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ピーター・センゲ 「グローバル経済において望ましい未来を創り出す(2)」

000166-01.png(photo by See-ming Lee on flicker)

(世界的なマネジメント・グールーで知られるピーター・センゲ氏がグローバル経済について語ったエッセイの続編を氏の設立したSoLの機関紙『Reflections』よりお届けします。1回目を読みたい方はこちらからどうぞ。)

望ましい結果を創り出す

分野を超えたダイアログやシナリオプラニングを専門とする優れたファシリテーターで、SoLのメンバーでもあるアダム・カヘンは、「3種類の複雑性の増大が、組織や社会の一筋縄ではいかない問題の根底にある」と述べている。

 ・ダイナミックな複雑性:時空を超えて生じる因果関係
 ・社会的な複雑性:政策も世界観も異なるさまざまなステークホルダー
 ・生成的な複雑性:もはや過去の解決策では適応できない現実の出現

こうした複雑性に直面したとき、「問題解決」という考え方そのものが妨げになる可能性がある。「問題を解決」しようとすると、私たちは壊れた何かを元どおりにしようと考えるだろう。過去の目を引く解決策にたどり着く場合もある。さらには、現実を「味方」ではなく「敵」だと考えるようになる可能性もある。だがこうしたことは、「問題解決」を本当に望むものを創り出すためのより大きなプロセスの一環としてとらえるならば、避けることもできる。

グローバル社会、もしくは何らかの状況で望ましい結果を実現させるには、学びとリーダーシップが求められるが、とりわけ共同での創造が必要とされる。実のところ私は、学び、リーダーシップ、創造の3つは、同じ基本的な現象を語るものだと考えている。たとえば、効果的なリーダーシップは、前向きな選択をして、共により良い未来を生み出すために不安に打ち克つことができるという信念によってもたらされる。学びは、部門をマネジメントするすべを身に付ける場合であれ、言語の習得であれ、育児であれ、これまでにない結果、とりわけ心から大切だと考える結果を現実のものにするための新たな能力を創り出すことである。これは、「創造する」の語源の定義の「存在をもたらす」―ことでもある。 

創造は、私たちが単に入り込む神秘的な状態のことではなく、理解して、発展させることのできる規律だ。音楽家で映画制作者でもある組織コンサルタント(そして多くの点で創造を一つの規律として研究する私の良き師)のロバート・フリッツは、あらゆる分野のリーダーが望ましい結果をより効果的に生み出すための力となる3つの原則を打ち出した。

創造することと問題解決とは違う

「創造すること」と「問題を解決すること」の根本的な違いは簡単である。問題を解決する場合、私たちは望んでいないことを取り除こうとする。一方、創造する場合は、本当に大切にしていることを存在させようとする。これ以上に根本的な違いはほとんどない。もちろん多くの人は、仕事でも私生活でも、真に大切なことを創造することに力を注ぐより、問題解決とさまざまな状況への対応にはるかに多くの時間を費やす。実際、私たちは問題への対応で頭がいっぱいで、「自分が本当は何を望んでいるか」ということはすぐにどこかへ行ってしまう。

組織は、日々の問題を解決することと新たな結果を生み出すことの両方を実行しなくてはならない。だが個人としても組織としても、新しい有意義な何かを創り出すことではなく、問題を解決することを仕事の中心に据えた場合、目的意識を持ち続けるのはむずかしい。深い目的意識がなければ、困難な時代に力強く成長するために欠かせないエネルギーや情熱、献身、粘り強さを発揮することは至難の業である。

「自分の仕事でどちらを優先させるか」と迷ったら、自分自身や同僚にただこう聞いてみよう。「今日やり遂げようと思っていることは何ですか?」たいてい同僚たちは、対応しようとしている一連の問題を挙げるだろう。次にこう聞いてみよう。「それらの問題を解決することで何が達成できますか?」だいたいは、また次に取り組むことができる一連の問題を挙げるだろう。「最初に人間関係のきしみを解消できさえすれば、サービス悪化の防止に取り組める」といった具合だ。

だが、忘れられがちなのは、もっと根本的な問い、つまり、「私たちが創り出そうとしていることは何か」である。この問いに対する説得力のある答えがなければ、すべての問題解決が実際のところなぜ重要なのかを知ることはむずかしい。人々が自分たちの目的やビジョンを忘れてしまっている組織では、問題解決は、組織にとってただ忙しいだけの仕事となる。

目的ともう一度つながることは、必ず次のような問いかけから始まる。「私たちはなぜここにいるのか?」「世界をより望ましい場所にするために私たちは何を創り出そうとしているのか?」「もし私たちがいなくなったら、誰が惜しんでくれるだろう?」(ちなみに、もしあなたが企業で働いているとしたら、最後の質問に対する答えとして「当社の投資家」というのはあり得ない。投資家はどんな場合も、投じた資金に対して十分なリターンが得られる別の会社を見つけるものである。)

(つづく)

ピーター・M・センゲ
マサチューセッツ工科大学上級講師。SoL (Society for Organizational Learning, 組織学習協会)設立者。The Journal of Business Strategyにより過去100年でビジネス戦略に最も強く影響を及ぼした1人であるとされている。著書である『The Fifth Discipline: the Art and Practice of the Learning Organization』(『最強組織の法則― 新時代のチームワークとは何か』徳間書店、1995年)はハーバード・ビジネス・レビュー誌より、過去75年における最も優れた経営書の1つであると評価される。

このエッセイは、氏の設立したSoLの機関紙『Reflections』から許可を得て翻訳しています。
その他の回の内容を読みたい方はこちらからどうぞ。

1回目:「グローバル経済において望ましい未来を創り出す(1)」
2回目:「グローバル経済において望ましい未来を創り出す(2)」
3回目:「グローバル経済において望ましい未来を創り出す(3)」
4回目:「グローバル経済において望ましい未来を創り出す(4)」
5回目:「グローバル経済において望ましい未来を創り出す(5)」
6回目:「グローバル経済において望ましい未来を創り出す(6)」

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