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世界で大きな災害が続いています。それぞれの国の同僚たちとやりとりをしながら、現地に住む方々のことを心配しています。2011年3月の日本の大地震では、世界各地の人々がお見舞いのメールや物資、金銭などの援助をくださったことも記憶に新しいです。私たちは、こうしたグローバルな人の絆の世界に生きているのだと実感します。

世界をつなぐ網の目は、人のつながりだけでなく、食料や原材料、商品などのモノや、それらに伴い市場で何十倍にも膨れあがったお金の流れにも及びます。東日本大地震では、国内外のあちらこちらの工場で原材料調達に支障をきたしました。

前回の記事で、ピーターセンゲ氏のインタビューを公開しました。

氏のいう、「グローバルな規模での相互依存」は、この数十年でゆっくりと、しかし着実に広がり、私たちの気づかぬ間に、とても大きな依存と影響の関係をつくってきました。これほどの規模での相互依存は歴史上なかったといえるでしょう。

システム的な観点からいえば、特定の調達先やルートに依存している場合には、多様性や冗長性を強めることが重要です。あるいは他地域・他国からの輸入など外部への依存度が高い場合には、たとえ外部からのフローが途絶えたとしても最低限の機能を果たせるような、自立の余地を残したモジュール型のデザインにすることも大事です。

しかし、衝撃に強いシステムを創り出す上で何よりも大事なのは、地理的にも時間的にも離れたシステムの中にいる人たちの間で、相互のコミュニケーションを密にとることや、システムそのものを創り出す統治の仕組みの透明性や多様性を確保することだといえるでしょう。

相互依存が引き起こすさまざまな障害が私たちの経済社会システムのあちこちで生じる今日、効率化の陰で、重要なものが切り捨てられないように目を配る必要があります。さまざまな利害関係者間の対話、社会資本の構築、そして透明性のある統治の仕組みはその最たるものといえるでしょう。

ピーター・センゲ氏のインタビューにもあったとおり、相互依存の関係の向こうに起こっていることや人々の存在にも「気づくこと」、「思慮深くなること」がまさに必要とされていると思うのです。


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