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『「学習する組織」入門』新著6月21日刊行のお知らせ

2017年06月05日

小田理一郎の新著『「学習する組織」入門』を6月21日に上梓します。

21世紀型の経営と組織を提示する世界的なベストセラー『学習する組織』をもとに、その基礎となる理論と手法について、事例と演習をまじえながらわかりやすく紹介ことで、学習する組織(ラーニング・オーガニゼーション)づくりの具体的な実践イメージをお持ちいただきやすくすることを意図しました。

序文に、原著『学習する組織』の著者、ピーター・センゲ氏からメッセージをいただきました。以下、出版者からの許可を得て、「ピーター・センゲの序文」「はじめに」「目次」をご紹介します。


▼序文――『学習する組織』著者(ピーター・センゲ)から
▼はじめに
▼目次

▼書店先行販売情報
6月14日から、下記の書店にて先行販売の予定です。一足はやめにお手にとってお試しいただく機会になれば嬉しいです。
(東京・神奈川)

  • 丸善 丸の内本店
  • 丸善 日本橋店
  • 三省堂書店 有楽町店
  • 三省堂書店 神保町本店
  • 文教堂書店 浜松町店
  • 丸善 ラゾーナ川崎店
  • ブックファースト 青葉台店

(大阪)

  • 紀伊國屋書店 梅田本店
  • 紀伊國屋書店 本町店

※在庫や販売スケジュール等、詳しくは店舗にお問い合わせください。

序文――『学習する組織』著者(ピーター・センゲ)から

「学習する組織」のツールと実践を日本の組織の文脈で導入することにおいて、本書の著者、小田理一郎ほど幅広くかつ深い経験を持つ人はいないと言ってよいだろう。だからこそ、この新著は意義深い。小田は核となる概念と実践をわかりやすく伝えるだけでなく、多くの日本企業と関わってきた経験を本書で共有している。彼は日本企業が直面しがちな課題を理解し、革新的なマネジャーがいかに課題に対処するかを見てきた。また同様に重要なこととして、私の著書『学習する組織』の出版後に生まれた新しい概念の数々が、どのように人々の実践に役立つかを示している。本書は実践を念頭に置いており、学習する組織のディシプリンと実践すべき慣行の両方を紹介している。読者は頭でわかる以上の理解を得られるだろう。
『学習する組織』が初めて日本語に翻訳されて以来、多くの人が、その概念の理解と活用に苦心してきた。この概念が、異なる文化――特に日本のような非西洋の文化――のビジネスリーダーたちにとっての現実に合わせたかたちで説明される必要があることは明らかだった。そしてそれこそが小田の行ってきたことだ。
日本の人々は相互依存と協働についてごく自然に理解できるため、私は常に、日本のマネジャーは自然にシステム・リーダーになれると感じてきた。本書がそのビジョンの実現に役立つことを心から願っている。

2017年4月17日
ピーター・センゲ
(MIT、アカデミー・フォー・システム・チェンジ)

はじめに

あなたのチームは「学習する組織」ですか?

「学習する組織」とは、目的に向けて効果的に行動するために、集団としての意識と能力を継続的に高め、伸ばし続ける組織です。この定義に照らし合わせて、あなたのいる組織(職場、チーム、部署、会社など)は学習する組織と言えるでしょうか?

どんな組織にも、社会の中で存在する目的や使命があるものです。あなたの組織は、今その目的の達成に向けて前進しているでしょうか? 目的に至るための個々の目標はクリアできているでしょうか? 

前進していないとき、あるいは目標に到達できていない(高い目標を掲げればそうそう簡単には到達できません)とき、あなたの組織では、自分や組織の能力と意識が目的達成のために十分なものであるかを振り返っていますか? 具体的に、能力や意識を高める努力をしていますか? 現実に組織メンバーや組織の能力と意識は高まっているでしょうか?

目的や目標が達成できているとき、社会の中での役割や存在意義を全うするため、新しい目的やより高い目標を設定して、その組織の潜在能力を活かしているでしょうか?

 もしこれらの問いに対する答えが概してイエスであれば、あなたの組織は学習する組織への道を歩んでいると言えるでしょう。
 学習する組織は、目的を達成するために、能力と意識を高めることで結果を出し、またさらに高い目的を設定して能力と意識を高め続け、社会が求めることに対して組織や個人の潜在能力を最大限高めて応え続けようとします。終わりなきプロセス、「道」を歩み続ける人たちの集団であり、社会の公器として企業価値を創り続けるとともに、その存在そのものを社員や地域コミュニティにとって価値あるものにしようと努力し続ける組織です。

本書の目的と使い方
 この本は、学習する組織を目指してみたいと考える社員、マネジャー、あるいは経営者が、どうしたら学習する組織への道を歩み始めることができるか、また、すでに歩んでいる組織がどのように人や組織の能力と意識をさらに高め、結果を出し続けることができるのかをご一緒に考えるために書きました。
「学習する組織(ラーニング・オーガニゼーション)」は、MIT(マサチューセッツ工科大学)のピーター・センゲや行動科学の大家クリス・アージリス(ハーバード大学教授)らが生み出し普及させた概念であり、理論・手法体系です。それを体系的に示したセンゲの著書『学習する組織』は1990年の初版発行から世界で250万部を超えるベストセラーとなり、ナイキ、ユニリーバ、インテル、VISA、世界銀行など多くの企業・組織に取り入れられてきました。日本でも、日産、リクルート、JICA(国際協力機構)などで導入され、学習する組織を目指す取り組みが近年広がっています。「組織開発」と呼ばれる、組織の効果と健全性を高める活動にも大いに影響を与えています。
 もっとも、学習する組織には、一つの決まった形があるわけではありません。それぞれの組織の目的や規模がさまざまであるだけでなく、組織の置かれた時代や文脈はさまざまですし、常に変化しているからです。むしろ、学習する組織は、環境変化やさまざまな衝撃に適応し、組織のメンバーたちが自ら学び、創造・再創造を繰り返して進化し続ける組織です。完成は想定していないため、学習する組織をつくるための原則、プロセス、ツールの数々は、5つの「ディシプリン」として体系化されています。ディシプリンとは「規律」「訓練」などと訳されますが、合気道や茶道といった言葉で使われる「道」の意味合いに近いと私は考えています。学習する組織をつくるということは、5つの道を歩み続け、自分・チーム・会社を継続的に成長・進化させていく不断の実践活動を意味するのです。
 センゲの『学習する組織』は非常に評価の高い書籍ですが、約600ページの大著ですし、内容の幅広さ・奥深さゆえに「何からどのように実践すればよいかわかりにくい」といった声も聞かれます。そこで、この本では、主にピーター・センゲらのまとめた手法体系の基礎に絞って、わかりやすく解説していきます。また、あなた自身やあなたの組織にすでに備わっている能力や意識について探求し、それらを今のあなたの組織の文脈に合わせてどのように活用できるか、そして組織をどのように進化させていけるかについて、具体的・実践的に考えるきっかけとなることを目指しています。
 まず第1章では多くの組織で試され、磨き、そして広がっている学習する組織がどのようなものであるかを紹介します。第2章では、学習する組織の全体的な構造と、核となる能力について紹介します。
 第3章から第7章ではその能力を構成する「自己マスタリー」「システム思考」「メンタル・モデル」「チーム学習」「共有ビジョン」の5つのディシプリンについて、一つずつ詳しく紹介します。
 第8章では、学習する組織の始め方の一例と、その過程で突き当たる典型的な課題について、事例を交えながら紹介します。そして、学習する組織を目指した先にある、未来の組織のあり方と、それを導くリーダーシップのあり方について、第9章で展望します。
本書の中心となる第3章から第7章の基本構成は、およそ次のようになっています。

事例......ストーリーと振り返りの問い
理論......各ディシプリンの原則とプロセスの紹介
演習......ツールによる演習、その振り返りと解説

 まず学習する組織がどういうものか知りたい方には、「事例」を読んでいただくことをおすすめします。その際、あらかじめ各章の「導入の問い」を読んで、自分の答えを書き留めておくとよいでしょう。事例を読んだら、ストーリーの最後にある「振り返りの問い」を参考に、自分が感じたことや考えたことを書き出し、自分の思考や判断の傾向を確認するとよいでしょう。そして、自分自身の組織について考えてみてください。どのような洞察や問い、課題が浮かび上がるか、仲間と話し合ってもよいでしょう。
 具体的に組織をよくするための取り組みを始めたい方、ないし今行っている取り組みを改善したい方は、「理論」の部分、各ディシプリンの原則とプロセスについて読み進めてください。その中には、なじみのない話や、一見すると疑問に思うこともあるかもしれません。ディシプリンの実践においては、しばしば視座の転換が求められます。今まで人や組織に対して自分が持っていたイメージや思い込み、前提を丁寧に一つずつ検証して、もし前提を変えてみたら何が起こりうるか探求してみましょう。
 積極的な実践を助けるのは、ツールを用いた「演習」です。演習の中には、一人でできるものもありますが、学習はグループで行うのが効果的です。できれば一緒に自分の仮説を聞いてくれたり、探求を助けてくれる仲間を見出して、演習を行ってみるのがおすすめです。
 本書は入門書ですので、紹介する原則、プロセス、ツールはごく基本的なものに限っています。さらに学びたい方には、巻末に文献リストを用意しましたので、参考にしていただければと思います。
 読者のみなさんはどのような意図を持ってこの本を読まれるでしょうか? 学習の効果を高めるには、自分なりの意図や目的、問いを持つことが大切です。たとえば、以下のような問いを頭の片隅において読んでいただくとよいでしょう。

  • 自分の組織は何のために存在するのだろうか。自分の組織は今から5年後、10年後に何をしているだろうか。
  • 自分の組織の生産性を高め、目的につながる成果を出し続けるために必要なことは何か。
  • 自分の組織に、目的の達成に必要な意識や能力は備わっているだろうか。
  • 永く成果を出し続ける組織にはどのような特徴があるのだろうか。
  • 自分の組織では永く成果を出し続けるために何をなすべきかを考え、実践しているか。
  • 自分の組織を「学習する組織」にするために、自分がすぐに始められることは何か。
  • 組織やチームのメンバーの力を引き出すリーダーになるには、どのような力を身につける必要があるだろうか。

 そしてもちろん、みなさん自身の意図や問いがもっとも重要です。
 では、ご一緒に、「学習の旅」に参りましょう。

目次

序文――『学習する組織』著者から
はじめに

第1章 学習する組織とは何か
 起死回生の新車開発プロジェクト
 学習とは? 学習する組織とは?
 学習する組織の目指す成果

第2章 組織の学習能力
学習サイクルと学習環境、そしてディシプリン

 なぜ組織は学習しないのか
 ダブル・ループ学習
 「戦略の構造」と「深い学習サイクル」
 学習能力とディシプリン
 組織は生命体――学習する組織の世界観
 意識と能力の4つのレベル

第3章 自己マスタリー
自分の意識と能力を高め続ける
 リーダーとしての覚悟 
 自己マスタリーとは
 ビジョンの例
 創造的緊張と感情的緊張
 自己マスタリーの演習

第4章システム思考
全体像をとらえ、本質を見出す
 なぜ期限通りに開発が終わらないのか
 何が航空会社の明暗を分けたのか
 システム思考とは
 システムとは相互作用する要素の集合体
 構造がパターンに影響を与える
 システム思考の演習
 システム原型――よくある問題構造の型

第5章 メンタル・モデル
前提を問い、認識を新たにする
 自らの発言の奥にある前提を見つめる
 ありえない未来に備える
 メンタル・モデルとは
 メンタル・モデルへの対処
 メンタル・モデルへの対処の演習

第6章 チーム学習
場と関係性の質を高める
 チーム学習とは
 ビジョン・グアテマラ
 チームとしての能力開発
 チーム学習の演習

第7章 共有ビジョン
「どうありたいのか」に答える
 道路の真ん中に立つ子ども
 10日間か、廃業か
 共有ビジョンとは
 共有ビジョンを築くプロセス
 共有ビジョンの演習

第8章 実践上の課題と対策
 変革の制約はどこにあるのか
 不安と抵抗に向き合う
 深い学習サイクルの実践
 学習インフラのイノベーション

第9章 組織の未来、リーダーシップの未来
 これからの組織のかたち
 サステナブル・フード・ラボ
 これからのリーダーシップのかたち

あとがき
参考文献


▲序文――『学習する組織』著者(ピーター・センゲ)から
▲はじめに
▲目次

NEW◆1冊は6月21日刊行(amazon予約受付中
「学習する組織」入門――自分・チーム・会社が変わる 持続的成長の技術と実践 』(英治出版)
著:小田理一郎

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世界的なベストセラー『学習する組織』をもとに、基礎のポイントに絞って5つのディシプリンの原則と手法を紹介するとともに、各ディシプリン毎に事例と演習、実践上よくある課題、最前線での実践もまじえて、学習する組織づくりの具体的な実践イメージを伝えます。
【経営、リーダーシップ、人材育成、組織開発などの実践者向け、400ページ】


NEW◆1冊は6月24日刊行(amazon予約受付中)

マンガでやさしくわかる学習する組織(日本能率協会マネジメントセンター)

著:小田理一郎

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初心者の方にも「学習する組織」についてのイメージを手軽に知ってもらえるマンガ形式の本です。「学習する組織」の3本柱の考え方とツールについて学ぶきっかけとなることを意図しながら、「学習する組織」の世界観も感じていただけるように心がけました。
【マネジャー、社会人一般向け、約300ページ】


◆原著『学習する組織(英治出版)
著:ピーター・M・センゲ 翻訳:小田 理一郎 他

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人とチームの「学習能力」の根源を探りマネジメントの新常識を打ち立てた名著、待望の増補改訂・完訳版。
世界で250万部以上販売され、20世紀の経営を変えた戦略書の一つとして評価されるピーター・センゲの『The Fifth Discipline』にその後の事例・実践を加えた増補改訂版(2006年)です。企業、学校、地域コミュニティ、社会課題やそれを乗り越える、さまざまな実践事例が書き加えられました。実践からの振り返りと組織の未来への考察は、実際に組織をマネジメントする実践家への道標を提供するでしょう。
いま個人・企業・社会に求められる真の「変革」とは何かを私たちに問いかけます。本書の洞察は決して古くなることがない。文字通り不朽の名著です。
【経営、リーダーシップ、人材育成、組織開発などの実践者・研究者向け、584ページ】

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