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『社会変革のためのシステム思考実践ガイド』監訳者による解説(1)「社会変革とシステム思考」

システム思考の新たな実践ガイドの翻訳を手がけました。ソーシャルセクターで注目を集める「コレクティブ・インパクト」の実践書となっています。『社会変革のためのシステム思考実践ガイドーー共に解決策を見いだし、コレクティブ・インパクトを創造する』(11月16日発売)

著者ディヴィッド・ストローが関わった豊富な社会変革事例をもとに、システム思考の実務的なプロセスをわかりやすく解説しています。本書の「監訳者による解説」を出版社からの許可得て出版に先立って掲載します。

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監訳者による解説

システム思考の実践と研究

私が本書の著者デイヴィッド・ストローと、彼の相棒であるマイケル・グッドマンの二人に出会ったのは、〈組織学習協会(SoL〉)コミュニティの会議でのことでした。彼らは私にとって、システム・ダイナミクス学派の兄弟子です。二人は後輩やシステム思考の初学者に対してとても面倒見が良く、真摯な態度で、難しい質問にも思慮深く、そして愛情をもって答えてくれます。社会や自然に対して共感と愛情を抱き、他者に対しては信頼を基本として接している人物たちであると尊敬の念を抱いていました。

この二人の貢献の中でも著名なのは、本書でも中心に取り上げられている「システム原型」のビジネス分野への応用です。システム原型とは、さまざまな分野で共通して現れることの多い、問題の構造の基本となる型です。もともと、環境・開発分野で数多くの功績を上げたドネラ・メドウズが、一般の市民にもシステムの構造を理解してもらうために発案しました。このシステム原型が示す有用な知恵の一つは、その汎用性です。セクターや業界や規模にかかわらず、現実の問題をシステムのフィードバック構造に落とし込むことができれば、根本原因の掘り下げや解決のためにとるべきアプローチの手がかりを得られるのです。デイヴィッドとマイケルがこの考え方をビジネスや職場の場面に応用し、実践を積みながら練り上げていきました。彼らのこの貢献は、1990年に版されたピーター・センゲの『The Fifth Discipline (邦題:学習する組織』)の中で大きく取り上げられています。システム原型を用いることで、難易度が比較的高い作業が多かったシステム思考の実践を、身近な職場やビジネスの問題へ適用することがしやすくなったのです。このシリーズの書籍の発行部数は全世界で300万部以上にものぼり、世界各国の組織や地域で「学習する組織」の考え方が広がっています。

社会変革とシステム思考

学習する組織とシステム思考の広がりは、ビジネス分野だけにとどまりません。行政セクター、市民セクター、社会起業家たちの間でもその実践が広がっていきました。本書は、社会変革(ソーシャルイノベーション)と呼ばれる分野において、システム思考および関連する手法が、どのようにして社会変革の効果的な触媒として活用し得るかを示すために書かれました。

社会変革の目指すところは、重大な社会問題に対して、十分に大きなプラスの変化をもたらすことです。この変化を「インパクト」ないし「ソーシャルインパクト」とも呼びます。ソーシャルインパクトとは、「組織あるいはプログラムによる介入がもたらした、広範で長期的な受益者にとっての追加的な成果アウトカムであり、意図したものも意図しなかったものも、あるいはプラスの変化もマイナスの変化も含んだ正味の変化」と定義されます。

例えば、若者への就業支援、省エネの推進、食品ロスの削減運動、低栄養によって発育阻害のおそれのある子供たちへの食事提供、日本向け商品の生産段階における児童労働撲滅など、さまざまなプログラムによって、対象とする受益者や周辺の利害関係者たちに、さまざまなプラスとマイナスの影響が生ずることでしょう。

望ましい未来を実現するために、実に多くの利害関係者や似たテーマの社会課題に取り組むプレイヤーが関わります。一つの組織が単独で成果を出すケースもありますが、多くの場合は、数多くの組織の活動の集合体として成果が現れます。こうした成果は、自組織がモノやサービスを産出アウトプットしても他の組織の成果達成の前提条件を満たさないこともあるし、むしろ他組織の活動が意図せずに自組織の成果を阻害する場合もあるでしょう。また、似たテーマに取り組むプレイヤーたちが、限られた資金や人材を奪い合うことも考えられます。

社会変革の取り組みは高度な複雑性が特徴です。まず、あるテーマの社会問題に対して、さまざまな個人やグループ、コミュニティが関わっており、それぞれの文脈が違う場合が多いという意味の複雑さです(詳細の複雑性)。そして、短期的な成果を出す施策は長期的にはマイナスの成果をもたらし、逆に長期的に成果を出す施策は短期的にはマイナスの成果をもたらすことがしばしばあります(ダイナミックな複雑性)また、同じテーマの社会問題に関わる人たちの間でも、現状はどのようになっているのか、何が問題なのか、何がその原因か、何が目指す姿か、何が解決策か、どのような資源配分や順序立てがなされるべきかなど、さまざまな点で、違った認識や意見を持っていることは当たり前のようにあります(社会的な複雑性)さらに、仮に「正しい解決策」があったとしても、それを誰が、どのように伝えるかによって効果が異なり、しばしば介入者自身の態度や行動が「システムの抵抗」と呼ばれる逆効果を生み出すこともあります(適応を要する課題)。

コレクティブ・インパクト

このような文脈の中で、井上英之さんの「まえがき」および本書第2章で示された、「コレクティブ・インパクト」への注目が高まります。コレクティブ・インパクトは、「異なるセクターから集まった重要なプレイヤーたちのグループが、特定の複雑な社会課題の解決のために、共通のアジェンダに対して行うコミットメント」を指します。コレクティブ・インパクトを進めるうえで必要となる重要な要素は「共通のアジェンダ」「共通の測定方法」「相互に補強し合う活動」「継続的なコミュニケーション」「バックボーン組織」です。

本書の第1部では、コレクティブ・インパクトを実現するための大きな二つの要素として、「システム全体から関係者たちを招集すること」と、「システム的に考えること」を提唱したうえで、後者のシステム的に考えることに必要なシステム思考の基礎を紐解いています。

第2部では、具体的にシステム全体から招集された関係者たちによって進める一連のプロセスとして「4段階の変革プロセス」が紹介されています。

第3部では、社会変革の実務面からの補足として、「変化の理論(セオリー・オブ・チェンジ)」「評価」「システム思考家の心得」という三つのテーマが紹介されます。

「変化の理論(セオリー・オブ・チェンジ)」は、関係者たちによる「共通のアジェンダ」を構築し、また「相互に補強し合う活動」の青写真となります。

組織・プログラムのインパクトの評価体系は、関係者たちに「共通の測定方法」を設定すると共に、社会全般および主要な関係者たちに成果アウトカムを的確に伝え、関係者たちの学習を促すための「継続的なコミュニケーション」の基盤となります。バックボーン組織は、こうした多様な関係者たちの活動をコーディネートするうえで重要な役割を担う組織です。

最後に、ファシリテーターや社会起業家に欠かせないリーダーシップ資質としてシステム思考家(システムシンカー)としての「あり方」を培うことを奨めています。まさに、コレクティブ・インパクトを進めるためのエッセンスが凝縮された一冊と言えるでしょう。

そして、たとえあなたやあなたの組織が、他の利害関係者とあまり関わっていない場合でも、本書のプロセスは大いに役立つでしょう。組織内で理念、戦略、中長期計画を策定する際、新しいプログラムの立案する際、あるいは節目を終えて評価を行う際などに活用できるでしょう。そして、組織内の経営陣、スタッフ、理事会の中で、あるいはさらに広げて、資金提供者やサポーター、ボランティア、そして受益者などの関係者を呼び集める機会があれば、共にシステム的に考えることの価値を実感できることでしょう。

社会価値創出に貢献するビジネスの役割

これまでは公的機関や非営利組織が社会変革を主に担ってきましたが、企業などの民間セクターにも期待が高まっています。グローバル化や経済開発の陰で、環境の破壊、温暖化問題、社会コミュニティの崩壊など、企業はともすると社会問題を生み出す原因であるという見方が、社会・環境問題の活動家の間には根強くありました。しかし、ここ20年ほどで機運は変わり、「企業は社会問題の解決に携わる重要な利害関係者である」との見方が生まれ、期待が寄せられているのです。

そうした背景もあって、企業の評価において「ESG」や「CSV(Creating Shared Value )などのキーワードが注目されています。ESGとは、環境(Environment)社会(Society)ガバナンス(Governance)の三つの側面から見た企業のパフォーマンス評価であり、世界的な投資対象基準として採用され、近年日本でも、とくに企業評価の分野で注目されています。またCSVとは、政府・市民セクターと協働し、社会価値と事業価値の双方を創出する活動のことを指します。企業の立場からも、新たなビジネスの創出を見据えて、社会問題へ関心を寄せるようになっています。

日本では、以前から「三方よし」「論語と算盤」と言われるように、社会道徳を前提にした経済を志向する考え方がありました。社会的な活動を単なるかけ声倒れに終わらせずに、企業理念と合致した現実の変化を創り出すうえでも、この社会価値創出についての実践的なアプローチが求められるところです。

実際、海外では、環境問題や社会問題に対する社会変革を他のセクターと連携することで、新規事業を創出し、企業の評判を高め、財務的にも優れた成果を残す企業がたくさん現れています。それらの社会変革に成功する企業では、担当者たちが、本書にあるような実績のある手法とプロセスを用いていることも見逃せないポイントです。

コレクティブ・インパクトの実践に向けて

このような背景の中で、デイヴィッド・ストローのこの著書は極めてタイムリーだと言えるでしょう。「VUCA(脆弱、不確実、複雑、あいまい」)時代と言われる今日、システムそのものの変容とそのためのシステム横断のコラボレーションが、ますます求められる4ようになっています。しかし、システム横断のコラボレーションは、「言うは易し、行うは難し」の最たるものです。十分な関係者たちの意志と、個人および集団としての能力が備わらなければ為し得ません。事実、コラボレーションの失敗のほとんどは、招集時点あるいは変化の基盤づくりの段階で起こります。

本書は、コレクティブ・インパクトあるいはシステム横断のコラボレーションの構築を念頭に、システム思考だけでなく、「学習する組織」他の4つのディシプリン(「メンタル・モデル」「チーム学習」「自己マスタリー」「共有ビジョン」)を統合したプロセスを紹介しています。実務上のプロセスの経験を積んだ方や学習する組織の方法論に通じた方にとっては、本書は過不足なく情報を提供してくれています。一方、なじみの薄い方にとって、実際にどのように始めるのか疑問が残る方もいらっしゃるでしょう。

以下、この解説では、システム全体から招集することと、システム的に考えることのそれぞれについて、実務的なプロセスを紹介します。また、最近国際的に公的資金や助成金を得る際に求められる変化の理論(セオリー・オブ・チェンジ)について、本書と実務の関連を紹介します。

システム全体から関係者を招集する

本書の事例では、デイヴィッドたちはファシリテーターとして呼ばれており、招集者が別にいることが多いようです。招集段階について世界各地で成功と失敗の双方の経験がもっとも豊富なファシリテーターは、カナダ人のアダム・カヘン氏です。南アフリカやコロンビアで多様な利害関係者たちのコラボレーションをファシリテーションし、それぞれマンデラ大統領、サントス大統領のノーベル平和賞受賞に貢献しました。彼の著書『社会変革のシナリオ・プランニング』と『敵とのコラボレーション』では、このシステム全体から関係者を招集することに関して具体例と共に描いています。ここではその要点を紹介します。

まず、会合そのものの参加者を決める招集チームを結成します。さまざまなセクターから関係者たちを呼び集めるには、各方面にネットワークをもち影響力をもつキーパーソンたちが必要となります。ファシリテーターを含めて3〜7名程度で構成されるこのチームが、関係者の人選を進め、参加を呼びかける役割を担います。参加者を決める際には、地域システムや社会システムを代表する小宇宙ミクロコスモスを形成することを目指します。各セクターや業界の有力なリーダーを含めることが多いですが、本書にあるように声なき多くの一般市民や受益者を代表できる人や、全く異なる視点を提供できる人を含めることが大切です。

理想的には、数ヶ月~2年間にわたって、合計で10日~20日のプロセスを設計することが望ましいでしょう。南アフリカの事例では、忙しすぎる各党の代表ではなく右腕となっている中堅若手を集めたことで、その後の国づくりの人材育成の場にもなりました。物理的にそれだけの日数の参加がかなわない場合には、さまざまな視点や声を集めるために、参加者たちが現地を訪問する、会場へゲストスピーカーとして知見を共有してもらう、インタビューするなど、さまざまな方法を組み合わせることが出来ます。いわゆるアンケートや、複数人同時にインタビューするフォーカスグループなどの情報も役立つでしょう。ただし気をつけておきたいのは、統計とプロファイリングによって過度に抽象化すると、人間性やリアル感がどうしても失われがちですので、実在する人物に関する記録や証言あるいはストーリーとして提示するのがよいでしょう。

また、「全体から関係者を集めたい」とする招集者の意図を一方的に押しつけるのは逆効果です。アダム・カヘンは『敵とのコラボレーション』の中で、協働は必ずしも最善の選択肢ではない、として、参加者の立場からどのような選択肢があるかについて解説しています。本書でデイヴィッドが記述することと重なりますが、協働以外にも、「対立」「適応」「離脱」の選択肢があり、これらと意識的な比較を行ったうえで、参加者自らが選択するように働きかける姿勢を持つことも大切です。

多様な参加者の対話のファシリテーション

さて、多様な関係者たちが集まったところでどのように話し合いを進めればよいでしょうか。

共通の社会課題のもとに集まったとしても、その役割、目的、方針、立ち位置、信念や価値観には大きな違いがあることは珍しくありません。そのような人々が生産的な会話を行うためには、力強く安全な「器」が欠かせません(本書では第3章で簡単に言及されています。)器とは、日本でいうところの「場」の概念と類似していますが、さらに踏み込んで囲いや蓋がしっかりあることが特徴です。囲いの例として、物理的に日常と違う場所で開催することや一連の会合の期限を決めておくことのほか、このプロセスに参加する全員が、組織内外の批判や攻撃から守られるような手立てを打つことが含まれます。また囲われた場に蓋があることで、器の中でエネルギーや感情が発散され、ぶつかり、やがて気圧(プレッシャー)が高まる中で調和していく一つの大きな流れが形成されるように器を保持できる機能が形成されます。

この安全な器の中で、参加者間の意見、感情、エネルギーが相互に交わされるプロセスを設計し、遂行するのがファシリテーターの重要な役目であり、そのために必要な学習する組織のディシプリンが「チーム学習」です。本書では、チーム学習の基盤となるメンタル・モデルと対処法としての「推論のはしご」および「主張と探求のバランス」が紹介されていますが、これは参加者一人ひとりが理解して身につけられるような学習の場を設けると効果的です。

チーム学習を進めるうえで重要なフレームワークとして、オットー・シャーマーの発案した4つの話し方・聴き方(聞き方)がとりわけ役に立つでしょう。

最初の会合では、よそよそしく丁寧に話したり、場合によっては互いに警戒したりするかもしれません。また、主催者チームや有力者が一方的に話すばかりで、それ以外の人があまり話せないような状況も起こりがちでしょう。このレベル1の状態を「儀礼的な会話(ダウンローディング」)と呼び、丁寧さや恐れに満ちた話し方となり、自分の経験と照らし合わせて過去のパターンに沿うかどうかを考えながら会話する予測的な聞き方になります。この状態では、既存のシステム構造を反映するだけで、変容は何も起こりません。

ファシリテーターが心がけるのは、まずそれぞれシステムの部分を構成する人やグループが、それぞれの考えをはっきりと述べるような状態にすることです。立場によって異なる意見が出され、意見の相違や衝突がはっきりしてくると、レベルの「討論(ディベート)」の状態になります。ここでは、意見が衝突する話し方となり、どの意見が妥当か判断しようとする聞き方が中心になります。

さらに、異なる意見をもつ他者に対して共感的な聴き方をし、そして、システムの中で自身の知らないことや問題へ加担しているかもしれないことに対して内省的な話し方が組み合わさると、レベル3の「内省的な対話(ダイアログ」)と呼ぶ状態に場がシフトします。未来に向けての方向転換が始まるときでもあります。

そこからさらに俯瞰が進み、自他を分けていた境界を越えて、そこにいる人たちが分かたれない一つの全体であると悟る境界のない聴き方と、場から生まれる叡智に委ねる生成的な話し方ができるようになると、レベル4の「共創的な対話(プレゼンシング)」と呼ばれる状態に場がシフトします。

ファシリテーターは、このような場のシフトを意図することはできますが、実際に場を構成するのは参加者たちです。参加者たちが、自分たちで場のシフトを進めていくために、ファシリテーターは対話のグラウンドルールを定め、メンタル・モデルを保留すること、視座を転換すること、目的にそぐわないメンタル・モデルを手放し、出現しつつある未来を形にすることを推奨し、場が動くのを待ちます。

実は、本書で書かれているシステム思考の世界観およびプロセス自体が、こうした場のシフトを支援してくれます。

システムに関するストーリー、時系列変化パターングラフ(後述)システム図の変数出しなど、それぞれの立場から見えやすいシステムの構成要素や側面を出し合うことで、それぞれが意見を述べて場に貢献する機会を作ります(レベル1→2)。

また、変数が別の変数に対してどちらの方向に影響を与えるのか、どんな仕組みなのかについて、正しさの判断は保留してさまざまな意見を一つの平面上に書き込んでいきます(レベル2 )。

システム思考の重要な原則は、構造が挙動を作り出すことです。従って、責任者や担当者が代わっても繰り返し起こる問題や挙動に対して、人を責めるのではなく、どのような構造がその挙動につながるかを考えます。具体的には、人が置かれた物理的および人的な環境、意思決定をする際に入手できる情報、目に見える目標・ルール・インセンティブ・罰則などです。システム図の中でもっとも重要な着眼点の一つは、関係者の認知や行動にあります。ある特定のプレイヤーが認知・行動する際に置かれた文脈に身を置いてみることで、相手の立場に立ち、同意はしなくとも行動や発言の背景や理由を理解し、共感することがしやすくなります。さらには、自分自身の置かれた環境が全体から切り離されていたり、あるいは、自身の行動が意図せぬ結果をもたらしたりしていることもあるでしょう。また、他者と対峙するのではなく、隣り合ってシステム図を眺めることも相手や自分を責めるのではなく構造を客観的に見やすくする構図をつくります(レベル3)。

そして最後に、固定観念の枠組みを超えて、より広い視野で全体像を捉えたシステム図を俯瞰することで、いかに互いがつながっているか、それぞれが全体の一部になっているかを見えやすくすることができます。一人ひとりが全体の俯瞰図の作成に関わり、オーナーシップを持って話をしたならば、共創的な対話は起こりやすくなるでしょう(レベル4)。

ピーター・センゲは、システム思考と対話(チーム学習)はあざなえる縄のようなものだと言います。システム思考は、システム全体から招集された関係者たちの対話を助けます。同時に、より開かれた深遠な対話は、システムの深い理解、共感と内省、新たな意図とビジョンの生成を助けるのです。

しかし、システム思考のプロセスが、対話を助けやすい構造になっている一方で、それだけでは場のシフトが起こるとは限りません。システム思考を実践する者はチーム学習のディシプリンにも通じることでその大きな相乗効果を生み出しやすくなります。個人として両方を使いこなすことが難しい場合、システム思考に強い人と対話ファシリテーションに長けた人とチームを作り、ファシリテーションするのもよいでしょう。

(2)「システム的に考える実践上の10のコツ」へつづく


『社会変革のためのシステム思考実践ガイドーー共に解決策を見いだし、コレクティブ・インパクトを創造する』(11/16発売)


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