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ユニリーバのサステナビリティ経営事例~リーダーシップ開発と組織学習の活かし方~(3)多国籍企業をCSR実践に駆り立てる4つの要因

2017年05月12日

ODNJ年次大会2016基調セッションより、許可を得てアンドレ・ファン・ヘームストラ氏ビデオレター(全訳)「ユニリーバのサステナビリティ経営事例~リーダーシップ開発と組織学習の活かし方~」を数回にわけてご紹介しております。 

ODNJ年次大会2016基調セッション

ユニリーバのサステナビリティ経営事例
~リーダーシップ開発と組織学習の活かし方~


アンドレ・ファン・ヘームストラ氏ビデオレター(全訳)
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多国籍企業をCSR実践に駆り立てる4つの要因

ここから、企業の社会的責任(CSR)を果たすよう企業を駆り立てる要因の話をしたいと思います。問うべきは、人間の幸福/福祉を促進するよう多国籍企業をほんとうに駆り立てるものは何か、ということです。私は4つあると思います。

1つめは、市場の機会。

2つめに、新興経済国での体験。

3つめに、企業内部のモチベーション。

4つめに、若者世代です。

多国籍企業をCSR実践に駆り立てる4つの要因:①市場の機会

まず市場の機会について、特に、いかに消費者の生活の質を劇的に改善することです。イノベーション・プロセスとブランド・コミュニケーションに生活の質の改善が採り入れられることによって、真の成長の機会に新たな光を当ててくれるのです

その力強い例が、ユニリーバがアジアとアフリカで展開してきた手洗いキャンペーンです。石鹸で手を洗えば下痢関連の疾患を実に大きく減らせることがわかっています。高い確率で死に至る疾患です。手の衛生状態がよいとそのような死を半分にできることが証明されているのです。今のところ、ユニリーバはこのキャンペーンをアジア、アフリカで数百万人の子どもに届けました。

もう一つの例は「持続可能なパーム油のための円卓会議」の設立です。森林破壊の脅威に実地に取り組み、完璧ではありませんが大きく前進している仕組みになってきました。食品の主要原料であるパーム油の収穫につなげて森林破壊を減らすものです。

多国籍企業をCSR実践に駆り立てる4つの要因:②経済新興国での経験

2つめは、経済新興国での経験です。

そのエリアでの経営経験を持つマネジャーたちは、企業の成功とその企業が操業する国の成功が強く結びついていることをよく知っています。そして自分が組織のトップになった時、私がそうだったように、自分の直接の同僚たちと同じ経験を共有していることに気づきます。それが企業全体の責任を取る風土を構築するのに役立つのです。

多国籍企業をCSR実践に駆り立てる4つの要因:③働く人たちのモチベーション

企業を動かすものの3つめは、働く人たちのモチベーションです。私の知る限り、会社に対して持つ誇りほど強い動機づけは他にありません。

私はユニリーバの経理部門の同僚たちと協力して、幅広い研究を行い、モチベーションと財務上の結果の間に存在する強い相関関係を立証しました。そしてグローバル・ピープル・サーベイという従業員調査を行いました。実際に全世界で実施したものです。私が最後に関わったのは2004年ですが、12万人のユニリーバ従業員に尋ね、うち10万8千人から返答を得ました。

グローバル・ピープル・サーベイにはモチベーションについてたくさんの設問があり、結果の統計分析から、私たちはモチベーションを促進する3つの要因を見出しました。

1つめの促進要因は会社のリーダーシップを信じられることです。これは実際のトップのリーダーシップのことで、自分の組織上の位置によりますが、組織の実際のトップまたは会社が操業している国のトップを意味しており、自分より何段階か上にいるリーダーのことです。

2つめは、自分の仕事をどのように感じているかです。同僚や直接の上司や部下との関係や、自分が適切な承認を得ているか、仕事をうまく行うための手段はあるか、などです。

そして3つめがあって、モチベーションの会社へのメリットの全体像が完成します。それは会社が責任ある態度を取ることです。それがあって初めて企業のメリットにつながります。

多国籍企業をCSR実践に駆り立てる4つの要因:④若者世代

最後に、多国籍企業を動かす4つめの要因は、若者世代です。私は自分のキャリアを通じて、若者世代の仕事への取り組み方が大きく変わったのを見てきました。私が就職したころはよく語調強くアドバイスされたものです。「私的な生活と会社の生活の間に明確な境界線を引け。会社の中では自分個人の信念とまったく相容れないことをするよう求められるかもしれないからだ。私的な生活をダメにしたくはないだろう」

この境界線は新しい世代が現れるにしたがって消えていきました。彼らは自分の理想を仕事の中でいかに実現できるかを見ようとし、実際この点については仕事人生と私的生活の間に何の区別も見ないのです。

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この文章は、ODNJ年次大会2016基調セッション講演より許可を得て翻訳、掲載しております。
Croyrights ©2017
講演者:アンドレ・ファン・ヘームストラ
翻訳者:小田理一郎・桑原香苗


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