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【開催レポート】サステナブル・フード・ビジネス研究会第4期「食のサステナビリティ」マルチステークホルダー・ダイアログ(2) 10月10日「世界の飢餓と私たちの食について考える」

2013年11月14日

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国連の食料関連3機関は、2011~13年の間、世界で約8億4200万人、およそ8人に1人が、健康で活発な生活を送るために十な食料が得られず慢性的な飢餓に苦しんでいたという報告書を発表しました。

多くの国際機関、政府機関、非政府組織などがその支援に取り組んでおり、2010~12年の8億6800万人よりも減少しているものの、飢餓に苦しむ人々の大半は開発途上国に住んでいる一方、先進国でも1,570万人が栄養不足の状態です。

世界ではすべての人が十分に食べられるだけの食料が生産されていると言われています。ところが収入格差、経済格差が深刻に広がり、貧困問題は分配の問題と深刻につながっており、解決の糸口は見えていません。

私たちの日常の買い物や消費、購買・原料を調達して食品が私たちの手元に届くまでに思いを馳せてみれば、サプライチェーンを経て貧困にあえぐ世界の生産者たちともつながっていることがわかります。

では、私たちは何を考え、何をすべきなのでしょうか。食品事業者の方はじめ多様な立場の参加者のみなさんからの視点、知見を持ち寄り、それぞれの立場で何ができるのか?対話の場を持ち一緒に考えました。

ストーリーテリング・1 「世界の飢餓と私たちの食について考える」:ハンガー・フリー・ワールド 儘田由香氏

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はじめに、ハンガー・フリー・ワールドで国内の啓発活動を担当されている、儘田さんにご講演いただきました。ご自身が貧困の問題に関わるようになったきっかけ、またハンガー・フリー・ワールドが活動している、ブルキナファソの具体的な事例を元に、世界の食、慢性的な飢餓の問題についてわかりやすくご紹介いただきました。私たちの日常と、かけ離れた遠いテーマに感じられる飢餓の問題ですが、温室効果ガスの排出による気候変動での降雨量や気温の変化や、世界の食料生産に頼っている私たちが抱える食品廃棄の問題等が、ブルキナファソをはじめ、さまざまな生産地域に間接的に影響を与えている外的な要因となってつながっていることをお話いただき、「世界の食とつながる私たちの食」について問題提起いただきました。
CIMG1483.jpg                         (特定非営利活動法人ハンガー・フリー・ワールド 儘田由香さん

ストーリーテリング・2 「小自作農の経済発展と協働する企業の動き」:チェンジ・エージェント小田理一郎

次にチェンジ・エージェントの小田より、食品企業がどのように飢餓の問題に関わるかという観点で、飢餓と農業の問題から、世界の企業で注目されている小規模農家の経済発展に関わる動きについていくつかの事例とともに、ご紹介しました。

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(ファシリテーター/スピーカー:チェンジ・エージェント代表取締役 小田理一郎)

ワールド・カフェ・ダイアログ/気づきの共有

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第2部ではワールドカフェ形式での対話を行いました。印象に残ったこと、気づきや問いを共有したあと、世界で飢餓を引き起こしていることの「根っこ」には何があるのか?途上国の農家の人たちと私たちがどのようにつながれるのか、そもそもつながりを強める必要があるのか、などの問いをもとに、オープンに対話を行い、ダイアログの中で新たな観点や、さらなる問い、意味を共有しました。

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飢餓の問題は、時間的にも距離的にも離れていて、つながりが目にみえにくい問題です。頭では分かっていてもこころから理解できているわけではないということが確認できたこと、逆にそれをリフレームすることで考えられる働きかけがあり、チャンスにしていくこともできるのかもしれません。

ダイアログを終え

最後に個人として、企業として「これから考えたいこと・やってみたいこと」を宣言を持ち帰っていただきました。一部を御紹介します。

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次回 12月5日のマルチステークホルダー・ダイアログのご案内

企業・食品事業者・市民・NGO・学生などセクターをこえて行うダイアログの第三弾です!

現在、絶滅のおそれのある種の半分以上は里山に生息しているともいわれています。
生物多様性が失われると、わたしたちのビジネスや、生活にどんな影響があるのでしょうか?

里山の自然資源の持続可能な利用にむけ、新たな担い手として、企業で実践的に取り組んでいるお二人から、具体的なお話を伺います。
私たちにできるアプローチを一緒に考える場に是非ご参加ください。

>>>お申込み・詳細
>>>フライヤー

日時: 2013年12月5日(木) 18時~20時半
会場: 東京都千代田区 大手町駅周辺(ご参加の方に個別しお知らせします)
参加費: 一般 3,000円(税込)

<ゲストスピーカー>
●株式会社耕す 豊増 洋右 氏
●サントリーホールディングス株式会社 鈴木 健氏

今後の予定

A.「食のサステナビリティと企業」連続セミナー

 第1 回(7/11)「2013 年度サステナブル・フード・ラボの報告」 (終了しました)
 第2 回(9/12) 「貧困と企業」(終了しました)
 第3 回(11/7) 「気候変動・エネルギーと企業」(終了しました)
 第4 回(1/16) 「生物多様性(森・水・土・海)と企業」
 第5 回(3/13) 「価値共創企業」

B.「食のサステナビリティ」マルチステークホルダー・ダイアログ

 第1 回(8/8) 「フードロス」(終了しました)
 第2 回(10/10) 「世界の飢餓と私たちの食について考える」(終了しました)
 第3 回(12/5) 「日本の里山と生物多様性」★参加者募集中
 第4 回(2/6) 「国際協力」または「震災復興支援」

★サステナブル・フード・ビジネス研究会の会員を募集しております。
★会員以外の方の、単回でのご参加も可能です。(有料)

研究会へのご参加方法

サステナブル・フード・ビジネス研究会は2011年1月に第1期が立ち上がり、今年第4期を迎えました。
食関連事業者による学びあうコミュニティを築いて、世界の最新情報を共有し、話しあい、またビジネスとしてどのように自社のリスクを評価し、また、どのように効率的かつしなやかな食料システムの構築に向けてポジティブな変化のうねりを創るかという、チャレンジに向き合っています。

●研究会が目指すこと
  • 食のサステナビリティに関するビジネス上の課題への認識を高める
  • 食のサステナビリティに関する企業や関係者の動向、課題について知識を深める
  • 一社、業界単独では解決できない問題を協働で解決していく道筋をさぐる
  • 日本の食・世界の食、そして事業継続に関してメインストームにたいしてポジティブなうねりを作り出す

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