働きかけていく力がなくては、加速度的に複雑さを増す社会や経済の中で生き残り、成功を収めることは難しくなってきます。

システム思考は、このダイナミックな複雑性を扱うアプローチであり、プロセスであり、共通言語です。システム思考を身に付けることで、より効果的によりストレスの少ない形で変化に対応でき、また、望ましい変化を自ら創り出していく力を養うことができます。

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『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす! システム思考の上手な使い方』(東洋経済新報社)より

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