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アダム・カヘン『敵とのコラボレーション』出版記念講演(2018.11.1)での質疑応答【後編】

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前回に引き続き、『敵とのコラボレーション』出版記念講演会での質疑応答の後編をお伝えします。講演録3編及び質疑応答前編をご覧になりたい方は、文末のURLをご覧ください。

Q8. アダムは大変な活動を続けるエネルギーをどうやって得るのか

眠ること。Netflixを観ること(笑)。それから妻と休暇に出かけることです。

この仕事は大変な仕事ですが、とても刺激的で、やりがいがあります。私の経験で言えば、自分の得意なことを活かし、人々に役に立っている仕事をすることほど、喜びとやりがいを感じる仕事は存在しないと言えるでしょう。これを重荷になんて感じることは一切ありません。この仕事をすることは栄誉なのです。

ファシリテーションは、パフォーマンス・アートのようなところがあります。妻と私にはジャズシンガーの友人がいるのですが、ファシリテーションあるいはコラボレーションを進める仕事とジャズシンガーの仕事が似ていることに気づきました。それはリアルタイムでパフォーマンスを発揮しなければならず、やり直しもきかないことです。私は、この仕事がとても刺激的で、楽しいチャレンジだと感じています。

Q9. ネガティブな感情をどう克服するか

これは私にとってもっとも重要なポイントかもしれませんが、もし調和だけを望むなら、ファシリテーションの仕事などできはしません。調和だけを手にしていられるというのは幻想です。現実世界ではそうはいきません。なぜなら、調和だけを手にするためには、存在している違いから、そして自分自身の中にある違いから目をそらす必要があるからです。

確かに、私は個人的に、対立が嫌いです。心が痛みますし、腹が立ちます。しかし、現実世界で何かを成し遂げるには、対立を避ける志向性は役に立ちません。向き合うしかないのです。

困難であり、不快であり、山ほどの課題がありながら、それでも向き合う必要があると進んで立ち上がるリーダーたちを心から尊敬します。政治家を批判するのは最近の流行かもしれませんが、私は彼らの対立へ向き合い、違いに踏み込み、奮闘する政治家の能力を尊敬しています。

新著の主要ポイントの一つであり、さらには書籍『未来を変えるためにほんとうに必要なこと(原題:「Power and Love」』)での主題は、「愛こそがすべて」は真実ではないということです。「バラバラのものを統合する力」と「違いに向き合う力」の双方が必要です。でなければ、この仕事を成し遂げることはできません。だからこそ、調和、合意、コントロールへの幻想について書きました。対立をはらむ状況において、調和、合意、コントロールを求めるのは現実的ではありません。それ以上に答えようがありません。(訳注:ネガティブな感情の奥底にあるニーズは、しばしば調和や合意やコントロールへの期待であることが含意されている)

また、ただひとつのベストなオプションも存在しません。それが個性であれ、意識の向け方によるものであれ、いつもコラボレーションを好む人だっているかもしれませんし、逆に、コラボレーションは最後の手段だという人もいるかもしれません。しかし、オプションは4つあります。どれがうまく行くかは決まっていません。この本の中心的な主張の一つは「オプションは4つある」ことです。これら4つはすべて正当なオプションとなりうるのです。

単独では状況を変えられず、適応することもコラボレーションもできないならば、離脱することは、まったく正当なオプションです。どうすることもできない状況において、適応することは賢明なオプションです。一人でできる状況ならば、強制は正当なオプションです。2年前に私がこの本を書き始めた頃、会社の同僚が声をかけてきました。「コラボレーションの本を書いているって? すばらしいね。私と一緒に書かないか?」と。私は「絶対に嫌だ」と答えました。これは私の本であり、原田英治さんから期限付きでいただいた任務です。自分の意志で書きたいことを書ける中で、強制することは完璧に正当なオプションでした。

これら4つはどれも、正当なオプションだ。問うべきは、置かれた状況でどのオプションが適切かということです。繰り返しになりますが、『未来を変えるためにほんとうに必要なこと(原題:Power and Love)』で述べているように、対話、コラボレーション、1つの全体であることはすべて物語の半分にすぎません。この場に集まっている対話の実践者のみなさんにこのことをあえて強調して伝えているのは、(対話の実践者は)対話が物語の半分に過ぎないことを忘れてしまいがちだからです。

Q10. コラボレーションはどの程度最適解となり得るか

日本の文脈においてこの問いにどのように答えてよいか私にはわかりません。私の経験で語りますが、みなさんがどのように思うか興味があるので教えてください。

人々が「コラボレーション」と呼んでいる多くの状況において、それは「コラボレーションに見せかけた強制」に過ぎないと私は考えます。巧妙にコラボレーションの姿を借りた強制です。真にコラボレーションしているわけではなく、真に水平的な相互性があるわけではありません。そして、コラボレーションは今まで話した理由から、困難で不快なものです。従って、強制や適応や離脱が非常に多く見られることに何の驚きもありません。

私がこの本を通じてお伝えしたいのは、真のコラボレーションを行うためには何が必要なのかということです。"見せかけ"のコラボレーションではない、真のコラボレーションにおいては、正当なオプションとなるためには、強制、適応、離脱がうまくいく見通しが狭まっている状況において、そして、私たちが、コラボレーションを実施する能力をストレッチして引き伸ばすことです。しかし、これは従来型のやり方ではなし得ません。

Q11. 対立を「解消」するのでなく、対立から「コラボレーション」に向かうのはなぜか

「対立を解消するのでなく」というポイントについて、私が扱っているのは、紛争・暴力を伴わない対立であることが前提です。

その上で、私がここまで話してきたように、対立を避けることはできません。人々が声を挙げることができる状況では、対立を避けることはできないのです。もし、怖くて声を挙げられない時には、"見せかけ"の合意が得られるでしょう。著者の名前を思い出せませんが、力(power)に関する有名な書籍の中で、封建社会の小作農の持つ力のことが例として書かれています。「領主や貴族が道を通るとき、彼らは深々と頭を垂れて、すかしっ屁をたれる」のです。"見せかけ"の合意は得られても、それが本当の合意とは限りません。ますます多くの人たちが声を挙げられるようになる現代社会で、この"見せかけ"の合意を維持することは一層困難になるでしょう。

Q12. コラボレーションのはじめの一歩は何か、そこから前に進むためには?

はじめの一歩は、ただ関係者が集まるための文脈をつくることです。だからこそ変容型シナリオプランニング(TSP)が求められます。私は、何十年もシナリオプランニングから手を引こうとしてきました。しかし、今でもこの手法が大きな支持を得ています。なぜならば、これが普通の手法と違い、何が起こりうるのかをただ話すという方法だからでしょう。

私が重要と考えるのは、「敷居が低くて、天井が高い」状況を創り出すことです。そこでは、簡単に参加でき、リスクが小さく、失うものがそれほどなく、ただ話すのです。唯々何が可能かについて、何が試せるか、新しいアイディアや関係性、アクションについて話します。そして、そこから次にどこへ向かうかについてを探ります。なぜなら、互いに対等なコラボレーションにおいては、そこへ参画するかはそれぞれにとって役に立つ場合だけだからです。一歩ずつしか前に進めません。そして事実として、私たちはしばらくコラボレーションし、その後単独で活動することがあります。これは私たちが向き合わなくてはいけない現実です。

コラボレーションを始めるコツは、「敷居が低くて、天井が高い」文脈をつくることであり、それに同じくらい大事な次のステップは、第2のストレッチ、つまり、前進するために実験することです。うまくいくのではと考えたことを試し、うまくいったら、それを続けます。うまくいかなかったら、または何か別のことを試してみるでしょう。それでもうまく行かなければそこでやめるでしょう。

私たちは、真に水平で、真に対等なコラボレーション状況で行動することの難しさを過小評価していると思います。なぜならば、私たちは結局のところ、「誰かに~させる」という考えに慣れてしまっているからです。

最後に、私が対話の実践者すべてに投げかけるチャレンジは、真に水平、対等な関係で、真に人々の声を拾い上げることができるようなやり方を見出すことです。これが、私たちの手法すべてが明示的であれ暗黙であれ「強制」や「義務化」に基づいていたらとても成し遂げられないでしょう。

では、真に水平な関係性においては、私たちのオペレーションシステムがどんなものでなければならないのでしょうか? 私たちの志向性がどのようなものでなければならないのでしょうか? それこそが私が実践のために探求し続けていることです。

ご静聴、ありがとうございました。

(以上)

質疑応答前編はこちらから


講演録

https://www.change-agent.jp/news/archives/001173.html (前編)

https://www.change-agent.jp/news/archives/001174.html (中編)

https://www.change-agent.jp/news/archives/001175.html (後編)

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