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ラーニング・ジャーニーとは?

ラーニング・ジャーニーは、参加者グループがいくつかの現地現場を訪ね、現実の課題に直面する当事者や実践者等からストーリーを聞きながら、今起きているさまざまな現実を観察し、感知し、その意味合いを個人やグループが協働で探るプロセスです。

組織開発やリーダーシップ開発の手法としても、世界的に注目されていて、しばしばU理論を使った個人、組織、超組織での変容プロセスに活用されます。システム的な変革を起こしたい対象となる組織ユニットや地域コミュニティを持ち、すでに取り組んでいる方々にはとくに推奨されるプロセスです。

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なぜラーニング・ジャーニーなのか?

ラーニング・ジャーニーがリーダーシップ開発の手法として注目されているのはなぜでしょうか?

人口減少と市場縮小、グローバル化・競争激化、少子・高齢化、財政難・有効資源の減少、社会問題・環境問題の深刻化、変化のスピードが速く、極めて複雑で一人や一組織では簡単には変えられない問題やシステム的な問題を前に、衝撃に耐え、自らを変革し、変化に適応する力が求められています。

しかし、これほどの激しい環境変化のペースについていくことはたやすいことではありません。しかも、そうした変容が、自分一人だけではなく、組織や地域の十分多くの人々の中で起こることが必要になります。

このような乱気流のようなグローバル時代の組織や地域において、リーダーシップを発揮する人たちに見られる行動特性には次の3つがあります。

  1. 自らの内的基盤を持つこと
  2. 複雑な環境を見極める思考法を使いこなすこと、
  3. 周囲の環境や人のダイナミクスを観察・共感し、柔軟に適応して、人々の共感と内なる志や潜在能力を呼び起こすこと

組織のさまざまな職位の人たちが、組織リーダー、現場リーダー、ネットワークリーダーなどの多様な役割を担うリーダーの生態系を築き、効果的に変化を創造することが必要です。これまでのようなトップダウンで「正解」を集団に伝えるリーダーシップだけではなく、リーダーシップ能力そのものも変容が迫られているのです。

深いレベルでのリーダーシップ能力の開発は、読書や講義はもちろん、あらゆる外側からの働きかけだけではなしえません。内側からの発達、自らを磨き続けることではじめて培われます。ではそのような内側からの変容を促すにはどうすればよいでしょうか。

アインシュタインが「問題を作り出したのと同じレベルの思考では、その問題を解決することはできない」と言っているように、問題状況を同じ見方で考えていては、現行の延長線上の改善しかでてきません。複雑で多元的・多層的な現実や状況に対して、「ある見方」だけをしていては、その全体像をとらえ、本質的な変化を創り出すことはできません

「これまでとは違う見方」をするには、しばしば「旅」が有効です。それは旅先に答えがあるからではありません。現場で離れたところでは、表面的な議論になりがちですが、旅に出ることによって、普段常識と思っていることがゆさぶられ自己の視点に気づき、新しい視点を受け入れることができるからです。

ラーニング・ジャーニーは、さらに仲間達や現地の方と意見交換行うことで、自らの立ち位置、そして複雑な現実の先にある共有ビジョンのタネなどに気づくことができます。また、目的や問題認識の異なる関係者たちの間で、互いを責め合うのではなく問題の構造を徹底的に観察し、その構造への共通理解を広げることは、互いの関係性の変容を図ることができます。

ラーニング・ジャーニーのプロセスで一番大切なのは、自分の見方をいったん脇において、現実を観察し、多様な意見に耳を傾けることです。選択肢や効果を限定的にする自分の境界線に気がつきそこをでることで、これまでの自分が考えもしなかった新しい世界や変化の兆しに気づき、また自分自身のあり方を見つめ直すことができるはずです。それが、新たな知恵やシステムの創発・共創とつながる鍵となるのではないでしょうか。

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ラーニング・ジャーニーを活用した事例(参考リンク)

「サステナブル・フード・ラボ」というマルチステークホルダーのコンソーシアムが食料問題に関してほぼ毎年ラーニング・ジャーニーを行っているほか、日本でも企業の次世代リーダーが内戦で疲弊したスリランカでの復興の現場を訪ねるツアーなどが行われたほか、国内でも島根県海士町など、ラーニング・ジャーニーを受け入れている地域の例があります。

(参考リンク)サステナブル・フード・ラボ Sustainable Food Lab
https://www.change-agent.jp/news/archives/000391.htmlhttps://www.change-agent.jp/news/archives/000693.html
(話し方・聴き方のモードがラーニングジャーニーを通してレベル2から3,4に移行するプロセスストーリーを紹介しています)
(参考リンク)世界の若者がとらえた震災と復興 ~東北の学びを世界の学びへ~https://www.japanfs.org/ja/news/archives/news_id032355.html
(参考リンク)ラーニング・ジャーニー in 海士町(巡り輪HP) http://megurinowa.jp/activities/2011/02/-in.html
(参考リンク)参加者の声:面白い研修事例~非日常の中で心が震えるような体験を~https://youtu.be/fqZDRc26Uy0アーティエンス社:https://artiencecorp.com/

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