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システム思考でみるプロジェクト・マネジメント(5)

前回に続き、システム思考に基づくプロジェクト・マネジメント事例を紹介しながら、どのように知識創造型の「学習する組織」を築けばよいかを紹介します。)

プロジェクト・マネジメントが失敗ばかりするのはなぜでしょうか? つまるところ失敗の構造は、「今よければいい」「今を乗り切らずして明日はない」といったメンタルモデルから生じているといえます。そのメンタルモデルによって、現実を狭い範囲でしか捉えられず、さらには組織としてどのような未来を創っていくのか、といった共有理念が欠如している結果でもあるといえます。

プロジェクト過程での過誤、やり直し、変更が不可避だとしても、そうした現実をありのままに見つめながら、組織全体を新たな共有ビジョンに向けて舵取りをしている組織もあります。そうした組織では、失敗から学び、より波及効果の少ない変更を選択し、さらには変更そのものができるだけ生じない計画策定に取り組んでいます。いうなれば、「学習する組織」です。

例えば、建設業界のフルア(Fluor)社では、リワーク・サイクルと波及効果の構造をモデル化した「変更によるインパクトの評価(Change Impact Assessment)」システムを開発し、プロジェクトのシステムや挙動、それを踏まえた対策について、経営陣、社員、クライアントの教育を行っています。さらに、プロジェクト・マネージャー100人が変更による直接・間接効果や望ましくないインパクトの回避策についてのシミュレーション機能を学び、意思決定やクライアントとの交渉のサポートに活用しています。同社ではすでに100以上のプロジェクトに適用し、節減したコストは1000億円を超えます。

半導体業界ではインテル社のある工場開発ユニットが、それまでの長時間労働と超人的な努力による業務スタイルを改め、社員が定時で帰宅するようにしました。さらに、勤務時間中もチームメンバー間の対話と振り返りに多くの時間を割いて、それぞれのメンバーのメンタルモデルを広げ、いかにシステムとしてプロジェクトを見るかに注力しました。その結果、新工場「Fab 11」の立ち上げにおいて、もっとも強気な期限見通しからさらに9~12カ月の期間短縮を行い、数十億円のコストを削減しました。

また、自動車業界ではフォードの開発会社が、システム思考、メンタルモデル、共有ビジョンなどを柱とする組織開発プログラム「学習する組織」を導入しました。システム思考を学んだ経営陣とマネージャーたちは、対話を通じて現実を生み出すシステム構造をあぶり出しつつ(図5)、チームの共有ビジョンを構築して同社の開発史に残るような製品開発を成し遂げました。プロジェクトは、通常の48カ月から6カ月短縮していた期限をさらに前倒しで達成し、コストは予算比80億円を節減、ほかのすべてのパフォーマンスターゲットも達成または超越しました。市場ではデザイン賞も得て、同社の開発史上もっとも高く評価される製品となりました。

いずれも、プロジェクトを単独の要素の集合体としてではなく、つながりをもったシステムとして捉えることに注力し、また対話を通じてそれぞれの関係者が自らのメンタルモデルを広げ、自分自身の行動の影響をより長期に、全体的に、複眼的に見るようになったことの結果です。

これからのプロジェクト・マネジメントでは、プロジェクトをシステムとして捉え、短期だけでなく長期、部分だけでなく全体も見渡せる手法やツールを開発、活用することが望ましいのです。また、多様なメンバーと利害関係者からなるプロジェクトチームも1つのシステムです。人と組織が学習能力を高め、過去の成功と失敗を振り返って学び、いよいよ加速する環境変化に適応し、進化する組織を構築できるかどうかが、21世紀のプロジェクト・マネジメントの成功のカギを握ると考えています。

以上で、システム思考に基づくプロジェクト・マネジメント事例の短期連載を終わります。

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