システム原型
システム原型は、さまざまな分野で共通してよく見られる問題の構造の基本パターンです。傾向と構造 が同じであれば、分野を超えて、先人たちの知恵を活かした解決の指針を得ることができます。英語では、Systems Archetypeといいます。
「連休なので遊びに行った。しかし、車で出かけたらものすごい渋滞で、家に帰りついたのが真夜中になった。」
「出張の経費を使わないとほかの人に使われてしまって損する。そう思ってどんどん使っていたら、年度の終わりには経費予算が残っておらず、肝心な出張ができなくなった。」
あなたの周りでも、このようなパターンを見かけたことはないでしょうか?
「共有地の悲劇」という構造によって生み出される、これらはいずれもパターンです。ドネラ・メドウズは、システム原型と呼びましたが、私たちはシステムの特性を十分に理解していないためにしばしばシステム原型にあるような状況に陥ります。システム原型を習得することによって、罠に陥った状況を、ストーリー、パターン、構造のレベルから診断することができます。そして対処を考えることで、罠から抜け出したりそもそも罠に陥らない手立てを考えるのに有効なツールです。
このシステム原型を、ビジネスの文脈にまとめなおしたのが、組織変革の第一人者で知られるピーター・センゲらです。ピーター・センゲは1990年に刊行した『The Fifth Discipline(邦題:学習する組織)』でシステム思考を紹介しています。同書の中で紹介されているのは次の10の原型です。
- 「遅れを伴うバランス型プロセス」
- 「成長の限界」
- 「問題のすり替わり」
- 「介入者への問題のすり替わり」
- 「目標のなし崩し」
- 「エスカレート」
- 「強者はますます強く」
- 「共有地の悲劇」
- 「うまくいかない解決策」
- 「成長と投資不足」
いくつかの基本となる原型を理解すれば十分に役に立ちます。ほかの原型はその組み合わせや応用が多いからです。また現実の問題について、ループ図で整理するときも、複数の原型の組み合わせであることがしばしばです。実際、システム原型は、より複雑な状況についてモデルとして整理し、描くための見立てに使われていたものです。
システム原型「成長の限界」
- システム原型「成長の限界」について(1)
- システム原型「成長の限界」について(2)
- システム原型「成長の限界」について(3)
- システム原型「成長の限界」について(4)
- システム原型「成長の限界」について(5)
- システム思考で問題を解決する(4)望ましくないループを弱める
- システム思考で問題を解決する(6)「個人の事例:システム思考で自己実現を果たす」
- システム思考で問題を解決する(7)「個人の事例:システム思考で自己実現を果たす Part 2」
システム原型「うまくいかない解決策」
- システム思考で視点を変えよう(9)「売上予算に届かない!」
- システム思考で視点を変えよう(10)「価値連鎖で改善を図る」
- システム思考で視点を変えよう(11)「問題解決がまた新たな問題をつくる」
- システム思考でみるプロジェクト・マネジメント(2)
システム原型「問題のすり替わり」
システム原型「目標のなし崩し」
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