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北日本などで大雪に見舞われる日が続きますが、寒中お見舞い申し上げます。少し遅くなりましたが、2026年のご挨拶を申し上げます。皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。さて、チェンジ・エージェント社の2025年を振り返ると、大きなイベントに満ちたものでした。昨年主宰した主なイベントは以下の通りです。
20周年という節目の年にあたり、私たちは従来から掲げてきた「システム・リーダーシップ」に加え、「システムチェンジ」をより前面に据えた発信と実践を強めてきました。昨年は数多くの講演や案件の依頼をいただき、日本においてもまさにシステムチェンジへの関心が高まりつつあることを実感しています。システムチェンジには、実践、制度やルール、情報やリソースの流れを形づくるシステム構造のレベルだけでなく、価値観のレベルでの変容が連動することが必要と言われます。そのカギは、関係者や構成要素のつながりにあります。私たちは、多様なシステムリーダーたちの目覚めと、互いに対話し協働する関係の構築を通じて、本物の絆が広がっていくことを目指しています。
折しも、2025年日本でも世界でも、これまでの常識が大きく覆るような出来事や動きが多数見られました。『それでも、対話をはじめよう』『敵とのコラボレーション』『対立を超える日々の実践』などの著書をもつアダム・カヘンは、日本で行った講演の中で、「システムチェンジは、威嚇、暴力、爆撃など強者による力の強制で起こる場合もあれば、対話、共創、内発的な発展など平和的に起こる場合がある」と示唆しました。そして、システムチェンジは平和的に起こりうるし、それがより望ましいと信じる立ち位置を示し、私たちも強く賛同するところでした。
世界にせよ、日本にせよ、人生において今ほど政治がどのようにあるべきかが問われるときはなかったと感じています。SNSは多様な市民の包摂よりも、同質の思考のグループ化が進みつつもより扇動的なことばかりが拡散される傾向にあり、議会政治は良質の議論よりもいつの間にか数合わせの舞台になってしまっていないだろうか、と危惧しています。
カナダのマーク・カーニー首相の最近のスピーチの冒頭で「古い秩序は戻ってこない」と述べたことが印象に残ります。同時に彼は「断絶から、これまでよりよいもの、より強いもの、より公平なものを築く」ことが可能であると述べています。
日本にしても、そして、一介の経済人・社会人・市民である私たちは、理念を掲げて座しているだけではシステムチェンジは起こしえません。一国として、一組織として、一市民として、最強の存在でなくとも、中堅の存在が一緒にまとまって行動することで、意思決定のテーブルについて影響力を発揮していくことは可能だと思います。それには権力構造に向き合えるようなしたたかさを鍛えることも必要です。そして、垣根を越えた新たな人間関係を築き、メインストリームと周縁の間にも半透膜のように行き来できる構造をつくって、党派を越え、国境を越えて未来を語れるような絆を築いていくことが大切だと考えます。
大きな話になりましたが、私自身の一年の抱負は、まず足下で一人ひとりが今の現実を見つめながらも、無力感やあきらめに溺れることなく、私たちの心の奥底にあるニーズや潜在可能性に耳を傾け、未来に希望を抱くような場をもっと広げていきたいと願います。そして、複雑性を理解し、共創的な対話を広げ、未来を共創していくための能力を築き、学習し続けながら自らとチームとシステムの変容を集合的に促すシステム・リーダーシップを推進するために、以下を実践していきます。
- チェンジ・エージェント社が長年にわたって提供してきた「システム思考」「学習する組織」「行動探求」「システム・アウェアネス」などの方法論が、これからの時代を生きる上での基盤となる能力としてより多くの人たちにお届けします。システム思考は開催地を東京、大阪(2月、8月)だけでなく、福岡(6月)にも広げ、また、全国の方に参加いだけるようにオンラインでのプログラムも展開します。
- 昨年12月より開講した「社会的インパクトを共創する連続講座」は、2026年度も引き続き開催し、実践者の皆様との交流を通じて、システムチェンジを組織や社会に実装するための方法論を日本において確立していくように務めます。
- 日本国内でのシステムリーダーとその卵たちを集めて、システムチェンジのための越境学習の場を主宰すると共に、同様の志による場を積極的に支援していきます。
- 私自身のシステム・リーダーシップを磨くために、今年はインドネシア、スイス、オランダ、ハンガリーなどで、世界の実践者たちと最新の情報を交換しながら、共同研究などを通じて世界に貢献します。
新しい年、そして新しい四半世紀の始まりにあたり、私たちは引き続き、人や組織がよりよい未来を共につくっていくための能力開発と場づくりに取り組んでまいります。縁あってご一緒させていただく皆さまと、システムチェンジへの道をともに歩んでいけましたら幸いです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
(小田理一郎)
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