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世界のシステム・リーダー1 ネルソン・マンデラ氏 【前編】 「27年間の牢獄生活における自己マスタリー」

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(Image photo by South Africa the Good News: https://www.flickr.com/photos/sagoodnews/3199012558/in/photostream/)

「世界のシステム・リーダー」シリーズ開始!-1人目はネルソン・マンデラ氏

システム・リーダーとは、メンバーたちが我がこととしてシステム規模での変容を生み出すためのリーダーシップを人々の間に育むリーダーを指します。ここでシステムは、さまざまな人やものごとの相互作用の集合体を指し、職場や近所、会社や地域、業界、市場、国などで行われる営みは概してみなシステムであるといえます。その規模の大小はあれ、システム規模の変容を起こした世界のシステム・リーダーたちを紹介していきます。

そして、新シリーズの1人目は、南アフリカでアパルトへイト廃止後、黒人初の南アフリカ大統領になったネルソン・マンデラさんを紹介します。

「ネルソン・マンデラ」と聞くと、歴史の教科書に載っていた人物、というイメージが強いかもしれませんが、実は、マンデラさんはアフリカ諸国には大変珍しく、また幸運なことに95歳まで生き続け、その生涯の幕を閉じたのはつい一昨年(2013年)の12月5日のことでした。学生時代には弁護士になるべくひたすら勉学に励んでいましたが、ある日先輩から受けた誘いをきっかけに、1944年(26歳)に南アフリカの自由への闘争に踏み出します。しかしながら、1962年(44歳)に当時の政府より反逆罪で逮捕され、終身刑を言い渡されます。

それから釈放に至ったのは1990年、72歳の時であり、実に27年もの歳月が流れます。そして、出所よりわずか3年後には白人の大統領デ・クラーク氏と共にノーベル平和賞を受賞、4年後には初の全人種参加選挙が行われ、南アフリカ初の黒人大統領として就任しました。

畳2畳ほどのスペースで、日々積み重ねた鍛練

たった畳2畳程のスペースしかない刑務所の独房で、決して希望を失わず、さらには大統領になるまでの能力を磨き上げることのできた27年間もの牢獄生活において、いったいどのような努力があったのでしょうか。

「私は刑務所で成熟したのだ」と、マンデラさんは言います。
「刑務所を出たとき、マンデラは別人だった」と、その同胞たちも語ります。
「成熟している」という言葉の定義を、「一時の感情を抑え、様々な思考を冷静に判断し、ものごとをありのままに見ることができる」ことだとマンデラさんは考えます。20代~40代の若い頃の彼は、とても情熱的で、怒りや感情をあらわにすることで黒人組織を引っ張ってきました。しかし、刑務所に収監されている状況では、ものごとに対する一切の反応を抑え込まなければなりませんでした。荒く残酷な看守のもとで、囚人がコントロールできるものは何もなく、唯一、コントロールすることができたのは、自分自身だけだったといいます。そのような環境が、自分の中の余計なものをそぎ落とし、「自己の鍛練と節制、集中力」を植え付けることとなったのです。

狭い独房の中で、毎朝5時に起きて約1時間もの腕立て伏せ、スクワットを欠かさず、自分の体と忍耐を鍛え続けます。理不尽な看守の態度に対し、反撃することも、屈することもしませんでした。一方で、苦しい環境の中で自分に負けてしまう同胞の囚人達の弱さにも、十二分に理解を示しました。妻のウィニーが白人警察からひどい拷問にあったり、息子テンビが事故で死亡した、といったニュースを聞くたびに何度も込み上げる怒りをぐっと鎮め、堪えました。そのかわり、刑務所内の図書館で唯一閲覧が許されたアフリカーナー(当時の南アフリカ白人)に関する本を読み、敵の言語や歴史、文化の深い理解に努めました。未来に希望を失いそうなとき、映画のタイトルにもなった「インビクタス」という詩の最後のフレーズ「I am the master of my fate. I am the captain of my soul.(我が運命の支配者は自分自身である。我が魂の指揮者は自分自身である)」というメッセージを何度も何度も自分の中で繰り返します。それでもものごとが上手くいかない時、刑務所の畑で一生懸命に育てていたトマトがいくつか枯れてしまったのを見て、ものごとには手の施しようがないこともあるのだ、という現実をも受け容れました。

「自己マスタリー」の実践:27年間に渡る、創造的緊張の維持

刑務所で身に着けたこれらすべての力が、やがて白人看守との信頼関係を築くことに繋がり、刑務所内の生活環境が少しずつ改善され、刑務所長との対等な対話を実現します。そして、ついには白人の前大統領との交渉機会を得るに至ったのでした。

大統領就任後の彼を取材していたジャーナリストは、マンデラさんが人を肯定的に評価するときには、「深い洞察力を備えている」「忍耐強い」「バランスがとれている」という表現を多く用いたといいます。これはきっと、マンデラさん自身が努力をして大事にしていたあり方だったのでしょう。

この様に、知識や技術の習得だけではなく心や自身のあり方の鍛錬を続け、27年後に同胞たちをも驚かせるほどの変容を遂げたマンデラさんの努力は、『学習する組織』における「自己マスタリー」の優れたレベルでの実践にあたります。自らの大志を抱き続ける一方で、刑務所という隔離され、手の施しようのない環境下において、自らの置かれた状況の現実をありのままに受け容れることを同時に行っています。感情に流された反応的な行動を抑え、できることに焦点をあてて、自身を磨き続け、白人の看守や刑務所長とも関係性を広げていきました。志と現実の狭間で、27年という長期にわたって創造的緊張を維持したのです。

こうした個人の想いや情熱とシステムの現実の受容の狭間に現れる自己変容はあらゆるシステム規模の変容の原点です。そして、ひじょうに個人的であると同時に、エゴのない、全体性に通じた想いは、自らの行動を変えるばかりではなく周囲の人たちをも感化し、影響のうねりを大きく広げていくエンジンとなることを教えてくれます。

次回は、大統領就任後の奮闘ストーリー

次回は、出所後いかにして大統領になり、いかにして全人種が共に生きる「虹の国」南アフリカを創り出したかについてお話ししたいと思います。

(つづく 後編はこちら

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参考文献:Nelson Mandela, Long Walk To Freedom /  Richard Stengel, Mandela's Way


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